ON OFFを手軽に切り替える プライベート・仕事・交流 シーンに合わせられる空間

ON OFFを手軽に切り替えるプライベート・仕事・交流
シーンに合わせられる空間

フルリモートワークをきっかけに

Iさん一家が暮らすのは、都内にありながら大きな公園や河川敷が近くにある人気のエリアで、生まれたばかりのお子さんの子育てにも最適。夫妻が以前から好きだったというこの街で中古マンションを購入し、リノベーションを行った。
「賃貸マンションで暮らす中で、将来的に子どもが家族に加わることを考え、持ち家を購入することにしました。ただ、自分たちのイメージに合う物件がなかなか見つからなくて。そこで、自分たちが住みたいイメージ通りの空間を作れるリノベーションを選択しました」と夫。
リノベーションを決意するきっかけについて、「生活の変化が大きかった」と妻は話す。「元々、会社の近くに住んでいたのですが、コロナ禍で2人とも仕事がフルリモートになって、会社の近くに住む意味がなくなったんです。それに、2人が1つの部屋で仕事をしていると不便が多いというのもあって」。
そこでリノベーションでは、夫妻それぞれのワークスペースが設けるなど、これまで不便だと感じていた部分を解消した。また、仕事がフルリモートで自宅にいることが多いIさま夫妻だからこそ大事にしている〝ONとOFFの切り替え〟を意識した工夫が随所に見られる。

夫妻ともにフルリモートワークになったことをきっかけに2LDK、76㎡のマンションを購入し、リノベーションを行った。

夫妻ともにフルリモートワークになったことをきっかけに2LDK、76㎡のマンションを購入し、リノベーションを行った。

ダイニング側の床を上げ、段差部分にはフットライトを取り付けた。

ダイニング側の床を上げ、段差部分にはフットライトを取り付けた。

元々、ダイニングとリビングの間には壁があり別々の空間だったが、壁をなくしたことで明るく広々としたリビング・ダイニングになった。

元々、ダイニングとリビングの間には壁があり別々の空間だったが、壁をなくしたことで明るく広々としたリビング・ダイニングになった。

黒でもグレーでもない織物感のあるアクセントクロスが、程よい存在感を演出する。絵が飾られた正面の壁を挟んでワークスペースがあり、リビングからは左奥にあるスペースに通じる通路しか見えない。

黒でもグレーでもない織物感のあるアクセントクロスが、程よい存在感を演出する。絵が飾られた正面の壁を挟んでワークスペースがあり、リビングからは左奥にあるスペースに通じる通路しか見えない。

“動かせない”を愛でて活かす

“手の込んだリノベがしたい”と探す中で見つけたのがSHUKEN Reだった。Iさん夫妻は間取り図に希望に近い写真を貼ってイメージを伝え、ノルディックモダンな雰囲気の空間をつくり上げた。
現在のリビング・ダイニングは、元々は壁で区切られていた。「独立した部屋に大きなガラス窓があって、一番明るかったんです。なので、南側をリビング・ダイニングとしてまとめて、採光を取りやすいようにしました」と妻。
リビングとダイニングにある段差は、目を引く大きな特徴だ。「当初はリビングから床が下がっていたんです。配管の関係で全て下げることができないので、全て上げるか、今のパターンにするかを、SHUKEN Reと話し合いました。全て上げると天井高が低くなってしまうし、そのままにするとリビングに入る時に急に床が下がっていて危ないので、今の形にしました。スキップフロアのように、段差自体を活かせたらと考えたんです」。段差をベンチがわり使うこともあり、来客が多い時に活躍すると話す夫。一方妻は、動かすことのできないものを活かす方向でプランを組み立てたと振り返る。「段差を愛せる形にしようと思いました。天井にある動かせない梁も、あえて前に出すことでコーブ照明にして活かしています」。
大きなガラス窓があり最も日当たりの良いスペースは、造作のベンチとシェルフを設けてヌックにした。「内見した時から、ここでお昼寝したら気持ちよさそうだなと思っていたので、横になれる奥行きと幅のあるベンチにしました。高さも横になった時、程よく陽が当たるように設定しています」と妻。

