デザインと暮らしやすさを両立 額縁が絶景を切り取る 眺めのよい暮らし

デザインと暮らしやすさを両立 額縁が絶景を切り取る
眺めのよい暮らし

出窓を額縁のように見立てて

東向きの窓の向こうには、東京都心から横浜まで見渡せる、大パノラマが広がる。Bさんご夫妻は1年程前、眺望に惹かれてこの1室を購入。
「自分の思い通りの空間にしたい、という気持ちが強かったので、リフォーム前の中古物件を探していました。その中でいちばん大事にした条件は何よりも眺望。低層マンションなのに窓から景色が広がる、理想の部屋を見つけました」。
物件を決めてからリノベーション会社をリサーチ。
「8社くらい検討して3社に提案をいただいたのですが、グローバルベイスの設計士さんが出してくれた、手描きの緻密なパース図がとても素敵で。それが決め手になりました」。
物件内見時に、その設計士さんが指摘したのも、窓からの眺めが部屋のいちばんのポイントだということ。出窓を額縁のように仕上げることを提案された。
「窓まわりにフローリングを貼りましょう、という案を出していただきました。部屋のイメージは固まっていて、やりたいことはお伝えしたのですが、それをどう実現するかまではわかっていなくて。イメージを越えるプランをいただいたと思っています」。

築約25年、72.45㎡を2LDK+WICにリノベーション。天井は壊して塗装。天井高も10cm程上がった。

築約25年、72.45㎡を2LDK+WICにリノベーション。天井は壊して塗装。天井高も10cm程上がった。

和室があったリビングの一角にWICを設けた。天井まで塞がないことで圧迫感が避けられ、通気性も確保される。

和室があったリビングの一角にWICを設けた。天井まで塞がないことで圧迫感が避けられ、通気性も確保される。

もともとあった出窓を活かして、家のチャームポイントに。

もともとあった出窓を活かして、家のチャームポイントに。

上下左右にフローリングを貼ることで、出窓を額縁のようにアレンジ。

上下左右にフローリングを貼ることで、出窓を額縁のようにアレンジ。

東京の東側の観光名所まで一望できる。

東京の東側の観光名所まで一望できる。

大事にしたのは、奇を衒わないこと

Bさんご夫妻は、カリフォルニアに4年間暮らした経験を持つ。現地で買い集めたヴィンテージの雑貨などが映える空間にすることが希望だった。
「ナチュラルとインダストリアルの両方を入れた空間にしたいということ、趣味のコーヒーと本を楽しめる空間にしたいということをお伝えしました」。
和室を取り払って、広々とさせたLDKは、白い壁と天井、無垢の床でナチュラルに仕上げつつ、壁の一面のみモルタルで塗装。一部にウォークインクローゼットを設け、一部はディスプレイとグリーンを楽しめるスペースに。
「間取りに関しては、最初はとても迷いました。リモートが中心になりワークスペースが必要だったのですが、リビングに設けるかどうかとか、室内窓を取り入れるかどうかなど考えました。最終的には、落ち着いて過ごせるように個室はきちんと分けることにしました」。
主寝室と子供部屋の仕切り壁はそのままに、半スケルトンにして、LDKのみを広く取った。
「基本的には奇を衒いすぎないように、寝室とLDKは分けて、ワークスペースも寝室に併設しました。子どもも大きくなりつつあり、それぞれの時間も必要なので、普通の間取りにしたのは正解だったと思っています」。

