
売れっ子マンガ家の仕事場を兼ねた自宅ポップな家具が主役になる三角形の間取り
本当に必要なものだけを。“吾唯知足”の考え方に共感。
漫画家のMさんは昨年、この物件を購入しフルリノベーションをした。マルチーズのもにちゃんと一緒に暮らしている。
「引越しが好きでこれまで2年に1度は住まいを変えてきました。40歳が見えてきて年齢的にもそろそろ家を買いたいなぁと思っていたタイミングで、戸建てを購入した友人の家を訪問しました。賃貸では実現できない充実した暮らしを実際に見て、リノベーションに興味が湧きました」と話すMさん。
いくつかの会社に問い合わせた末、リノベーションは「ゼロリノベ」に依頼。
「いろんな会社の施工事例を見比べましたが、デザイン性が高いけど予算が合わなかったり、低コストに収まりそうだけどデザイン性がもう少しだったり。そんな中で一番バランスがいいと感じたのが「ゼロリノベ」さんでした。不必要なものを削ぎ落とし、必要なものは一切引かない『吾唯知足』という考え方を大切にしていて、その部分にも共感。物件探しからお願いをしました」と続ける。

築31年、総面積は約76m²。

玄関を入ってすぐ右手には、アパレルショップのようなウォーク・スルー・クローゼット。

テーブルに並んだ愛犬・もにちゃんの洋服の中には、Mさんお手製のものも。

当初からの計画通り、靴棚はクローゼットの近くに配置。

LDKを背に、玄関方向を眺めて。

造作の洗面台。照明は「toolbox」を採用。

洗面台上の鏡は、オランダのホームアクセサリーブランド「&klevering」のもの。
長方形を斜めの壁で仕切り、4つの三角形をつくる。
内装デザインの打ち合わせでは、好きなインテリアの写真をピンタレストで集めてイメージボードを作り、それをプランナーに共有しながら進めていったと話すMさん。かなりの枚数がある写真に、いくつかの共通点を見つけたと話す。
「アーチを多用したデザインや、斜めに壁が走っている家の写真がありました。それを見た設計士の野田歩夢さんから『斜めの間取りはどうですか?』 と提案を受けて。人と被らない個性的な家にしたいと考えていたので、『いいですね!』と即決でした」
3LDKだった間取りは、ほとんど扉のない1LDKへと変更。長方形の空間を斜めの壁で仕切ったことで、玄関、ウォークスルークローゼット、水回り、LDKが、独立した4つの三角形となってゾーニングされた。中でも特筆すべきは、玄関を開けてすぐ目に飛び込むオープンなクローゼットの存在。洋服や靴、アクセサリー類が、アパレルショップさながらにディスプレイされている。
「ファッション好きの自分の気分が上がるように、オープンに作ってもらいました。出かける前に靴まで含めて全身をチェックできるよう、仕切りの壁一面には鏡を貼って。クローゼットに扉をつけると、どうしても中がごちゃつくので、その観点からもオープンにして正解だったなと思っています」
必要最低限の扉や壁だけに絞ることで、コスト面でもデザイン面でも納得のいく空間が完成した。

LDKの一角に壁付けしたキッチンはミラタップの「オッソ」を採用。

キッチンツールは、ほとんど「IKEA」で揃えた。

ドーナツ型の壁掛け照明も「IKEA」のもの。

イタリアの家具メーカー・doriadeの「ROLY POLYアームチェア フレッシュ」。THE CONRAN SHOPで購入。

「ENT furniture」で購入した韓国製のコーヒーテーブル。

3つのアーチはそれぞれ左から、爬虫類ゾーン、寝室、ディスプレイスペースに続く。

リビングダイニング全体を眺めて。

爬虫類ゾーンには、ヘビやトカゲなど5種7匹の生き物が暮らしている。

ニシアフリカトカゲモドキのとかちくんは、ヤモリの仲間。
自宅にいながら、ONとOFFを切り替えるコツは?
漫画家という職業柄、特別に休日という日はなく、5年先まで仕事は埋まっているという売れっ子のMさん。日々のリフレッシュ方法は、もっぱらペットたちのお世話だと話す。
「正面から見る爬虫類の顔が好きです。爬虫類って目が離れていて、どこか宇宙人みたいな顔つきじゃないですか?哺乳類とは違った可愛らしさに癒されています。意外にも手間はかからず、ヘビなんて餌を与える頻度は1ヶ月に一度くらいなんですよ」
ほとんどの時間をこの家で過ごしているMさん。今後はクローゼットの反対側に設けたモルタル敷の土間でも仕事ができるように計画中だ。
「家で集中できない時はカフェで仕事をすることもあるのですが、天候が悪い日はなるべく家にいたい。そんな時、自宅にいながらカフェ気分を味わえるようにこのスペースを作りました。靴を履くと脳の切り替えになって、作業に集中できるんです。自然と姿勢もよくなる気がします。そのちょっとした緊張感を、自宅でも再現したいです。今はまだテーブルもないですが、今後は土間でも作業ができるよう整えていきたいです」
ここに越してまだ1年あまり。余白のある空間を、今後どう彩っていくのか。考える時間が楽しいと笑顔で締めくくってくれた。

リビングにある仕事用のテーブルは「IKEA」のもの。

「IKEA」の花瓶にピンクの花を飾って。

展示スペースにはキノコのような照明が光る。

寝室はピンクの塗装、テラゾーの床材を使って個性的な空間に。

ベッド1台がちょうど入る広さ。心地よい籠り感がある。

玄関側を背に、リビングダイニングを眺めて。

愛犬・もにちゃんが寛ぐソファは、ligne rosetの「ROSETTogo」。