アクセントクロス上部にある梁を活かしコーブ照明にした。Iさん邸は所々にアクセントカラーとして黒が入る。

アクセントクロス上部にある梁を活かしコーブ照明にした。Iさん邸は所々にアクセントカラーとして黒が入る。

バイオエタノール暖炉「EcoSmart Fire」と、以前から妻が憧れていたという「バタフライチェア」。

バイオエタノール暖炉「EcoSmart Fire」と、以前から妻が憧れていたという「バタフライチェア」。

ヌックにあるシェルフのグリッドは置きたいもののサイズに合わせて決めた。造作ベンチの下は収納スペースになっており、アウトドアギアなどが収納されている。

ヌックにあるシェルフのグリッドは置きたいもののサイズに合わせて決めた。造作ベンチの下は収納スペースになっており、アウトドアギアなどが収納されている。

妻のワークスペース。オープンなスペースと違い、仕事終わりに片付ける必要がないというメリットがある。上部には造作棚を設けた。

妻のワークスペース。オープンなスペースと違い、仕事終わりに片付ける必要がないというメリットがある。上部には造作棚を設けた。

ほぼ毎日在宅のため、一緒に料理を作ることが多いIさん夫妻。キッチンは2人で立っても余裕がある広さを確保した。ステンレスの天板が空間を引き締める。

ほぼ毎日在宅のため、一緒に料理を作ることが多いIさん夫妻。キッチンは2人で立っても余裕がある広さを確保した。ステンレスの天板が空間を引き締める。

アクセント壁には名古屋タイルを採用。シェルフには夫の趣味であるコーヒーツールが並ぶ。

アクセント壁には名古屋タイルを採用。シェルフには夫の趣味であるコーヒーツールが並ぶ。

冷蔵庫も入るパントリーはリビングから見えない位置にある。「以前の家は冷蔵庫を開けた時に、ゲストに中が見られちゃうのが嫌だったんです。そういった気になっていた細かいところを解消しています」と妻。

冷蔵庫も入るパントリーはリビングから見えない位置にある。「以前の家は冷蔵庫を開けた時に、ゲストに中が見られちゃうのが嫌だったんです。そういった気になっていた細かいところを解消しています」と妻。

リビングドアには黒枠のガラス張りのものを採用した。Iさん邸はアクセントに黒を使い統一感を持たせている。

リビングドアには黒枠のガラス張りのものを採用した。Iさん邸はアクセントに黒を使い統一感を持たせている。

シチュエーションに合わせて

リノベーションをした理由の一つでもある夫妻それぞれのワークスペースだが、夫は玄関近くの部屋を利用し、妻はリビング・ダイニングに壁を設けてスペースをつくった。妻のワークスペースは生活に最も近いところにありながら、デスク周りを片付ける手間なく、プライベートに気持ちを切り替えることができる。「私の仕事部屋をつくるより、広いリビング・ダイニングをつくることを選びました。一見狭い印象を持つかもしれませんが、座ったら気にならないし、集中できて快適なんです。料理をしたり、子どもの様子を見たりしながら仕事をすることもあるので、場所としても最高です」。
ともに料理をするIさん夫妻は、人を招き食事を振る舞うこともしばしばだという。そんな夫妻の来客への配慮の一端が、廊下に出した洗面所で見られる。「狭い通り道になりがちな廊下を広げたいという希望があって。洗面所を廊下に出すことで、玄関を入って視界が広がりますし、生活感がある脱衣場は扉を閉めることで隠すことができます」と妻。
洗面所から玄関側を見ると、小さなニッチがある。リビングの手前に余裕のある空間を作りたいという夫妻の希望で、あえて廊下側に壁を設けて作られた“ゆとりの空間”だ。壁に反射模様が映るようペンダントライトを設置し、ライトと壁が空間に“ゆとり”という役割を持たせる。
“家族の時間”“仕事の時間”“友人たちとの時間”。シチュエーションに合わせて自然と切り替えや使い分けができるIさん邸は、それぞれの時間を大事にしたいという夫妻の想いが体現されている。

寝室の一部だったスペースを自転車やベビーカーを置く土間にした。「使いづらいスペースだったので切り離して土間にして、寝室との間に室内窓をつけました」と夫。玄関に視覚的な広がりを持たせる効果もある。

寝室の一部だったスペースを自転車やベビーカーを置く土間にした。「使いづらいスペースだったので切り離して土間にして、寝室との間に室内窓をつけました」と夫。玄関に視覚的な広がりを持たせる効果もある。

玄関からリビングダイニングを見る。洗面スペースを廊下に出し、洗面台を床から浮かせることで玄関からの抜け感を出す。

玄関からリビングダイニングを見る。洗面スペースを廊下に出し、洗面台を床から浮かせることで玄関からの抜け感を出す。

スライドドアの奥に脱衣所と風呂場があり、来客時は閉めておくことで生活感を隠す。「生活感をOFFにできることは自分たちも心地よく生活できることに繋がると思って」と話す妻。

スライドドアの奥に脱衣所と風呂場があり、来客時は閉めておくことで生活感を隠す。「生活感をOFFにできることは自分たちも心地よく生活できることに繋がると思って」と話す妻。

置き型の洗面ボウル、ミラー下に設置したティッシュ出しの穴、天板に埋め込まれたゴミ入れなどホテルライクな造作洗面台。

置き型の洗面ボウル、ミラー下に設置したティッシュ出しの穴、天板に埋め込まれたゴミ入れなどホテルライクな造作洗面台。

飾り棚が置かれたスペースは収納スペースにする案もあったが、廊下側に壁を設けて見せるニッチに。ペンダントライトのシェードのサイズに合わせてソケットの位置を調整した。

飾り棚が置かれたスペースは収納スペースにする案もあったが、廊下側に壁を設けて見せるニッチに。ペンダントライトのシェードのサイズに合わせてソケットの位置を調整した。

ペンダントライトの明かりが美しい反射模様を壁に映す。

ペンダントライトの明かりが美しい反射模様を壁に映す。

北側にある夫のワークスペース。リモート会議を念頭に、背面の壁はダークグリーンを採用した。

北側にある夫のワークスペース。リモート会議を念頭に、背面の壁はダークグリーンを採用した。

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