古材とグリーンが融和する家族が集うリビングが最優先
非日常感のある1LDK
お気に入りの空間をお手本に
「間取りの決まっている新築よりも、自分たちの好きなようにアレンジして暮らせるリノベーションが理想でした」。
明るい日差しが差し込むリビングでそう語る田中千歳さん。“最上階角部屋、3方向に開口”を条件に探して見つけた築43年の集合住宅を、7年前にリノベーションした。
「ピンタレストでとても素敵なリビングを見つけて、こんな空間にしたいと思っていたんです。その物件を施工したゆくい堂さんに依頼して、イメージを伝えました」。
1部屋分ほどある土間の向こうには、格子のガラス窓を通して、古材を使った武骨な雰囲気のLDKが広がる。スケルトンにして限界まで広さを確保した空間に、北側の玄関土間と、南側西側に2面あるバルコニーから、光が射し込む。
生活感を排したLDK
「予算内に抑えつつも、リビングだけは贅沢をしたいと思っていました」。
個室はベッドルームのみ。78㎡を広々としたLDKと土間、バスルーム、ウォークスルークローゼットのある1LDKに。家族4人多くの時間をグリーンが生き生きと茂るLDKで過ごす。
「木とグリーンとヴィンテージの似合う空間を目指しました。キッチンは人造石研ぎ出しの天板と古材を使って造作したのですが、家電など生活感のあるものは隠せるようにデザインしてもらいました」。
一面を躯体現しにした壁に、色ムラを出したオークの古材の床。そこに大きなキッチンが存在感を放っている。キッチンから古材のカウンターをつなげて、ワークスペースも確保した。
「夫とふたりで作業できるくらいのスペースがあります。個室が少ないので、必要な場所を確保するため、色々と考えてもらいましたね」。
家具は大阪まで家族で足を運び、「TRUCK FURNITURE」でほとんどを揃えたそう。
「グリーンをハンギングするためにアイアンバーを天井につけてもらうなど、インテリアが楽しめるように計画しました。見せる収納が多いのですが、出しっ放しのキッチン用品なども部屋のイメージになじむものを選んでいます」。
一部屋分を玄関土間に
整理収納アドバイザーの資格も持つ田中さん。LDKや玄関土間など、広々とした空間に対して収納が少ないのも特徴的だ。
「収納が多いと、不要なモノがどんどん増えてしまう面はありますね。本当は収納も個室も増やしたい、という気持ちもあったのですが、そこを抑えてそれぞれの空間を広くとったことで、気持ちよく暮らせています」。
個室にするかどうかで悩んだ空間は、玄関土間に。入居後に増えたアウトドアグッズの保管場所としても役立っている。
「自転車を収めているホルダーは、夫が後から取り付けました。シューズクロークに造作のフェンスを付けるなど、ゆくい堂さんのプランにワクワクしましたね」。
フェンスにはフックを取り付けて、家族が外出時に使うバッグやスポーツアイテムをハンギング。マンション空間とは思えない、ガレージのようなラフな雰囲気が演出されている。
開放感抜群のバスルーム
さらに驚くような開放感に包まれるのがバスルーム。6畳の洋室を作り変えた扉のない浴室は、置き型のバスタブにシャワーを設置。
「湿気がこもらないかと心配だったのですが、窓やベランダがあるので通気性がよく、問題なかったです。バスタブには蓋がなかったので、オーダーで作ってもらいました」。
バスルームからランドリー、ウォークスルークローゼットを通ってベッドルームへ。動線も見事に確保されている。
「ベッドルームはシンプルで、ベッド以外何もないんです(笑)。ただ収納が少ないので、ベッド下を活用できるように造作してもらいました。就寝時に携帯を充電できるように、コンセントの位置も考えました」。
生活スタイルをヒヤリングしながら、プランに落とし込んでもらったため、暮らしやすさがとてもいいのだそう。
「生活感を出したくない、という要望はあちこちで伝えましたね。インテリアは茶色、黒、グレーをベースに少しブルーが入るくらいにして、統一感を出したので居心地がいいです」。
お子さんが成長したときは、また一からリノベーションするのも楽しそう、という田中さん。こだわりを詰め込んだ空間を満喫している。