機能的な住まいを目指して築39年のマンションをリノベーション
時の移ろいと今を感じる住空間
互いを知るイベントとして
結婚3年目のHさん夫妻は2人の共同プロジェクトとして、都内にある70.5㎡、築39年のマンションを購入しリノベーションを行った。「コロナ禍で結婚に関するイベントが出来ていない中で、自分たちの好みを形にすることでお互いを知れたり、想いを一つにできていいかなと。2人の今後に向けて有意義な経験になるかと思い、リノベーションに取り組みました」と話すのは以前からリノベーションに憧れていた妻。
「窓が多いことがここを選んだ理由です。まわりを見渡せて開放的ですし、日当たりも良くて風が通るので」と夫は話す。角部屋で3方に窓があり、住宅街にありながら視界を遮るものがない今の物件に一目惚れしたという。
“会話が生まれやすく機能的な住まい”をテーマに、互いを知るプロジェクトとしてリノベーションがされたH邸は、夫妻がこれまで抱いてきた理想と、これからを見据えた想いが具現化された住まいになっている。
海外で見てきたアイデアを活かす
Hさん夫妻の理想を形にしたのはフィールドガレージだった。「様々な会社のホームページに紹介されている施工事例を見る中で、遊び心と手がけた物件への愛情を感じられる点が素敵だなと思い選びました」とリノベーションのコンセプトを担当した妻。建築関係の仕事をしている夫は、妻の理想を形にすることに注力した。「ふわっとした想いをどうやって言語化して伝えるか苦労しましたね。フィールドガレージさんとの打ち合わせも2時間の予定が4時間経っていたこともありました」。一日の動きをリスト化し、生活のシーンを想像しながら動線や収納の位置などを決めていったという。
採用したアイデアは、妻が旅行や仕事で訪れた海外のホテルなどで見て気に入った間取りや装飾のメモが役立っている。「リノベーションに関係なく、人生のどこかで活かしたいと思って書きためていました」。そのアイデアの一つとして、キッチンに置かれた作業台がある。調理だけでなく、買ってきた食材を広げたり、ホームパーティの時に料理を並べたり、立ちながらパソコンで作業したりと使い方は多様だ。キッチンにありながら、リビングをカバーする多目的なスペースを設置したことで、機能性と収納力のある空間ができあがった。
想い入れを感じて繋ぐリノベーション
当初はLDKを広く取りたいという希望があったHさん夫妻だが、リビングを2つに分けワークスペースを設けるか最後まで悩んだ。結果、室内窓で区切り、在宅ワークが続く妻の仕事部屋を作ることに。「ワークスペースは独立していたほうが仕事に集中できるなと思ったのと、2LDKの方が家族が増えた際や物件売却時など将来への拡がりが増えると思って」と、住むうちに生活スタイルも趣向もアップデートされるから、あと2回は人生でリノベーションをしたいと笑顔で話す妻。
ワークスペースの収納棚に使われている扉や窓に設置された木枠は、以前ここに住んでいた老夫婦が使っていたものを再利用している。「彼らが住んでいる時から見学に来ていたので、何度かお会いしていました。新築でスケルトンの状態で購入して間取りを考えたと聞いて想い入れがある家を引き継げるのが素敵だなと」。築年数のある建物でも、自分たちの生活スタイルや好みに合わせてリノベーションをすることが当たり前の欧米のスタイルへの憧れがあった夫妻。暮らす人たちの想いやライフスペースに合わせ、変化させ住まいを今に繋げるリノベーションを体現した。夫妻は過去、今、未来という時の移ろいを楽しんでいる。