100㎡超えのリノベーション 広さと周辺環境に魅かれて 住み慣れた団地を選ぶ

100㎡超えのリノベーション広さと周辺環境に魅かれて
住み慣れた団地を選ぶ

マンションのメリットを再認識

1年前に千葉県我孫子市の団地の一室を購入し、リノベーションしたKさん一家。妻のAさんがリノベーションの設計・施工を展開するツバメクリエイツの設計士ということもあり、リノベーション前提で物件を購入した。Aさんにとって、自宅をリノベーションするのは今回が2回目。「結婚後に千葉県内の中古の戸建住宅を購入し、リノベーションして住んでいました。その後、主人の転勤で札幌に引っ越し、5年ほど暮らしました。今回戻ってくることが決まったタイミングでどこに住むかを考えた時に、戸建よりもマンションがいいなと思ったんです。戸建に住んでいた頃に、1階と2階の行き来の煩わしさや庭の管理の大変さ、防犯上の不安などを感じていたので」。
物件探しは、Aさんがかつて育った団地に絞って探したという。「築年数は40年以上経過していますが、現在の耐震基準を満たす強固な構造で造られています。現在も両親が暮らしているので、共用部などの管理がしっかりと行き届いているのも知っていました。なかでもこの棟は1室が100㎡を越えるので、以前からリノベーションしたら住みやすい空間になるだろうと考えていました」(Aさん)。この団地を購入し、リノベーションすることについては、ご主人も大賛成だったという。「僕も隣の市に生まれ育ったので、ここの環境の良さは知っていました。団地内には公園がいくつもあるので、子どもたちの遊び場としてもいいなと思いました」(ご主人)

もともと2部屋だった間取りを、リノベーションでひとつながりの大空間に。奥の壁にはアクセントとしてtoolboxの木材を張った。「将来的に部屋が必要なときに間仕切れるように、コンセントの位置などに配慮しました」 (Aさん) 。

もともと2部屋だった間取りを、リノベーションでひとつながりの大空間に。奥の壁にはアクセントとしてtoolboxの木材を張った。「将来的に部屋が必要なときに間仕切れるように、コンセントの位置などに配慮しました」(Aさん)。

リビングの一画を子どもたちのコーナーにしている。Aさんはこの家での子育ての様子や日々の仕事をインスタグラム

リビングの一画を子どもたちのコーナーにしている。Aさんはこの家での子育ての様子や日々の仕事をインスタグラムで発信中。

子どもの本やおもちゃの収納棚は、Aさんが図面を書いて大工さんにつくってもらったもの。「ニトリのボックスが入るサイズにして、天板には余ったモラートを塗りました」。

子どもの本やおもちゃの収納棚は、Aさんが図面を書いて大工さんにつくってもらったもの。「ニトリのボックスが入るサイズにして、天板には余ったモラートを塗りました」。

リビングとワークスペースの間にはアイアン窓をはめ、視覚的に連続した空間に。ワークスペースにも掃き出し窓があり、光がたっぷりと入る。

リビングとワークスペースの間にはアイアン窓をはめ、視覚的に連続した空間に。ワークスペースにも掃き出し窓があり、光がたっぷりと入る。

「広いデスクは資料を広げるのにとても便利です。以前は資料を片付けて食事にしていたことを考えると、とても働きやすいです」。

「広いデスクは資料を広げるのにとても便利です。以前は資料を片付けて食事にしていたことを考えると、とても働きやすいです」。

ワークスペースの壁の一面はあえてクロスを貼らず、躯体のままとした。行き来のしやすさを考え、あえて扉はつけていない。

ワークスペースの壁の一面はあえてクロスを貼らず、躯体のままとした。行き来のしやすさを考え、あえて扉はつけていない。

ワークスペースの壁の一面に棚を造作し、資料やプリンターなどを置いている。

ワークスペースの壁の一面に棚を造作し、資料やプリンターなどを置いている。

広さを活かして開放的な空間に

購入した物件は105.52㎡。広さにこだわったのは、札幌で暮らしていた家が手狭で苦労したためだという。「転勤中に家族が増え、約50㎡の2LDKに4人で暮らしていました。4人で生活するだけでも手狭ですが、私はリモートで設計の仕事を続けていたので、ますます狭さを感じていたんです。そこで新しい住まいでは、その時不便に感じたことを解決したいと思い、収納をしっかりとり、ワークスペースも確保したいと思いました」(Aさん)。
リノベーションにあたっては、スケルトン状態にした後に4LDKの間取りを3LDKに変更。もともとの間取りは、玄関を入って右手に洋室と8畳の和室が、左手にLDKと洋室、6畳の和室があった。「間取りとして大きく変えたのは、リビングと和室の間の壁を取り払って広いリビングに変えたことくらいです。あとは和室を洋室に変えたり、居室の一部を収納スペースにするなど、暮らしやすさを考えて設計しました」(Aさん)。
なかでもAさんがこだわったのが、キッチンだ。クローズドタイプの壁付キッチンをオープンキッチンへ変更し、LDKの主役となるキッチンに。さらに構造上とることのできない下り壁の奥にガスコンロと換気扇、冷蔵庫を設置することで、リビング・ダイニングから見た時にすっきりとした印象になるように配慮した。「システムキッチンの幅は腰壁の幅よりも短いのですが、リビング側から見た時の縦横比のバランスを考えて、あえて腰壁を横に伸ばす設計にしました」(Aさん)。腰壁には特殊セメントモルタル「モラート」を塗って仕上げている。「存在感が出る部分なので、お気に入りの素材で仕上げました。モラートは水や汚れに強いので、キッチンにぴったりです」。横に1メートルほど伸ばした腰壁のカウンターは、当初考えていた以上に使い勝手が良いそうだ。「買い物から帰ってきた時に荷物をちょっと置いたり、主人がコーヒーを飲みながら本を読んだり、息子が宿題をしたりと重宝しています。来客時には食事を並べてビュッフェ風にすることもあります」(Aさん)。

