ToKoSie ー トコシエ

手をかけて大切に営む暮らし解体から完成まで
一家で築き上げた独創空間

都心に近く自然豊かな環境

中目黒でリノベーションデザイン会社を営む原直樹さんは、昨年、多摩川に近い築17年のマンションを自宅として購入。
「会社に自転車で30分以内で行けて、空が開けた自然が感じられるところに住みたいと思いました。川の近くに惹かれましたね」。
ベランダでは家庭菜園を楽しみ、休日はコーヒーとサンドイッチを持って、家族で川縁を散歩。そんな暮らしは、家族総出で行ったリノベーションが可能にした。プランニングから解体、工事までを原さんと妻、大学生の長男、高校生の長女の4人に大工さん一人で行ったのだという。
「仕事にしているのだから、勉強の意味もあり、一度工事もやってみたいと思っていました。それをさらに家族でやれれば思い出になるのかなと。これから素立っていく子供との、いい時間が持てたと思っています」。

和室を取り払い、ワンルームにしたLDK。角部屋で日当りもよい。ナラ材のフローリングに、ベランダ側にはタイルを敷いた。冬は蓄熱、夏は冷んやりと涼しさが感じられて、うさぎのイブちゃんもお気に入り。
和室を取り払い、ワンルームにしたLDK。角部屋で日当りもよい。ナラ材のフローリングに、ベランダ側にはタイルを敷いた。冬は蓄熱、夏は冷んやりと涼しさが感じられて、うさぎのイブちゃんもお気に入り。
ヴィンテージ感のある床に、赤いタイルをあしらったダイニングテーブルがアクセントに。エアコンのホースが出ていた窓側の一角は、木で囲んで隠すとともにTVなどの棚に活用。
ヴィンテージ感のある床に、赤いタイルをあしらったダイニングテーブルがアクセントに。エアコンのホースが出ていた窓側の一角は、木で囲んで隠すとともにTVなどの棚に活用。
ダイニングテーブルの椅子は教会で使われていたもの。壁は匂いを吸収する珪藻土を塗った。
ダイニングテーブルの椅子は教会で使われていたもの。壁は匂いを吸収する珪藻土を塗った。

キッチンの作業性を考えて

解体には約2週間。天井、床、間仕切りを壊し、床張りは妻が、タイル貼りは長男が、壁塗りは長女が主に担当。
「だいたい2カ月半で完成しました。自分でやってみると色んなことがわかってきます。何であれ作っている工程は見えないけれど、実際に体験することでものの成り立ちがわかると思うんです」。

もともと家族みんな手作り大好きな一家。食事も素材から手作りする妻の祐子さんが特にこだわったのは、キッチンだったのだそう。
「味噌づくりやパンづくりをするので、大きな作業台が欲しかったんです。作業台自体も自分で作りました」。
仕事で余った大きなタイルに、IKEAの引出しを使って作成。片側はカトラリーなど食卓で使うもの、もう片側は本棚にするなど、使い勝手も考えた。
「LDKの中でキッチンの占める割合はどうしても大きくなりました。視界も開けた感じにしたかったので、壁を取り払いました」。
広々としたワンルームのLDKは、キッチンを中心にどこも工夫が施され、温かさを感じさせる。

しっかりと存在感のある作業台。後ろの棚は古道具屋で買った扉を使って作成。パイプスペースを隠す目的もあるそう。
しっかりと存在感のある作業台。後ろの棚は古道具屋で買った扉を使って作成。パイプスペースを隠す目的もあるそう。
キッチン台はステンレスの天板をオーダーし、IKEAの引出しを使って造作したもの。スパイスや調味料などの使い勝手を考えて、棚も取り付けた。
キッチン台はステンレスの天板をオーダーし、IKEAの引出しを使って造作したもの。スパイスや調味料などの使い勝手を考えて、棚も取り付けた。
コンロの向い側にはパントリーを設けた。床は汚れを気にしなくていいようタイルを採用。1枚ずつ色合いが違い、ムラがあるのが味。
コンロの向い側にはパントリーを設けた。床は汚れを気にしなくていいようタイルを採用。1枚ずつ色合いが違い、ムラがあるのが味。
ビール酵母を使って発酵させたパンを焼く祐子さん。ビールも自宅で醸造。コーヒーは着豆から生煎するという凝りよう。
ビール酵母を使って発酵させたパンを焼く祐子さん。ビールも自宅で醸造。コーヒーは生豆から焙煎するという凝りよう。

