モールテックスのベンチを造作夫婦それぞれに居場所のある
開放的につながったワンルーム
12年暮らした家をリノベーション
再開発が進む港区の運河沿い。Sさんご夫妻は約3年半前、12年間暮らした家をリノベーションすることに。
「当初はリノベ済みで売り出されていた物件でした。設備が古くなってきたことと、年齢的にライフスタイルが落ち着いてきたことから、先を見据えて思いきって変更しようと考えたのがきっかけです」。
洋間が2間あった2LDKを、広々としたリビングと、ベッドルーム、ウォークインクローゼットのある空間に変更することを希望。
「4〜5社を回って出してもらったプランは、だいたい同じパターンだったんです。その中でnuリノベーションさんに提案してもらったものがデザイン的に面白くて。必要なスペースを間取りに当てはめていく、という考え方とは違っていました」。
そのプランは、ベーシックなパターンから、遊びを入れたものまで3パターンあった。
「中でもいちばん遊んでいるパターンを選びました(笑)。空間が広く取れて明るくなるな、と直感したんです」。
多様に使える造作ベンチを設ける
たくさんの衣類を収納したいこと、最低限ベッドルームは必要だということを設計デザイナーさんに伝えたところ、
「それくらいだったらワンルームで、と提案されてびっくりしました(笑)」。
クローゼットは壁沿いに1列に。ベッドルームは天井まで完全に塞がず、1300mmの高さの仕切りを設置。全体が閉じられることなくシームレスにつながっている。何より驚くのは、玄関を開けると目に飛び込んでくるモールテックスの造作ベンチ。
「“ジムのパウダールームのイメージが好きなんですよね”と話したことから始まりました。お風呂って毎日入るのに脱衣所が狭いのが嫌で、お風呂上がりにのんびり寛げるようなスペースが欲しい、と思っていたんです」。
打ち合わせを重ねる中で、腰かけられるベンチを設けて、さらにワークスペースや収納の機能も持たせることに決定。この造作ベンチを置いたスペースには、オープンな洗面台が配置されている。
「洗面所も、脱衣所に設けると狭くなるので、室内に出してしまいました。いちいち重いドアを開け閉めするのがストレスなので(笑)、廊下や扉もなくしました。脱衣所には一応、ロールスクリーンを設置しています」。
キッチンはスタイリッシュに
造作ベンチエリアには素足に心地よいサイザル麻が敷かれているが、ダイニングキッチンエリアはグレーのタイルで切り替えた。
「フローリングはほっこりした感じになるのが苦手で。カントリーチックにならないように、タイルを選びました。色調やサイズ感などにもこだわりましたね」。
天井も、造作ベンチ側の躯体現しに対して、ダイニングキッチン側は白塗装に。天井、床ともにさり気なく斜めに揃えてゾーニングしている。
「キッチンはアイランドを希望したのですが、スペース的に壁付けに落ち着きました。食器が大好きでたくさん持っているのですが、食器棚を置くスペースがないので、収納はたくさんつくってもらいました」と奥様。
4.8mのスケールの大きいキッチンは、白の面材を使い、床からあえて浮かせるように造作。無駄なもののないすっきりとしたデザインがスタイリッシュ。
「シンプルに仕上げることをリクエストしたのですが、ここまでとは思っていませんでした(笑)。使い勝手もよく、料理がはかどります」。
愛着のある雑貨とグリーンを楽しんで
「雑貨や器ものが好きなのですが、今まで飾る場所がなかったので、ベッドルームには見せる収納棚を設けました」。
奥様が旅先で買ったものなど、宝物のような雑貨を棚に飾ったベッドルーム。民藝店で買ったイスや、昔の冷蔵庫だという棚なども、グリーンとともに美しくコーディネートされている。
「完成後にちょうどコロナ禍に突入して、ふたりで家にいる時間が長くなったのですが、全くストレスを感じませんでした。前は個室が2つあっても、結局狭いリビングにふたりでいたりして、閉塞感があったんです。今はワンルームでつながっているけど開放感があり、心地よく過ごせます。いいタイミングでリノベができたと思っています」。
ご主人は造作ベンチのワークスペースや土間、奥様はダイニングがお気に入りの場所。好きな雑貨と、サンルームのように楽しめるグリーンに囲まれながら、今も続くリモートワークやフリータイムを充実した時間にしている。