民藝とヴィンテージと猫を愛でる シンプルなハコを ミッドセンチュリーで統一

民藝とヴィンテージと猫を愛でるシンプルに仕上げたハコを
ミッドセンチュリーで統一

雑貨やアートが映える空間に

部屋に入ると出迎えてくれるのは、ヴィンテージの家具や多国籍な民藝品、アートにグリーン、そして2匹の猫たち。大学教員のOさんと、ファンション関係のバイヤーを務めるKさんは、東京・城南地区に建つ、築40年の物件を1年ほど前にリノベーションした。
「インテリアショップや、ギャラリーなどを回るのが好きで、色々なものを買い集めてきました。でも、以前住んでいた賃貸マンションでは、イメージ通りに飾れなくて。いつかはリノベーションをしたいと思い、ネットで見つけたnuリノベーションに、物件探しから依頼しました」
愛着のあるモノたちに似合う空間をつくりたい、という想いからリノベーションを選択したおふたり。それまでに見ていたインテリア雑誌や本、インスタグラムなどから空間をイメージし、設計デザイナーに伝えてスタートした。

総面積は63.37㎡ 。床は無垢のオーク材。ピッチが目立たないよう、190mmの幅広のフローリングを敷いた。

総面積は63.37㎡ 。床は無垢のオーク材。ピッチが目立たないよう、190mmの幅広のフローリングを敷いた。

ヴィンテージの家具とグリーンが調和するリビング。

ヴィンテージの家具とグリーンが調和するリビング。

スコティッシュフォールドのシシちゃん8歳 (下) と、サビ猫のミアちゃん1歳 (上) 。“かわいすぎて”キャットタワーを手作り。カーテンはノーマンのスマートドレープシェード。

スコティッシュフォールドのシシちゃん8歳(下)と、サビ猫のミアちゃん1歳(上)。“かわいすぎて”キャットタワーを手作り。カーテンはノーマンのスマートドレープシェード。

白をベースに、ノイズをカット

スケルトンにして3LDKから2LDK+ウォークインクローゼット、土間に変更。間取りは当初からある程度決めていたそう。
「63㎡程なのでそれほど広くないし、LDKを限界までとって広々と使えるようにして、ベッドルームとワークスペース、ウォークインクローゼットを最小限に設けました」
はじめに、担当アドバイザーがリノベーションしていた自邸を見学することに。とことん無駄をカットし、ノイズを省いたそのミニマムな空間が、大いに参考になったそうだ。
「部屋自体は白をベースにした、シンプルで無個性な空間でいいと思っていたんです。その上でタイルやドアの色、仕切り壁にアールをつけることなどをリクエストしています」
担当アドバイザーの自邸を参考に、廊下に設けた洗面は、Mieleの洗濯機をビルトインしてボックスのようにすっきりとデザイン。グリーンのマットなタイルがあしらわれたキッチンは、引き出しのラインを最小限にして、家具のように美しく造作した。
「空間自体は、アドバイザーさんの家の要素を取り入れつつ、僕らはそれをアレンジしています。デザイン的には『BEAMS』のスーパーバイザーさんの家を参考にしているところがあります」