もとの造りを活かした工夫

お祖母さんの家からもらってきたのだという民芸品や、旅先で買ってきたお土産品などに彩られた室内は、どこかエクゾチックな雰囲気も。LDKの一角には壁をくり抜いたようなソファースペースがあり、“オリエンタルエリア”と呼んでいるそう。
「もともと押し入れだったところなんです。下段はソファーにしてリビング側で、上段はベッドとして子供部屋側で使っています」。
天袋だったところにはアンティークの扉を取り付けて光と風が通るように。ソファーまわりにはキャメルランプに、トルコやスペインなどのお土産品をコーディネート。ベランダ側に設置したスクリーンを降ろして、ここで映画などを観るのが家族みんなの楽しみなのだとか。
「娘も自分で部屋の模様替えをするのが好きなので、本人の好きなようにさせています。今のテーマは“スペイシー”で、最近、壁を水色からグリーンに塗り替えたんですよ」。
鮮やかに彩られた子供部屋も、娘さんが自ら着手。グリーンに合わせて天井は白から紫に塗り替え、床はフローリングからPタイルに張り替えたそう。ヴィヴィッドなカラーに、趣味でコレクションしている昔のレコードや、アーチストの作品が映える。

エスニックなムードが漂う“オリエンタルコーナー”。押し入れだったところをソファーに、上部は反対側の部屋でベッドに活用。
エスニックなムードが漂う“オリエンタルコーナー”。押し入れだったところをソファーに、上部は反対側の部屋でベッドに活用。
友人と一緒に壁を塗ったという長女の部屋。今はスペーシー=宇宙的にコーディネート。
友人と一緒に壁を塗ったという長女の部屋。今はスペーシー=宇宙的にコーディネート。
大好きなムーミングッズやアーチストの作品、拾ってきた(?)レコードなどをディスプレイ。
大好きなムーミングッズやアーチストの作品、拾ってきた(?)レコードなどをディスプレイ。
洗面は、白いタイルと木のナチュラルな風合いに、マリンランプがインダストリアル感をミックス。
洗面は、白いタイルと木のナチュラルな風合いに、マリンランプがインダストリアル感をミックス。
ウイリアム・モリスの壁紙を貼ったトイレは、“フォレストガーデン”がテーマ。旅の思い出コーナーでもある。
ウイリアム・モリスの壁紙を貼ったトイレは、“フォレストガーデン”がテーマ。旅の思い出コーナーでもある。

再生可能な暮らしを

インテリアは、昔使っていた家具などを解体してリユースしていることが多い原邸。例えば、使い込んだテーブルをばらし、脚は吊り戸棚に活用、天板には別の板をつなげてタイルを貼り、建物の解体で出た脚を新たに取り付けてできたのが、今のダイニングテーブル。
「何でも捨てるのはもったいなくて。知恵を使って再利用したいんです」。
キッチンではリンゴの木箱で作ったコンポストで堆肥を育成中。これを家庭菜園に利用する。
「空間に限らず、色んなものに手をかけて暮らしています。グリーンを育てて増やしていくのも楽しいし、食事も自分で作ったものはおいしいです。そんな手をかける暮らしを楽しんでいます」。

2面採光で明るい。捨てられる運命にあったリンゴ箱をDIYでキャビネットに。あちこちに飾られている油絵は、画家である直樹さんのお母様の作品。
2面採光で明るい。捨てられる運命にあったリンゴ箱をDIYでキャビネットに。あちこちに飾られている油絵は、画家である直樹さんのお母様の作品。
フィールドガレージ代表の原直樹さん。リノベーションの他、オリジナル家具製作、レンタルDIYスペース運営も。
フィールドガレージ代表の原直樹さん。リノベーションの他、オリジナル家具製作、レンタルDIYスペース運営も。
無印良品の棚を黒く塗り、取っ手を付け替えたキャビネット。その上は直樹さんのお母様の作品。
無印良品の棚を黒く塗り、取っ手を付け替えたキャビネット。その上は直樹さんのお母様の作品。
ここに引っ越してきて、コウモリランやサボテン、多肉植物などグリーンを育てる楽しみも倍増した。
ここに引っ越してきて、コウモリランやサボテン、多肉植物などグリーンを育てる楽しみも倍増した。
リンゴ箱で作ったキッチンの片隅のコンポスト。食材も無駄無くリサイクル。
リンゴ箱で作ったキッチンの片隅のコンポスト。食材も無駄無くリサイクル。
家族の大切な思い出、原邸のリノベーション記録。テーブルランナーは祐子さんお手製のさをり織り。
家族の大切な思い出、原邸のリノベーション記録。テーブルランナーは祐子さんお手製のさをり織り。