
異国情緒を楽しむ住まいモロッコの美しさと
職人の魂が宿る家
職人仕事が導くリノベーション
数多くの国を旅してきた中で、モロッコの風土と奥深い文化に強く魅了されたSさん。そんなSさんの住まいは、今回が2度目のリノベーションとなる。前回に引き続き、この家も『スマサガ不動産』にリノベーションをお願いし、こだわりの家づくりを実現させた。
「この家は“職人さんのオタク力”を結集した家としてできあがりました。
モロッコで修行を積んだ腕利きの『Euclid』のタイル職人をはじめ、現地の照明器具職人など、技と情熱をもった職人たちとの出会いが家に彩りを加えました」
さらに、ソファやカーテン、クッション、建具やフローリングにいたるまで、それぞれ信頼できる店を一軒づつ選びながら、理想の住まいを形にしていった。
「家具との付き合い方やデザインの基本を丁寧に教えてくれた『Megallan』。そして、私のこだわりにじっくりと向き合い、根気よく寄り添ってくれた『スマサガ不動産』。そんな頼もしいパートナーたちと一緒に家づくりができたことに、心から感謝しています」

モロッコのオレンジ色の砂漠の色や、淡いピンクとグリーンを組み合わせた壁面。「ツヤ感の有無など、壁の色にはかなり頭を悩ませました」。下がり天井を活かし、美しいタイルを貼ったドームを作った。ソファとダイニングテーブルは『Building』。

天井のタイルは、ジブリパークのタイルを施工した『Euclid(ユークリッド)』が数ヶ月かけて作り上げた作品。

「ピアノをもっと楽しみたいと思ったことも転居の理由のひとつでした」。部屋の広さは以前より10㎡広い、59㎡に。

収納の箱の上をデイベッドに。「モロッコで買ってきた生地を職人さんがクッションに仕立ててくださいました」。ここに寝転がってプロジェクターで映画を見るほか、来客時のベッドにも。

ペンダントライトの灯りが天井に模様を映し出す。モロッコ現地の職人の繊細な細工が美しい。グリーンの『MATSUSOU』で仕立てたカーテンの奥が寝室。

トイレの灯りもモロッコのもの。

壁に飾った赤いワンピースは、無機質なインターホンを隠す役目も。
タイルで彩った洗面所を玄関入ってすぐの場所に
モロッコの職人が手作業で仕上げた、繊細なペンダントライト。天井に美しい光の粒を撒き、夜の室内に幻想的な表情をもたらす。
「インテリアショップ『GODAN』が、のんびりとしたモロッコ気質の照明職人さんと根気よくやりとりしてくださいました。今後は、現地の家具の輸送もお願いしたいと思っています」
また、玄関入ってすぐの場所に室内壁を設け、そこに洗面所をレイアウト。壁の色はサハラ砂漠を思わせるトーンに。
壁の裏側にはワークスペースを配置し、集中して仕事ができる場所を作った。

オレンジ色のサハラ砂漠をイメージした壁に、洗面台を設置。

洗面台の鏡を彩るタイルも『Euclid』の作品。

掃除が楽なように蛇口は壁付に。洗面台の色に合わせて、洗面ボウルの色を選んだ。
手仕事のバスルーム
優雅なアーチの奥に広がるのは、開放感あふれるバスルーム。
壁に合わせて選んだグリーンのタイルは、目地を入れずに貼り上げるというこだわりの仕上げ。タイルの向きを変えながら丁寧に並べることで、奥行きと表情のある空間に仕上がった。
腰から下には、砂漠を思わせる温かみのあるカラーのタイルを採用。
そして床は、大ぶりの石を使った洗い出し仕上げに。
「かなり手間のかかる作業だったようで、小さな面積だからこそ実現できたそうです」

お風呂場のコーナーに腰掛けられる場所を作った。「バスタブに浸かりながらゆっくり動画を見てリラックスしています」

タイルは『名古屋モザイク』。あえて目地を入れずにタイルを貼った。

大きめの石を使った洗い出しの床面は『ヤブ原産業』。「壁のタイルとともに、職人さんの技術が結集したバスルームです」

玄関にガラスの引き戸をつけた。

『共和成産』でオーダーした幾何学模様を、2枚のガラスで挟み込んだ引き戸を制作。

玄関の床は洗い出しに。

曲線の壁の向こうにワークスペースがある。
美意識と機能が交差するキッチン
来客が多いこともあり、キッチンは広めにした。タジン鍋をはじめとするモロッコならではの調理器具もたくさんあり、収納や使い勝手にもこだわった。
「浄水と水道がひとつの蛇口から出てくる水栓や、ノックで開く食洗機など、最新のキッチン設備を導入し、料理を楽しんでいます」
さらに、リノベーションの際に窓を2重サッシにし、断熱や防音にも配慮。
「機能面にもこだわりました」
異国の美意識と、職人たちの手しごと、そして最新の機能性。 そのすべてが丁寧に調和した家は、旅の記憶と、日々の暮らしの心地よさが息づく、唯一無二の住まいだ。

壁付のキッチンにアイランドカウンターを組み合わせた。「上部が空いた引き出しはとても便利だったので、以前の家と同じものを作っていただきました」

ガラストップのガスコンロでタジン鍋料理を。赤のストウブが愛らしい。

手前のビルトイン食洗機は把手がない。2回ノックすると開くパナソニックの機種をセレクト。

キッチンのダクトをDIYでペイント。「天井のドームの余りのタイルを使って装飾しました」

『and wood』のフローリングは、幅広で白っぽいメープル素材をセレクト。ラグはモロッコで買ってきたもの。
