旅する料理家の異国空間異文化ミックスで
日常に旅気分を味わう
無国籍な雑貨が溢れかえる
玄関を入ると、トルコのランプ、ウズベキスタンの刺しゅう入りクロス、ジョージアのキリム…、エスニックな雑貨たちがお出迎え。料理家・口尾麻美さんの家は、異国情緒と豊かな色彩に溢れている。
「年3回くらい海外に行く生活が続いていて、食器や雑貨、本など、とにかく色々買ってきてしまいます」。
料理教室で使う食器やカトラリー、調理器具、ラグやクッション、民芸品。トルコやモロッコを初め、東アジアや中央アジアまで、無国籍に選ばれたものたちは、口尾さんの生活の一部でもある。
「収まりきらなくて困っていて(笑)、棚を造作しようかと今、色々と考えているところなんです」。
海外の雑誌からヒントを得て
口尾さんがこの部屋に暮らし始めたのは15、6年前。都内の人気エリアに建つ当時築30年くらいの物件を購入してリノベーション。
「色々探したのですが、ここはちゃんとメンテナンスされていて、共有部分のお手入れも行き届いていたので決めました。最初は和室もあって、全く普通の造りでしたよ」。
仕切りをすべて壊しスケルトンにしてワンルームに。構造上取れなかった梁は、塗装屋さんに塗料を配合してもらいグレーに塗った。
「リフォームが夢だったんです。雑誌を色々見て、こんな風にしたいとリクエストしました」。
例えばダイニングの棚は、海外の雑誌で見た天井まで届く高さの棚に。シンク前には棚板を取り付けてもらった。
「料理教室を始めようと考えていた頃だったので、LDKは広くとりたいと思っていました」。
ベッドルームは収納棚を仕切り代わりにしてコンパクトに配置。
「定めるのが好きじゃないんです。壁を設けるよりは可動式にしていつでも動かせるようにしておきたいと思いました」。
仕切りの棚はDIYでペイント。当初はピンクに塗っていたのを、現在は黄色にリペイント。バザールのように楽しい空間の演出にもなっている。中近東、アフリカ、最近惹かれている中央アジアなど色々な文化が混在した空間は、まるでパリのアパルトマンにいるよう。
自由な発想を生むキッチン
キッチンはレストランの厨房をイメージしてオープンに。人造大理石の天板でオーダーしたキッチン台は、扉を取り付けず、食器類も見せて収納している。
「キッチン周辺はモロッコ風のモザイクタイルを使いたかったんです。でも素材的に悩んでいた時、たまたまスーパーでPタイルを見かけて、これだ!と(笑)」。
黒い正方形のPタイルを4つ並べて大きい正方形を作り、目地をゴールドで彩った。コストも抑えられつつ、ゴージャスな雰囲気に。
「お掃除も楽だし、食器を落としたりしても心配がないので、よいアイデアでしたね」。
キッチン台の上には、インテリアショップで購入したエイジング感のあるハンガーをかけ、キッチンツールを大胆にハンギング。
「とにかく収納に困って、吊るすしかないかな、と」。
笑いながらも実用しないオーナメントなども飾りつけて楽しむ口尾さん。色んなものがミックスされた空間は、オリジナルの味わいが魅力だ。
「お料理も海外でインスピレーションを受けて、色んなものをアレンジしています。仕事でもプライベートでも、これからも海外に行き続けるので、まだまだものが増えていくでしょうね(笑)」。