剥き出しの天井と白塗装に包まれた空間。仕切り壁にアールをつけることでやわらかさを表現。

剥き出しの天井と白塗装に包まれた空間。仕切り壁にアールをつけることでやわらかさを表現。

玄関に設けた土間が、余裕を感じさせる。雑貨を美しくレイアウト。

玄関に設けた土間が、余裕を感じさせる。雑貨を美しくレイアウト。

100足ある靴を収納するため、大容量のシューズボックスを造作。6

100足ある靴を収納するため、大容量のシューズボックスを造作。

廊下に洗面&ランドリーを設け、機能性を持たせた。脱衣所&バスルームには扉を付けず、『Out of museum』で購入した暖簾を仕切りに。

廊下に洗面&ランドリーを設け、機能性を持たせた。脱衣所&バスルームには扉を付けず、『Out of museum』で購入した暖簾を仕切りに。 

nuリノベーションのアドバイザーの自邸を参考にした洗面&ランドリー。ラインを揃え、機能をコンパクトにまとめた。

nuリノベーションのアドバイザーの自邸を参考にした洗面&ランドリー。ラインを揃え、機能をコンパクトにまとめた。

ベッドだけを置いたシンプルなベッドルーム。リビングとの仕切り壁に通気口を設けた。

ベッドだけを置いたシンプルなベッドルーム。リビングとの仕切り壁に通気口を設けた。

ベッドルームに接続しているワークスペース。背面に本棚も造作している。

ベッドルームに接続しているワークスペース。背面に本棚も造作している。

家具のように見えるワイドなキッチン。引き出しを内蔵することで、外側から見えるラインの本数を抑えている。

家具のように見えるワイドなキッチン。引き出しを内蔵することで、外側から見えるラインの本数を抑えている。

鮮やかな色で遊ぶ

おふたりが特に心酔しているのが、イームズ邸やルイス・バラガン邸。玄関ドアの赤や洗面タイルの目地のピンク、キッチンのタイルのグリーンなど、鮮やかな色遣いにも、その雰囲気が感じ取れる。
「シンプルだけど少し色が入っているイームズ邸や、中南米系の雰囲気のあるルイス・バラガン邸が昔から好きです。ただ、向こうは天井の高い大きな家なので、ここでそれを真似することはできないと思いますね。でもカラーは随所に使っていて、インテリアはミッドセンチュリーで統一しています」
玄関ドアの赤は、中国出身のKさんが、風水の考え方から取り入れたものなのだそう。
「玄関に赤をあしらうと、邪気を追い払うと言われているんです。色調にはこだわり、少しくすんだトーンにしました。トイレは閉鎖的な空間なので、遊んでみてもよいかと思い、オレンジ系の混ざったピンクの壁紙を使っています」
LDKは、ジョージ・ネルソンのバブルランプにイームズのラウンジチェア、ヴィンテージのダイニングテーブルなど、選ばれた家具が埋め尽くす。
「家具の配置もけっこう変えていて、コーディネートを楽しんでいます。気分も切り替えられますね」

風水の考え方を取り入れて、玄関ドアの内側に赤いシートを張った。

風水の考え方を取り入れて、玄関ドアの内側に赤いシートを張った。 

サンタフェを感じさせるピンクオレンジのトイレ。“飾る場所がなかった”アートもここに。

サンタフェを感じさせるピンクオレンジのトイレ。“飾る場所がなかった”アートもここに。

目地を淡いピンクで塗った洗面台。水栓は壁付けに。

目地を淡いピンクで塗った洗面台。水栓は壁付けに。

悩み抜いて選んだモスグリーンのタイル。マットな質感とムラ感がある。

悩み抜いて選んだモスグリーンのタイル。マットな質感とムラ感がある。

ベッドルームとリビングの間の壁に3つ開けた通気口は、ニューメキシコの建築物から発想したもの。

ベッドルームとリビングの間の壁に3つ開けた通気口は、ニューメキシコの建築物から発想したもの。 

いつも花を絶やさない。Oさんが買い集めた花瓶に、Kさんがお気に入りの近所の花屋さんで購入する花を活けている。

いつも花を絶やさない。Oさんが買い集めた花瓶に、Kさんがお気に入りの近所の花屋さんで購入する花を活けている。

またリノべーションに挑戦したい

リビングに配置された北欧ヴィンテージのキャビネットには、アフリカ、メキシコ、北欧などの雑貨や民藝品を美しくディスプレイ。インドアグリーンやOさんがはまっているビザールプランツが、様々なモノが溢れる空間に溶け込んでいる。
「生活空間ではあるのですが、鑑賞するための空間として考えたので、家にいることが心地よいですね。好きなものしか置いていないので、ストレスを感じることもありません」
休日は、ビールを飲みながらプロジェクターで壁に投影して映画を観たり、音楽を聴いたり、羽根木の『Out of museum』や祐天寺の『SEIN』など、インテリアショップや雑貨屋を巡ったり…。実はまだ飾り切れていない雑貨やアートがあるのだそう。
「服や靴が好きなところから始まっている部分があり、持ちものも多いんです。土間はもっと広くてもよかったと思っているし、まだまだやりたいこともあるので、本当は100㎡くらいほしいですね。リノベーションは今また、すぐにでもやりたいと思っています (笑)」

イームズのラウンジチェア、ハンス・J・ウェグナーのソファ、USMハラーのサイドボードなどが彩るリビング。

イームズのラウンジチェア、ハンス・J・ウェグナーのソファ、USMハラーのサイドボードなどが彩るリビング。

北欧ヴィンテージのキャビネットに、様々な雑貨を。メキシコのジャガーのマスク、リサ・ラーソンの置物、デンマーク・ホルムガードの吹きガラス、メキシコのトナラ焼など、ひとつひとつが目を楽しませてくれる。

北欧ヴィンテージのキャビネットに、様々な雑貨を。メキシコのジャガーのマスク、リサ・ラーソンの置物、デンマーク・ホルムガードの吹きガラス、メキシコのトナラ焼など、ひとつひとつが目を楽しませてくれる。

夏はベランダで、冬は室内で多肉やビザールプランツを育てている。

夏はベランダで、冬は室内で多肉やビザールプランツを育てている。

カイ・クリスチャンセンのキャビネットの上をディスプレイ。陶芸家・荒川真吾の花瓶など。卵の形のオブジェは『Out of museum』で購入したフライドエッグトロフィー。

カイ・クリスチャンセンのキャビネットの上をディスプレイ。陶芸家・荒川真吾の花瓶など。卵の形のオブジェは『Out of museum』で購入したフライドエッグトロフィー。

大学で19世紀の米文学を教えているOさんは、アメリカに留学経験も。ダイニングテーブルは奈良のヴィンテージ家具屋『スワンキーシステムズ』で購入。

大学で19世紀の米文学を教えているOさんは、アメリカに留学経験も。ダイニングテーブルは奈良のヴィンテージ家具屋『スワンキーシステムズ』で購入。

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