140㎡超メゾネットを贅沢に住まうモダンと癒しが溶け合う
グリーンに満ちた暮らし
緑豊かな郊外の街へ
都心の賃貸デザイナーズマンションから東京郊外へ。築32年のメゾネットタイプのマンションの1室を、生方さんご夫妻はリノベーション。
「コロナで世の中の働き方が変わり、思い切って、軽井沢、熱海などのリゾート地への転居を考えました。そんな中、たまたま見つけたのがここです」。
駅前には商業施設やアウトレットもある、東京のベッドタウン地域。自然豊かな街の、緑のトンネルのような遊歩道を進んだ先に、その住まいは現れる。
「夫の職業柄、100㎡は欲しいと思っていたんです。廊下があり閉じられた空間が多かった4LDKを、なるべくオープンな3LDKに変更しました」。
141㎡の贅沢な空間を、さらにゆとりを持たせた間取りに。メゾネットの上階は、服のデザイナーであるご主人のアトリエと倉庫にし、下の階は生活空間をまとめて、動線を完全に切り分けた。
「水回りなどの位置はそのまま変えずに、空間を塞いでいた仕切りなどを取り除きました。グリーンを育てることは決めていたので、緑が映える空間にすることが理想でしたね」。
モルタルのアクセントウォールを
空間のデザインは、もともとインテリア好きだった夫の宏典さんが主導。
「以前住んでいた賃貸が360度ガラス張りのモダンな物件だったんです。面白くて住んでみたのですが、そこで感じたプラス面とマイナス面を、自分たちの住居に反映しました」。
白を基調にしたミニマルなデザインは取り入れつつ、収納が少ないなど、暮らしにくさを感じていた部分は解消するように。
「かっこよさと暮らしやすさを両立させたい、と思っていました。リノベーションは不動産会社に紹介された地元の業者にお願いしたのですが、やりたいことや使いたい素材が決まっていたので、あとは伝えるだけでしたね」。
『Casa Brutus』なども愛読していて、イメージは固まっていたそう。どうしてもやりたかったことのひとつは、剥き出しのコンクリート壁。
「白い空間にコンクリートを組み合わせたくて。でも、いざ仕上げ材を剝がしてみたら壁が汚かったので、モルタルを塗って打ち放し風にしました。継ぎ目を入れないと噓っぽいので、ピッチも決めて指定し、Pコン穴も開けてもらったんです」。
あまりやりすぎないよう、廊下からキッチン前までの壁の一面のみに施し、カラーも明るめにリクエスト。ルイス・ポールセンの照明が似合う、北欧系の空間の中に、工業的なデザインがほどよく溶け込んでいる。
フォーカルポイントを意識して
「悩んだのはキッチンのレイアウトです。リビングから冷蔵庫が見えるのがどうしても嫌で」。
仕切りを取ったキッチンは、2列に配置して冷蔵庫を目立たない位置に。家電などはビルトインして、キッチン台上にモノを出さないようにしている。妻・悠さんはさらに、キッチンから見える風景にもこだわった。
「常に立つ位置なので、ここから目に入る景色を意識してグリーンをあしらいました。夫が座るダイニングの位置からも風景を楽しめるように、コーディネートしています」。
悠さんは、リノベーションと同時に整理収納アドバイザーの資格を取得、その後インテリアを学びルームスタイリストとして活動している。
「意識しているのはフォーカルポイントです。LDKに足を踏み入れた時、真っ先に目に入る位置を大切に、3角形を意識してグリーンや雑貨などを配置しています」。
グリーンをハンギングしている天井のダクトレールは2列に並べて、よりインパクトが出るように。グリーンいっぱいの空間は、LDKというよりは明るいサンルームのようだ。
空間を締めるダイニングテーブル
「有機的なグリーンをたくさん飾ることを想定していたので、ダイニングテーブルはこれしかありませんでしたね」。
と悠さんが語るのは、2m50cmもの幅のあるアルミ製のダイニングテーブル。
「床がフローリングの空間に、グリーンをあしらうので、雰囲気を外すために素材感の違うものを取り入れたかったんです。グリーンを飾っているワゴンも鉄製を選びました」。
宏典さんがネットで見て、どうしても入手したくて探したというダイニングテーブルは、その大きさの為、ベランダからの搬入となったそう。
「こだわって選んだものだけを揃えているので満足しています。グリーンの育て方やインテリア、さらに収納方法など、日々色々なことを考えて更新していますが、都心では叶えられなかったと思います」。
宏典さんはギャラリーのようなアトリエで日中過ごし、夜は4歳のお子さんと3人で、2部屋分を1部屋に変更した北向きの静かなベッドルームで就寝。それぞれがそれぞれの過ごし方ができる贅沢な空間で、贅沢な時間を楽しんでいる。