キッチンの前にダイニングテーブルをレイアウト。テーブルは直径120㎝あり、家族4人はもちろん、お客様をまじえて6人でもゆったりと座れる。ダイニングの照明は、セルジュ・ムーユの壁付タイプをセレクト。

キッチンの前にダイニングテーブルをレイアウト。テーブルは直径120㎝あり、家族4人はもちろん、お客様をまじえて6人でもゆったりと座れる。ダイニングの照明は、セルジュ・ムーユの壁付タイプをセレクト。

システムキッチンはクリナップのSTEDIA(ステディア)。モラートを塗った腰壁が存在感たっぷり。

システムキッチンはクリナップのSTEDIA(ステディア)。モラートを塗った腰壁が存在感たっぷり。

腰壁の延長部分はデスクのように使うこともできる。正面奥の扉の先が水回り。

腰壁の延長部分はデスクのように使うこともできる。正面奥の扉の先が水回り。

下り壁の奥に換気扇や冷蔵庫を設置することで、すっきりとまとめたキッチン。奥はパントリー。リノベーション前は、下り壁の奥にクローズドタイプのキッチンがあった。

下り壁の奥に換気扇や冷蔵庫を設置することで、すっきりとまとめたキッチン。奥はパントリー。リノベーション前は、下り壁の奥にクローズドタイプのキッチンがあった。

キッチンの奥には大容量のパントリーを設けている。「パントリー・キッチン・洗面所が一直線になるように計画をしたことで、家事動線がスムーズになりました」。

キッチンの奥には大容量のパントリーを設けている。「パントリー・キッチン・洗面所が一直線になるように計画をしたことで、家事動線がスムーズになりました」。

洗面室のシンクは、ツバメクリエイツでよく使う実験用シンクを採用。ゆったりとしたサイズが使いやすい。ミラーはIKEAのもの。

洗面室のシンクは、ツバメクリエイツでよく使う実験用シンクを採用。ゆったりとしたサイズが使いやすい。ミラーはIKEAのもの。

白ですっきりとまとめた洗面室。水回りの位置は変えずに、内装を一新して使いやすく。

白ですっきりとまとめた洗面室。水回りの位置は変えずに、内装を一新して使いやすく。

ワークスペースや用途別の収納で機能的に

念願だったワークスペースは、リビング・ダイニングに隣接して設けた。アイアン窓を設けることで開放感を感じつつ、仕事に専念できる。「広いデスクに資料を広げられる上、仕事の区切りがつくまで資料を片付ける必要もありません。ダイニングテーブルで仕事をしていたときと比べると、段違いに仕事がしやすくなりました」。
収納に関しては、パントリーに加えてファミリークローゼットやシューズインクローゼットを設けた。「ファミリークローゼットは、家族全員の衣類を一カ所にまとめることで、片付けが効率化でき家事がとても楽になりました。玄関ホールに設けたシューズインクローゼットは、子どもたちが自分でコートやリュックを片付けられるように、手の届く高さにフックをつけました。帰宅時にすぐに荷物を片付けられるのが便利です」(Aさん)。
広々とした空間と用途別に設けられた収納によって、開放感と機能性を両立させたK邸。「ここに暮らして、広さは心のゆとりにつながると実感しました」と話す夫妻。「大人も子どももストレスなく、のびのびと過ごせるのが嬉しいです」と締めくくってくれた。

玄関ホール。左手のドアがLDKに続く。玄関の右側はシューズインクローゼット。「あえて扉は設けず、ウォークスルーにしています」。正面のドアの先はファミリークローゼット。

玄関ホール。左手のドアがLDKに続く。玄関の右側はシューズインクローゼット。「あえて扉は設けず、ウォークスルーにしています」。正面のドアの先はファミリークローゼット。

Aさんの念願だった、家族全員の衣類を収納するファミリークローゼット。リノベーション時に8畳の和室の一部をクローゼットのスペースに変えることで実現した。

Aさんの念願だった、家族全員の衣類を収納するファミリークローゼット。リノベーション時に8畳の和室の一部をクローゼットのスペースに変えることで実現した。

子どもたちのリュックや上着なども収納する大型のシューズクローゼット。あえて扉は設けず、オープンな収納とした。正面の白い扉の先がご主人の部屋。

子どもたちのリュックや上着なども収納する大型のシューズクローゼット。あえて扉は設けず、オープンな収納とした。正面の白い扉の先がご主人の部屋。

ご主人の部屋には、大ファンだという柏レイソルのユニフォームが。「仕事で帰宅が遅くなるので、子どもたちを起こさないように寝室を分けてもらいました」 (ご主人) 。

ご主人の部屋には、大ファンだという柏レイソルのユニフォームが。「仕事で帰宅が遅くなるので、子どもたちを起こさないように寝室を分けてもらいました」(ご主人)。

もともと8畳の和室だったスペースを洋室に変更し、現在は寝室として使っている。

もともと8畳の和室だったスペースを洋室に変更し、現在は寝室として使っている。

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