角部屋の良さを生かす  光に満ち、風が抜ける 心地良い空間づくり

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心地良い空間づくり

リノベーションありきの物件探し

JRと私鉄、どちらも使えるターミナル駅から歩いて5分ほどの場所にある大規模マンション。石川慎也さんと妻の晃子さんが、複数の棟からなるそのマンションの1室を購入したのは、6年ほど前にさかのぼる。

二人目のお子さんの誕生を機に、四人家族でゆとりをもって暮らせるマンションを探すことにした石川さん夫妻。「長女が通っていた保育園に近いことなどが条件でした」(晃子さん)。いくつかのマンションを見る中で出会ったのが、東西にバルコニーのある70㎡ほどの角部屋。慎也さんは「当時で築25年ほど経っていたため間取りは使いづらそうでしたが、リノベーションを前提としていたためにあまり気になりませんでした」という。

ダイニングテーブルでくつろぐ石川さん一家。テーブルはCIBONEで購入したもの。ランプはルイス・ポールセン。

ダイニングテーブルでくつろぐ石川さん一家。テーブルはCIBONEで購入したもの。ランプはルイス・ポールセン。

クローズドだったキッチンはオープンなつくりに変更し、ダイニングとの間に造り付けのカウンターを設けた。ダイニングチェアは古道具屋で買ったもの。

クローズドだったキッチンはオープンなつくりに変更し、ダイニングとの間に造り付けのカウンターを設けた。ダイニングチェアは古道具屋で買ったもの。

造作カウンターは、益子で買った食器棚のサイズを測って収まるようにしてある。

造作カウンターは、益子で買った食器棚のサイズを測って収まるようにしてある。

ダイニングの窓際には出窓の高さに合わせたデスクをDIYで設置。

ダイニングの窓際には出窓の高さに合わせたデスクをDIYで設置。

晃子さんは大の器好き。益子など旅先で手に入れたものも多い。

晃子さんは大の器好き。益子など旅先で手に入れたものも多い。

憧れの建築家との家づくり

夫妻がリノベーション前提でマンションを購入したのは、当初から憧れの建築家にリノベーションを依頼することを決めていたからだ。「雑誌で寺林省二さんが手がけた中古マンションのリノベーションを見て、普通のマンションが自由な発想でワクワクする空間に変わるのにびっくりしました」(晃子さん)。それからは「いつか寺林さんにリノベーションをお願いしたい」と思いながら物件探しを続け、これぞという物件に出会ったときは、寺林さんにも見てもらっていたという。

リノベーションを担当した寺林さんは「この部屋を見たときは、東西に掃き出し窓があること、東側の窓からは隣接する学校の緑が見えること、さらに外階段があって各部屋の独立性も保たれている点がいいんじゃないかと思いました」と振り返る。

こうして憧れの建築家とのリノベーションが始まったが、夫妻からのリクエストは「普通な感じにしてください」のひと言だったそう。「寺林さんのセンスが好きでお願いする以上、私たちが余計なことを言わないほうがいい空間になると思ったんです」。

窓があり、清々しい雰囲気のキッチン。

窓があり、清々しい雰囲気のキッチン。

カウンターのキッチン側はオープンラックになっている。

カウンターのキッチン側はオープンラックになっている。

愛用のキッチンツールが並ぶステンレスのオーダーキッチン。

愛用のキッチンツールが並ぶステンレスのオーダーキッチン。

たくさんある窓を生かして

寺林さんは、細かく仕切られていた部屋の壁を取り払い、できるだけ広い空間とすることを提案。玄関ホールを挟んで西側バルコニーに面した2部屋を、子どもたちの成長に伴い間仕切りできる子ども室とした。さらに東側バルコニーに面したスペースは、クローズドタイプだったキッチンを、ダイニングやリビングとひとつながりにすることで、広々としたLDKを実現。もともとあった和室のダイニング側の壁に開口部を設け、東側バルコニーの開口部まで視線が抜けるように工夫した。「和室の引戸を開ければ、LDKとつながり、より開放感を感じられます」。

さらに東西だけでなく、北側にもたくさん設けられた窓から、光と風を十分にとりこみ、過ごしやすく。夫妻は「風通しが良くて夏はエアコン要らずですし、冬は日だまりが暖かなんですよ」と話す。

キッチンの横の壁面には、慎也さんが友人たちと一緒にDIYでつくった飾り棚を設置。右手が和室の壁面となっている。

キッチンの横の壁面には、慎也さんが友人たちと一緒にDIYでつくった飾り棚を設置。右手が和室の壁面となっている。

和室の壁に開けた窓から顔を出す透子ちゃんと瑚都子ちゃん。手前のスツールは、夫妻が新婚旅行先のフィンランドで買ったもの。

和室の壁に開けた窓から顔を出す透子ちゃんと瑚都子ちゃん。手前のスツールは、夫妻が新婚旅行先のフィンランドで買ったもの。

和室とリビングを仕切るのはラワンベニヤの引戸。ふだんは開け放って、広々と使っている。和室は現在寝室として使っている。

和室とリビングを仕切るのはラワンベニヤの引戸。ふだんは開け放って、広々と使っている。和室は現在寝室として使っている。

石川さん夫妻と話す建築家の寺林省二さん(右)。テラバヤシ・セッケイ・ジムショを主宰している。

石川さん夫妻と話す建築家の寺林省二さん(右)。テラバヤシ・セッケイ・ジムショを主宰している。

ソファは以前から持っていたもので、デンマークの家具デザイナー・アイヴァント・A・ヨハンセンのデザイン。ジョージ・ネルソンのネルソンベンチをコーヒーテーブルとして使っている。

ソファは以前から持っていたもので、デンマークの家具デザイナー・アイヴァント・A・ヨハンセンのデザイン。ジョージ・ネルソンのネルソンベンチをコーヒーテーブルとして使っている。

家族が自然と集まるLDK

この家に暮らして6年以上が経つ石川さん一家。夫妻はリノベーションを振り返って「ああすれば良かったという後悔が一切ないんです」と声を揃える。

透子ちゃん、瑚都子ちゃんの姉妹も成長し「いずれは子ども室を間仕切りする日が来るのかな」と慎也さんは笑う。とは言うものの、現在は家族4人がLDKと和室で過ごすことが多く、子ども室はほとんど使っていないという。それくらい、LDKの居心地が良いということなのだろう。

子ども室の窓辺。左手のカーテンの奥は収納になっている。

子ども室の窓辺。左手のカーテンの奥は収納になっている。

トイレにも窓がある。こちらの棚も慎也さんがDIYした。

トイレにも窓がある。こちらの棚も慎也さんがDIYした。

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