LDKの一角ではインテリアを贅沢に楽しむ。WICの一面には木をあしらった。

LDKの一角ではインテリアを贅沢に楽しむ。WICの一面には木をあしらった。

カリフォルニアの州旗を飾る。ヴィンテージのチェストは、アメリカから船便で輸送。

カリフォルニアの州旗を飾る。ヴィンテージのチェストは、アメリカから船便で輸送。

古いシューキーパーなど、現地で買ってきたものをディスプレイ。「アメリカにいたときのことを思い出します」。

古いシューキーパーなど、現地で買ってきたものをディスプレイ。「アメリカにいたときのことを思い出します」。

ベッドルームの仕切り壁には小窓を設けて、廊下に光を通した。

ベッドルームの仕切り壁には小窓を設けて、廊下に光を通した。

沢山のサンプルから選んだグリーン系の壁紙を一面に。アメリカのホテルで見たインテリアから着想。

沢山のサンプルから選んだグリーン系の壁紙を一面に。アメリカのホテルで見たインテリアから着想。

ベッドルームのWICを撤去し、ワークスペースを設けた。天板を渡して造作。

ベッドルームのWICを撤去し、ワークスペースを設けた。天板を渡して造作。

洗面にはキッチンと同じサブウェイタイルを。実験用のようにボウルが広くて深いシンクは、使いやすさを考慮して、左端に設置した。

洗面にはキッチンと同じサブウェイタイルを。実験用のようにボウルが広くて深いシンクは、使いやすさを考慮して、左端に設置した。

トイレは黄色の壁紙で気分を切り替え、新鮮に。

トイレは黄色の壁紙で気分を切り替え、新鮮に。

家族で調理できるキッチンに

「娘が料理好きなので、キッチンは家族3人、みんなで立てるようにしたいと思っていました。ここが完成する前はうなぎの寝床のような社宅に住んでいて(笑)、みんなで作業することが難しかったんです」。
半分仕切りがあったカウンターを壊してオープンに。壁付けI型のキッチンをリビング側に向けて設置し、広々とした作業台を連続させた。
「当初はアイランドキッチンを考えたのですが、デザインが決まっていることや幅が狭いこと、コスト面が合わないことから迷っていたところ、設計士さんがこの案を出してくれたんです」。
作業台にはIKEAの収納を活用することでコストを削減。面材を揃えて造作した。幅を広々と設定したことで、みんなでパンをこねたり、餃子を作ったりするのが楽にできるように。
「配管を現しにする案もあったけれど、それは私が全力で阻止しました(笑)。見た目には憧れるけれど、現実的に考えたら埃がたまったりして、掃除が大変だと思うんです」。
というのは奥様。デザイン関係の仕事に携わり、デザインにこだわるご主人のイメージに共感しつつも、使い勝手も大事だと考えたそう。

オープンにしたキッチンには、カウンターを造作。引き出し部分がIKEAの収納。

オープンにしたキッチンには、カウンターを造作。引き出し部分がIKEAの収納。

カウンターはI型キッチン、梁と連続させてペニンシュラのように。

カウンターはI型キッチン、梁と連続させてペニンシュラのように。

食器や食材などがたっぷりと収まる。

食器や食材などがたっぷりと収まる。

ソファはJOURNAL STANDARD FURNITURE。H&M HOMEのクッションとのコーディネートが素敵。

ソファはJOURNAL STANDARD FURNITURE。H&M HOMEのクッションとのコーディネートが素敵。

ブックラックが家族の交流を生む

素材選びには、かなりの時間をかけたそう。
「キッチンのタイルの色を決めるのも、サンプルを床に並べてイメージしてみたりして、散々悩みましたね。全体像が把握できるわけではないので、そこが難しかったです」。
提出したデータの中には、担当の設計士さんが手掛けた物件も含まれていたそう。
「イメージが近かったのでスムーズに進んだと思います。完成してみてこうじゃなかった、というのはほぼゼロで。提案していただいたLDKのブックラックも、家族のコミュニケーションに役立っています」。
ブックラックは、美しい背表紙をディスプレイするだけでなく、それぞれが読んでいる本に興味を持ち、シェアするライブラリーのような機能を果たしている。
「おしゃれな空間でありつつ、暮らしやすさも残したいし、生活を楽しみたい。そこをうまく融合させていただいて、想像以上の空間になったと思いますね」。
額縁のように切り取られる街を背景に、豊かな暮らしが営まれている。

ブックラックの本が、家族のコミュニケーションツールに。モルタルは明るめに塗装したことで、日の入らない時間も部屋の明るさを確保。

ブックラックの本が、家族のコミュニケーションツールに。モルタルは明るめに塗装したことで、日の入らない時間も部屋の明るさを確保。

お気に入りのグッズがあちこちに。アーミーボックスには防災グッズを。スタンドライトはバイクのヘッドライトをリメイクしたもの。

お気に入りのグッズがあちこちに。アーミーボックスには防災グッズを。スタンドライトはバイクのヘッドライトをリメイクしたもの。

間接照明により、夜は幻想的な雰囲気に。天井が抜けたWICは、中からこぼれる灯りを楽しむこともできる。

間接照明により、夜は幻想的な雰囲気に。天井が抜けたWICは、中からこぼれる灯りを楽しむこともできる。

見晴らしのよい窓側に、広松木工のダイニングテーブルを。アイアンのフレーム+無垢の天板が空間に似合う。

見晴らしのよい窓側に、広松木工のダイニングテーブルを。アイアンのフレーム+無垢の天板が空間に似合う。

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