自分流の楽しさ溢れる家センスと熱意で
セルフ・リノベーション
アッと驚くシカケが楽しい
石田宅にお邪魔してまず目を奪われるのがバスルームのシカケ。部屋の一角にポリカーボネイトの波板で囲われた場所がある。その前面を大きく跳ね上げるとバスタブが現われる。その奥には、雨のように水が落ちるシャワーが設えてあり、内側はガルバリウム鋼板が使われている。
石田邸のリノベーションは、石田さんご本人がプランを考えたセルフ・プロデュース。
「こんな感じのものを作りたいと、大量の資料をもとに、職人さんと話し合いながら作っていただきました」
当時は映像の製作会社に勤めており、多忙を極めていた石田さん。家づくりを行うことも初めての経験でしたが、仕事帰りの深夜にリノベーション中の家に寄り、「ここはこんなふうにして欲しい」とメッセージやイラストを残し、密に職人さんとコミュニケーションをとっていったのだそうだ。
この家づくりがひとつのきっかけとなり、2015年の6月に『toolbox』に加わった石田さん。『toolbox』とは、ユニークな不動産物件を扱うことで人気の『R不動産』のグループサイト。自分の空間を編集していくための道具箱をテーマに、内装建材やリフォームサービスを提供するネットショップだ。その『toolbox』のショールームには、石田さんのアイディアも数多く盛り込まれている。
巨匠の椅子でくつろぐ
照明、蛇口、把手、椅子、壁の仕上げ……、石田宅を構成するひとつひとつのものに、愛着とこだわりが溢れているのがよくわかる。
石田さんのインテリア愛が溢れているのが、巨匠の名作椅子を集めた一角。
「グレーのマーク・ニューソンのオルゴンチェアは18歳の時に買いました。サイズ的にも、18歳にしてはかなり思い切った買い物でしたが、そこから家づくりが始まったと思います」
他にも、ジャスパー・モリソンのシンキングマンズチェアとローパッド、マルセル・ワンダースのノッテッドチェアが顔を合わせる。透明チューブを使った珍しいワシリーチェアも。
木箱やアンティークのゼロハリバートンのスーツケースなど、“箱モノ”を収納に使うのも石田流。ハリバートンのメイクボックスは釣具ケースになっていた。
アイランドキッチンは古家具
料理が趣味という石田さんはキッチンにもこだわった。背の高い石田さんに合わせて、御影石のキッチンのカウンターの高さは935mm。
アイランドキッチンはなんと古家具。天板をくり抜いて、シンクと電気コンロを設置。その隣には、アウトドア用のツーバーナーも。
解体した時に出てきた銅管は、キッチンの壁に取り付け、キッチンツールを吊り下げるバーとして使っている。
「本当はこの銅管を使って棚も作りたかったのですが、『toolboxショールーム』で実現させました」
自身のリノベーションの経験を通して、リノベーションにはどんなものが必要で、ありそうでないものがどういったものなのかを熟知している石田さんは、まさに『toolbox』での仕事は天職。商品開発にも余念がない。