![あえて籠れる暮らしに 空間を分けて緩急を 想像が膨らむ“地中美術館” あえて籠れる暮らしに 空間を分けて緩急を 想像が膨らむ“地中美術館”](https://img.tokosie.jp/2018/04/18102515/180514kam-900x600.jpg)
廊下が生む生活の奥行き空間を分けて緩急を
想像が膨らむ“地中美術館”
玄関から始まる異空間
お子さんが誕生して、“汚しても傷つけても味になる家”に住みたいと考えた亀石佳奈さん。高台に建つ築34年のマンションを購入。Puddle Inc.に依頼しフルリノベーションした一室は、玄関を開けたところから、感動的といっていいほどの空気感に包まれる。
「最初のテーマは“地中美術館”なんです。今は仕切りを取りワンフロアにするのが主流ですが、我が家はむしろ空間を切りたいなと。籠った感じにするのが希望でした」。
Puddle Inc.に伝えたのは、和室が欲しいということと、玄関を大事にしたいということ。
「ドアを開けても全く興味を惹かれない家はつまらないなと。入ったときに“この家何だろう?”と、想像が膨らむような家にしたいと思いました」。
デコリエに包まれた壁と床、銅を塗装したシューズインクローゼットの引き戸。奥へと細くつながる廊下には、ギャラリーのようなディスプレイ棚が設けられ、まるで美術館に招き入れられたかのよう。
![唯一“見せる”部分を作った廊下の棚。ギャラリーやお気に入りのお花屋さんなどで選んだものが飾られている。将来はお子さんの収納棚としても活用する予定。](https://img.tokosie.jp/2018/04/18102430/180514kam-001.jpg)
唯一“見せる”部分を作った廊下の棚。ギャラリーやお気に入りのお花屋さんなどで選んだものが飾られている。将来はお子さんの収納棚としても活用する予定。
![グレートーンの廊下にセンスのいいディスプレイが映える。突き当たりには鏡を設置し、空間に広がりを出している。](https://img.tokosie.jp/2018/04/18102432/180514kam-002.jpg)
グレートーンの廊下にセンスのいいディスプレイが映える。突き当たりには鏡を設置し、空間に広がりを出している。
![お寺の鐘をイメージさせる、銅を塗装した引き戸。錆びない加工を施してもらった。](https://img.tokosie.jp/2018/04/18102435/180514kam-003.jpg)
お寺の鐘をイメージさせる、銅を塗装した引き戸。錆びない加工を施してもらった。
![引き戸の奥はシューズインクローゼット。このスペースがあることで玄関がすっきりと。](https://img.tokosie.jp/2018/04/18102438/180514kam-004.jpg)
引き戸の奥はシューズインクローゼット。このスペースがあることで玄関がすっきりと。
![LDKへの入り口は模様の入った型板ガラスの引き戸。バルコニーからの光が通り抜ける。](https://img.tokosie.jp/2018/04/18102440/180514kam-005.jpg)
LDKへの入り口は模様の入った型板ガラスの引き戸。バルコニーからの光が通り抜ける。
生活までをデザインする
「明るいところと暗いところ、広いところと狭いところを区別して味を出すために、廊下が欲しかったんです。廊下は光や匂い、音もシャットダウンしてくれるし、寛ぐ場所と騒げる場所を分けてくれます」。
廊下を介して南側と北側に開口部のある造り。両側の窓を開け放てば、風が家中を通り抜けていく。路地のような雰囲気の北側に対して、南側は外の借景も清々しい、広々としたLDKが。
「ワインが好きなので、友人もたくさん集まってきます。だからここはみんなで集えるようにと考えました」。
壁2面に沿うソファー、夫が選んだ家電をビルトインしたキッチンに、ワイングラスや茶道具を収める棚も造作で。クロスを剥がして現れたコンクリートの味わいに、シンプルなインテリアが調和する。
「空間だけではなくて、生活もデザインするというのがPuddle Inc.さんの考え方なんです。どう変化しどう楽しんでいくのか。そこまで提案してくれる会社でした」。
見せる収納が苦手だという佳奈さんに合わせて、収納もたくさん設けられ、デザイン性と機能性が満たされている。
![廊下の先に広がるのは、明るいLDK。むき出しのコンクリートと、廊下からつながるデコリエの味わいが調和する。無垢のオークの床が心地いい。ダイニングテーブルはベルギーのファニチャーブランドEthnicraft、イスはマルニ木工のHIROSHIMAシリーズ。](https://img.tokosie.jp/2018/04/18102443/180514kam-006.jpg)
廊下の先に広がるのは、明るいLDK。むき出しのコンクリートと、廊下からつながるデコリエの味わいが調和する。無垢のオークの床が心地いい。ダイニングテーブルはベルギーのファニチャーブランドEthnicraft、イスはマルニ木工のHIROSHIMAシリーズ。
