3人家族の62㎡リノベーション建築家とつくった
4m超の壁付けキッチンがある住まい
物件選びで重視したのは?
今年で結婚4年目を迎える吉田家は、夫婦と1歳の娘、そして猫のむすびちゃんと暮らしている。入籍と同じタイミングでこのマンションを購入し、フルリノベーションをした。リノベーション会社「リノべる。」に勤務する旦那様の健さんは、資産性を考えてこのマンションを選んだと話す。
「何よりも駅近と管理の良さを重視しました。このマンションは住民同士できちんと協議した上で管理されている印象でした。たとえば補強工事などのハード面にお金をかけるのではなく、給排水管の交換など暮らしやすさのソフト面にお金をかける方針など。そういうところは理事会の議事録まで読んでチェックしました。内装デザインについては、物件購入当時は娘が生まれていなかったので、今後ライフスタイルが変化することを見据えて、売却しやすい資産性につながるデザインを意識しました」
リノベーションの設計は、建築家の小野寺匠吾さんに依頼をした。以前、健さんのクライアントとして、小野寺さんの物件探しから全体のコーディネートまでを担当したことが出会いのきっかけだ。
「家を作ってもらったらそこで終わりではなく、自分の人生の軸となる家は、プライベートでも関わっていける人に作ってほしかったんです。小野寺さんも同じ考え方で、僕を指名してくれた時はすごく嬉しかったです。何をつくるかより、誰とつくるかが大事でしたね」と続ける。
建築家の作品として。資産性をもたせた内装デザイン。
内装デザインも物件探しと同様に、資産性につながることを重視。
「リノベーションでこだわりすぎると売りづらくなるのでは?とよくクライアントからご質問をいただきますが、探しても他には見つからないよねっていう希少性が価値につながるんです。僕たちが小野寺さんにお伝えしたのは、人が集まる家にしたいということ。そして、料理が好きなのでキッチンをメインにしたいことくらいです。あとは小野寺さんの作品にしてもらう気持ちで、自由に設計していただきました(健さん)」
完成したのは、1LDKの間取り。玄関を開けると、サロン、寝室、水回り、LDKへとつながる。何よりも特徴的なのは、全長4m25cmの壁付けキッチンだ。
「結婚前に2人でパリに旅行した際、Airbnbを利用して個人邸に泊まったんです。その家のキッチンがこんな感じだったことと、料理家の渡辺有子さんのアトリエが昔から憧れで、いつかこんなキッチンにしたいね、なんて話していました。オープンなキッチンなので、友人を呼んで食事会をすると、みんなが自然に料理の手伝いや洗い物をしてくれるんです。わざわざキッチンに入らなきゃいけない感じがないのが、壁付けのいいところですよね」と、妻の茉由子さん。
そのほか、玄関横のサロンもこの家の特徴のひとつだ。チェストや椅子を置き、LDKに入るまでの前室のようなスペースにしているが、寝室の扉を開けることでLDKと繋がり、ひとつの大きな空間になる。
「サロンの中に寝室があるような間取りは、小野寺さんのアイディアです。寝室はベッドだけが入るような小さいスペースなのですが、寝室を仕切る6枚の扉は、それぞれ開け閉めできるようになっています。その扉をすべて開けると開放的な寝室にも感じられるんです(健さん)」
サロンは、静かになりたい気分のとき、1人で本を読んだり、ワークスペースとして使ったり。チェストには家族の思い出の品を飾って、その時々の使い方を楽しんでいる。
壁付け?L型?I型?夫婦の理想のキッチン。
娘が生まれてからは、1日があっという間に過ぎていくと話す茉由子さん。
「朝ごはんをあげて、昼ごはんをあげて、夜ごはんをあげて…ってしていると、一瞬で1日が終わります(笑)。娘中心の生活ですが、公園に散歩に出かけたり、カフェに寄ったりするのが、ささやかな楽しみになっています」
料理好きの健さんは、1日中キッチンに立っていることも多いそうだ。
「最近の趣味は、1週間分の作り置きをつくることです。娘の離乳食は妻に任せているのですが、大人用の作り置きをつくるのは僕の担当。ジャンル問わずに色んな料理をつくって気分をリフレッシュしています」
近い将来、ライフスタイルの変化に合わせて、住み替えも視野に入れている吉田家。今回のリノベを経験して、次の家でやりたいことをすでに夫婦で話し合っているそう。
「次のキッチンは、L型かシンクとコンロの分かれたII型にしたいです。今のキッチンは複数人で作業するにはぴったりですが、1人で料理をする時には横移動が多くて。だから次回のリノベでは全く別の形に挑戦してみたいです」と、2人で締めくくってくれた。