角部屋の良さを生かす光に満ち、風が抜ける
心地良い空間づくり
リノベーションありきの物件探し
二人目のお子さんの誕生を機に、四人家族でゆとりをもって暮らせるマンションを探すことにした石川さん夫妻。「長女が通っていた保育園に近いことなどが条件でした」(晃子さん)。いくつかのマンションを見る中で出会ったのが、東西にバルコニーのある70㎡ほどの角部屋。慎也さんは「当時で築25年ほど経っていたため間取りは使いづらそうでしたが、リノベーションを前提としていたためにあまり気になりませんでした」という。
憧れの建築家との家づくり
夫妻がリノベーション前提でマンションを購入したのは、当初から憧れの建築家にリノベーションを依頼することを決めていたからだ。「雑誌で寺林省二さんが手がけた中古マンションのリノベーションを見て、普通のマンションが自由な発想でワクワクする空間に変わるのにびっくりしました」(晃子さん)。それからは「いつか寺林さんにリノベーションをお願いしたい」と思いながら物件探しを続け、これぞという物件に出会ったときは、寺林さんにも見てもらっていたという。
リノベーションを担当した寺林さんは「この部屋を見たときは、東西に掃き出し窓があること、東側の窓からは隣接する学校の緑が見えること、さらに外階段があって各部屋の独立性も保たれている点がいいんじゃないかと思いました」と振り返る。
こうして憧れの建築家とのリノベーションが始まったが、夫妻からのリクエストは「普通な感じにしてください」のひと言だったそう。「寺林さんのセンスが好きでお願いする以上、私たちが余計なことを言わないほうがいい空間になると思ったんです」。
たくさんある窓を生かして
寺林さんは、細かく仕切られていた部屋の壁を取り払い、できるだけ広い空間とすることを提案。玄関ホールを挟んで西側バルコニーに面した2部屋を、子どもたちの成長に伴い間仕切りできる子ども室とした。さらに東側バルコニーに面したスペースは、クローズドタイプだったキッチンを、ダイニングやリビングとひとつながりにすることで、広々としたLDKを実現。もともとあった和室のダイニング側の壁に開口部を設け、東側バルコニーの開口部まで視線が抜けるように工夫した。「和室の引戸を開ければ、LDKとつながり、より開放感を感じられます」。
さらに東西だけでなく、北側にもたくさん設けられた窓から、光と風を十分にとりこみ、過ごしやすく。夫妻は「風通しが良くて夏はエアコン要らずですし、冬は日だまりが暖かなんですよ」と話す。
家族が自然と集まるLDK
透子ちゃん、瑚都子ちゃんの姉妹も成長し「いずれは子ども室を間仕切りする日が来るのかな」と慎也さんは笑う。とは言うものの、現在は家族4人がLDKと和室で過ごすことが多く、子ども室はほとんど使っていないという。それくらい、LDKの居心地が良いということなのだろう。