シンプルな空間を自分で彩る暮らしやすさから考えた
無駄を生まないワンルーム
ひとつの空間で完結するように
神宮前でプライベートサロンを運営する美容師の竹内さつきさんは、職場に徒歩で通える地域に建つ、築50年強の大規模マンションを2年ほど前にリノベーション。
「ずっと賃貸に住んでいて、自由に手を加えられないことや、汚してはいけないことなど、不便さを感じていたんです。そこでリノベーション会社を調べ始めて、ブルースタジオさんに物件探しからお願いしました。10軒以上は見ましたね」。
大規模修繕が行われたばかりで、ベランダやサッシなどがきれいだったことも決め手だった。
「そのままでも住める状態ではあったのですが、リノベーション前提で考えていたので、取れる壁は全部取り一度スケルトンにするところから始めました」。
キッチンが独立していた2Kの39㎡を、回遊型のウォークスルークローゼットと土間のある、ほぼワンルームの間取りに。
「一部屋のメリットって、ひとつのスペースで必要なことが全部できたり、エアコンが1台でよかったり、無駄がないなと思っていて。最初からワンルームがいいと思っていたんです」。
土間に回遊型のWTCを設ける
自らいくつか間取りを考え、設計士と相談。
「なるべくリビングを広く取ることを考えつつ、必要なスペースをパズルみたいにはめ込んでいきました。最終型がこれです」。
寝室は設けずベッドをリビングに。必要ないと思った洗面所もカット。できるだけ無駄を削ぎ落とした。
「洗顔などはキッチンのシンクで行っています。その代わりに、人を招いたときのために玄関土間に手洗いを設けました。洗い物もできるので便利です」。
ライフスタイルから動線を考えたときに、絶対に必要だったのはウォークスルークローゼット。
「帰ってきてコートを脱いですぐにかけ、洗濯物も脱いだら洗濯機へ。必要なことは全部ここで済ませてリビングに移動することができます。収納を一括にまとめて、リビング側には物も家具もできるだけ置かない状態にしておきたいと思いました」。
土間は余裕を持たせて広々と。外出時には靴を履いた状態で全身チェックができるよう、造作したクローゼット兼収納棚に大きな鏡もつけてもらった。
見栄え重視でセレクト
「使う材質は決めていたんです。木と金属とコンクリート。目に入るものは常に美しいものであってほしいんです」。
部屋の中央にあるキッチンは、業務用っぽくステンレスで造作。
「料理はあまりしないので、見栄え重視です(笑)。狭いので、コンロも縦型の2口を採用しました。収納扉が一切なくて全部見えてしまうので、却ってちゃんとしておこうというのもありますね。食器も見せてもいいものを選んでいます」。
キッチン脇の小窓のついたステンレスのドアの向こうにはバスルームが。
「ここが普通のドアだと気分が上がらないので、業務用の厨房のドアを選びました。小窓が船の窓みたいで気に入っています。バスルームのタイルは外国の雑誌をたくさん見て、ピンクのタイルを選びました。実はあまり浴槽に浸かることはないのですが、いちばんお金がかかってしまいましたね(笑)」。
手を加える楽しみを残して
コンクリート現しの壁面には、玄関からベランダまで、連続させてスチールの棚を造作。小物のディスプレイも楽しんでいる。
「ブルースタジオさんの提案だったのですが、活躍してくれています。基本的に壁紙を使わない会社なのですが、私も後から自分で塗りたい、と思っていたのでそこもマッチしました。自分のサロンを何度もペイントしているので、ほぼペンキ職人なんです(笑)」。
最近はトイレの中をDIYで塗装。コンクリート剥き出しの部分を、いずれ自分の好きなカラーで塗る楽しみも残されている。
「ベッドヘッド上の現しの壁面はきれいだったし、ここが白いと普通に見えるかと思ったので、あえて残しています」。
ウッドの天板をセレクトしたソファテーブルなどで、躯体現しの荒々しさを緩和。茶系のソファにクッションでカラーをプラスしたり、ベッドカバーを気分に合わせて取り替えたり。少しずつインテリアをチェンジする楽しみも。
「休日はベッドや大きなソファの上で寛いで、推しを愛でるのが楽しみです。居心地いいね、と友人に言われることが多くて、それがとても嬉しいですね」。