建築家と二人三脚でDIY ヴィンテージのプレハブ住宅を モダンに住みこなす

建築家と二人三脚でDIY ヴィンテージのプレハブ住宅を
モダンに住みこなす

鉄骨造を活かしたリノベーション

埼玉県新座市に建つ築約50年のテラスハウスをリノベーションした中山 寛さんと針谷茜さん。
「物件検索サイトで“プレハブ住宅”というキーワードを入れたところ、ヒットしました」と寛さん。
このテラスハウスシリーズ「テラステン」は、積水ハウスが50年ほど前に、日本近代建築の実験的な住宅として開発。日本初の軽量鉄骨造の分譲テラスハウスだった。

リノベーションは、小阿瀬 直さん率いる建築設計事務所『SNARK』に依頼した。
「小阿瀬さんとは同郷ということもあるのですが、高崎でカフェだと思って入ったら小阿瀬さんの事務所だったり、東京でもばったりと会うこともあり、縁を感じていました」

施工は茜さんのお父様の工務店。
「例えば巾木は要らないなど、父が長年やってきた方法とは違うことを要望するので、ずいぶんケンカしました(笑)。でもだんだんと家が形になるにつれて、私たちがやりたいことを理解してくれ、スムーズに進むようになりました」と茜さん。
「鉄骨にネジを切るにはどうしたらいいですか?など、DIYの相談にたくさん乗ってもらいました。また、プロの目で選んだ使いやすい道具を譲っていただき、作業効率がUPしました」

間仕切りをなくし広々としたリビング。プレハブ住宅の天井の鉄骨が印象的。鉄骨はグレーにペイントし、天井のラワン材は柿渋と蜜蝋で仕上げた。「グレーは天井に這わせた配線コードともよく馴染みます」。エアコンは業務用をチョイス。レザーのソファと銅色のペンダンライトはヨルゲン・カストホルム。ローテーブルはジャスパー・モリソン。

間仕切りをなくし広々としたリビング。プレハブ住宅の天井の鉄骨が印象的。鉄骨はグレーにペイントし、天井のラワン材は柿渋と蜜蝋で仕上げた。「グレーは天井に這わせた配線コードともよく馴染みます」。エアコンは業務用をチョイス。レザーのソファと銅色のペンダンライトはヨルゲン・カストホルム。ローテーブルはジャスパー・モリソン。

小上がりがあった場所はダイニングに。写真左の桐ダンスは中山さんの実家で使っていたもの。「一棹 (ひとさお) の箪笥をバラバラにして横に並べて使っています」。アルミの角棒で脚を作り、浮かせて置くのがポイント。

小上がりがあった場所はダイニングに。写真左の桐ダンスは中山さんの実家で使っていたもの。「一棹(ひとさお)の箪笥をバラバラにして横に並べて使っています」。アルミの角棒で脚を作り、浮かせて置くのがポイント。

なんと、キッチンの手前と奥の吊り戸棚は中山さんのDIY。タイルも自分たちで貼った。キッチンは2列型に。簡単な食事はカウンターで。

なんと、キッチンの手前と奥の吊り戸棚は中山さんのDIY。タイルも自分たちで貼った。キッチンは2列型に。簡単な食事はカウンターで。

カップなどを置いた棚はディーター・ラムスのヴィツウ。「ヴィツゥの購入にはプランニングを相談する必要があります」 srcset=

カップなどを置いた棚はディーター・ラムスのヴィツウ。「ヴィツゥの購入にはプランニングを相談する必要があります」

アートフレームもDIY

本棚や吊り戸棚といった大物のDIYから、暮らしを楽しむ小さな小物までDIYで仕上げている。
そこここに飾られているアートの額装もDIYだ。
「筒に入れてしまってあったポスターをたくさん飾ることができました」

部屋のいろいろな場所に敷いてあるフカフカのラグが心地よい。
「ラグはオークションサイトなどで見つけて購入しています。どんどん数が増え、使い切れない分は倉庫に保管してます。
フカフカの秘密は、ラグの下に敷いたニトリのラグパットです。ラグの形に合わせてカットして使います」

