独創的なワンルーム白い箱が叶えた
プライベート空間
部屋の一番遠い場所からも窓の景色を眺めたい
今年で結婚10年を迎えるI夫妻が、この物件の購入を決めたのは今から5年前。新居探しをしていた頃にこのマンションに出会い、ここでリノベーションをして暮らす方の部屋を訪ねたのがきっかけだったという。
「このマンションは木の生い茂る庭を囲むように建てられていることもあり、どの部屋の窓からも日がたくさん入り、目の前には緑が広がっています。この窓を最大限に生かせる部屋づくりを考えたら、いまの形になりました」とご主人。
購入時は2LDKだった間取りを広々としたワンルームに改装し、真ん中には箱型のベットルームと書斎を設置。さらに玄関横のトイレから書斎、ベットルームまでの壁を一直線上にくり抜き、窓からの光が部屋の一番奥まで届くようになっている。
ワンルームにいながらも、それぞれが個室にいるようです。
「ワンルームだから一人になれる空間がないのではと思われることもありますが、意外とプライバシーは保たれているんですよ。たとえば私がキッチンで料理をしているときに、主人が書斎で音楽を聴いていても全然気がつかないくらいです」と奥様。
箱にはユニットごとにそれぞれ細かな工夫が施され、ワンルームでも窮屈さを感じないようになっている。たとえば書斎には天井があり四方を覆われているが、ベットルームにはあえて天井を設けていない。こうすることで書斎はプライベートな空間、就寝時は圧迫感のない空間を実現できた。
またここに住み始めてからは、夫婦共に以前よりも家で過ごす時間が増えたという。広々としたリビングではヨガをしたり、夫婦共通の趣味であるロードバイクも出しやすいようにと玄関から伸びるモルタル床には余裕をもたせた。休日はここでDIYをすることも多いそうだ。
日光を蓄えて暖かい、無垢材の床
「窓の景色は眺めていて心地良いだけでなく、外からも見えにくくなっているんです。大きな木々のお陰で、敷地内は上手に目隠しされています」とご主人。その言葉通り、この部屋の窓にはレースのカーテンのみ。それもほとんど使用することはないという。そしてこの南向きの窓をさらに心地よくしているのが、床に敷かれた杉の無垢材だ。
「朝起きたとき裸足のままフローリングを歩くと、とても暖かいんです。空気を含みやすく柔らかい杉の木材が日光の熱を蓄えてくれて、冬の寒い日でも足元はぽかぽか。家に遊びに来た友達からは、“床暖房が入っているの?”とよく聞かれるほどです」と奥様。
長く住み続けたい家だからこそ、日当たりや床など居心地の良さには徹底的にこだわりたかったと話す2人。一見すると奇抜な間取りのようだが、暮らしやすさを追求した結果、この箱型ワンルームが実現した。