![ダイニングキッチンと反対側のリビング。ソファー下の収納の取っ手にはレザーを使用するなど、細かなこだわりが。](https://img.tokosie.jp/2018/04/18102445/180514kam-007.jpg)
ダイニングキッチンと反対側のリビング。ソファー下の収納の取っ手にはレザーを使用するなど、細かなこだわりが。
![キッチンの壁は、コンクリートの手前にガラス板がはめ込まれている。油はねも防いで便利。天板にはサイルストーン(人工大理石)を使用した。](https://img.tokosie.jp/2018/04/18102447/180514kam-008.jpg)
キッチンの壁は、コンクリートの手前にガラス板がはめ込まれている。油はねも防いで便利。天板にはサイルストーン(人工大理石)を使用した。
![棚を造作してすっきりと収納。冷蔵庫もビルトインに。](https://img.tokosie.jp/2018/04/18102450/180514kam-009.jpg)
棚を造作してすっきりと収納。冷蔵庫もビルトインに。
![造作のキャビネット。アンティークの真鍮の取っ手を取りつけている。](https://img.tokosie.jp/2018/04/18102453/180514kam-010.jpg)
造作のキャビネット。アンティークの真鍮の取っ手を取りつけている。
![収納しにくいバッグ類を、かけて保管できるよう作ってもらった引出し式のクローゼット。](https://img.tokosie.jp/2018/04/18102458/180514kam-011.jpg)
収納しにくいバッグ類を、かけて保管できるよう作ってもらった引出し式のクローゼット。
間や静けさを大切に
玄関に加えてもうひとつのこだわりだった和室は、気分を変えたいときにひとりになれる場所でもある。
「ここは家事動線や使い勝手ではなく、わざわざ行きたい場所にしたかったんです」。
お母様がお茶の先生だという佳奈さん。静けさに包まれる和室は、茶室をイメージした。
「ちょっといい料亭でお座敷に通されるときのように、入り口もあえて奥まったところに配置しています。そこに行くまでの過程も味わいたいんです」。
そんな佳奈さんが寛ぐのは、LDKだけでなく、将来は子供部屋にする予定の北側の部屋だという。
「ここで写真集や洋書を見たり、外の景色を楽しんだりする時間が好きです」。
家族やゲストとの時間を楽しみつつプライバシーも確保する、満たされた生活。郊外の丘陵地の、心地よい風が吹き抜けていた。
![音、匂い、まわりの気配がシャットアウトされた和室。何もないのが落ち着く。](https://img.tokosie.jp/2018/04/18102500/180514kam-012.jpg)
音、匂い、まわりの気配がシャットアウトされた和室。何もないのが落ち着く。
![ウォークインクローゼット。有孔ボードを張ってフックをつけ、一時的に服などがかけられるよう使い勝手を考えた。](https://img.tokosie.jp/2018/04/18102501/180514kam-013.jpg)
ウォークインクローゼット。有孔ボードを張ってフックをつけ、一時的に服などがかけられるよう使い勝手を考えた。
![クロスをはがして現れたコンクリートをそのまま使用。アートのような色ムラが味わい深い。](https://img.tokosie.jp/2018/04/18102504/180514kam-014.jpg)
クロスをはがして現れたコンクリートをそのまま使用。アートのような色ムラが味わい深い。
![将来子供部屋にする予定の部屋。2部屋に分けられるようシンメトリーにデザインされている。](https://img.tokosie.jp/2018/04/18102505/180514kam-015.jpg)
将来子供部屋にする予定の部屋。2部屋に分けられるようシンメトリーにデザインされている。
![佳奈さんがアレンジした活き活きとしたグリーンが、グレートーンの室内に彩りを添える。](https://img.tokosie.jp/2018/04/18102507/180514kam-016.jpg)
佳奈さんがアレンジした活き活きとしたグリーンが、グレートーンの室内に彩りを添える。
![配管を麻布でコーティングし温もりを。布製の鳥はテキスタイル彫刻家Anne Valérie Dupond。](https://img.tokosie.jp/2018/04/18102509/180514kam-017.jpg)
配管を麻布でコーティングし温もりを。布製の鳥はテキスタイル彫刻家Anne Valérie Dupond。
![ソファー生地はKvadratでセレクト。クッション生地と合わせながらファブリック選びも楽しんだそう。](https://img.tokosie.jp/2018/04/18102511/180514kam-018.jpg)
ソファー生地はKvadratでセレクト。クッション生地と合わせながらファブリック選びも楽しんだそう。
![高台のマンション。開口部からは遠くに都心の景色も広がる。](https://img.tokosie.jp/2018/04/18102513/180514kam-019.jpg)