額装もDIYで。「UVカットのアクリル板を使い、退色を防いでいます」

額装もDIYで。「UVカットのアクリル板を使い、退色を防いでいます」

シュアルツヴァルトのロムバッハ&ハースの鳩時計は、ドイツからスーツケースに入れて持ち帰った。

シュアルツヴァルトのロムバッハ&ハースの鳩時計は、ドイツからスーツケースに入れて持ち帰った。

ペンダントライトの下にある3Dプリンターは最近購入したもの。「焼き菓子用の型を試作してみました」

ペンダントライトの下にある3Dプリンターは最近購入したもの。「焼き菓子用の型を試作してみました」

鉢を吊るすワイヤーのネットはハンドメイド。細びきのワイヤーにカラビナをつけ、インシュロックで留めて作った。アウトドアが趣味の二人ならではのアイディアだ。

鉢を吊るすワイヤーのネットはハンドメイド。細びきのワイヤーにカラビナをつけ、インシュロックで留めて作った。アウトドアが趣味の二人ならではのアイディアだ。

窓枠の上に小さなカワイイものたちを飾る場所をDIY。

窓枠の上に小さなカワイイものたちを飾る場所をDIY。

玄関の洗い出しの床と黒のタイルはそのまま残した。「段差が大きかったので、サイズを測って大谷石をネットオーダーし、靴脱ぎ石にしました」

玄関の洗い出しの床と黒のタイルはそのまま残した。「段差が大きかったので、サイズを測って大谷石をネットオーダーし、靴脱ぎ石にしました」

2階は低い家具で居心地のよい空間に

2階はDIYで作った箱型の低い収納家具を置き、空間をゆるやかに分けた。
「低い位置で印象がまとまり、落ち着いた空間になりました」
壁と天井は白にして、片側の壁だけ1階から続くラワンになっている。

50年前のモダンなプレハブ住宅という家そのもののポテンシャルの高さはもちろんのこと(なによりこの物件を探し当てた中山さんの嗅覚がスゴい!)、設計、施工、そして中山さんと針谷さんの4者の気持ちがひとつになり、素敵な空間に仕上がった。

竣工後も、吊り戸棚を設置したり、壁に設置した自転車の場所を変えたり、天井近くにサーキュレータを取り付けたりと、少しづつ住まいが変化している。手を動かしながら暮らす二人の、この先の家の変化が楽しみだ。

階段脇に設置した美しい意匠の本棚は中山さんのDIY。「重いものを載せるので、耐荷重性を持つ構造を作る方法を小阿瀬さんに相談しました」

階段脇に設置した美しい意匠の本棚は中山さんのDIY。「重いものを載せるので、耐荷重性を持つ構造を作る方法を小阿瀬さんに相談しました」

2階には中山さんと針谷さんのワークスペースがある。1階と2階を合わせた広さは71.85㎡。

2階には中山さんと針谷さんのワークスペースがある。1階と2階を合わせた広さは71.85㎡。

仕事は向かい合わせで。「モニターはアームを使って浮かせています」。ワークチェアはジロフレックス。

仕事は向かい合わせで。「モニターはアームを使って浮かせています」。ワークチェアはジロフレックス。

「ワークスペースの棚は1階のディーター・ラムスのヴィツウをイメージしてDIYしてみました」

「ワークスペースの棚は1階のディーター・ラムスのヴィツウをイメージしてDIYしてみました」

ポール・ケアホルムのデイベッド。仕事に疲れたら、ちょっとここで休憩。窓の外にはたっぷりとした緑が広がる。

ポール・ケアホルムのデイベッド。仕事に疲れたら、ちょっとここで休憩。窓の外にはたっぷりとした緑が広がる。

2階の天井には照明器具をつけず、背の低い家具で空間をゆるやかに分けることで広がりと落ち着きを感じさせる。

2階の天井には照明器具をつけず、背の低い家具で空間をゆるやかに分けることで広がりと落ち着きを感じさせる。

室内窓の向こうが洗面洗濯室。「2階は天井が低いのでベッドの高さは低く抑えました」

室内窓の向こうが洗面洗濯室。「2階は天井が低いのでベッドの高さは低く抑えました」

洗面ルームには洗濯機とゆったりとした物干しスペースを確保。抜け感のあるガラス扉のバスルームは、深澤直人さんがデザインしたバスタブを採用。

洗面ルームには洗濯機とゆったりとした物干しスペースを確保。抜け感のあるガラス扉のバスルームは、深澤直人さんがデザインしたバスタブを採用。

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