インドア派の家族リノベーション  模様替えを最大限に楽しめる住まいづくり

インドア派の家族リノベーション模様替えを最大限に楽しめる
住まいづくり

ずっと家にいたくなる心地よさの秘密

今年で結婚10年目を迎える下田家は夫婦と6歳になる息子の3人暮らし。去年、約68㎡ある築44年のマンション物件を購入し、フルリノベーションをした。
「息子の小学校入学が近くなってきたし、そろそろ家を買おうかと話していました。この物件は3〜4軒目の内見で巡り会い、即決でした。それまで見た他の物件は、値段を無理したり、駅から遠かったり…。何か諦めなければいけない部分があったのですが、ここは全ての希望がピタッとはまったんです。見晴らし、日当たり、広さ、値段、駅や小学校までの距離。ここだ!と思いましたね」と夫の正志さん。
正志さんは10年以上、靴修理の職人を生業としている。6.6㎡の広い玄関土間には、革漉き機や製甲用ミシンなど靴作りの道具が並ぶ。
「私が靴の修理を始めると、息子はその様子をじっと見つめています。彼自身もお絵かきやレゴ遊びに夢中なようで、外へ行くよりも家が好きなインドア派です。私も子供の頃から手仕事が好きだったので、もしかしたら自分に似たのかもしれませんね(笑)」と話す。
さらに、「前の家は一つの部屋にしか自然光が入らなかったのですが、今はリビングのどこにいても日光を感じます。開放的なので、ずっと家にいても苦になりませんよ」と続けた。
壁を設ける代わりに、移動可能な本棚を設置。

壁を設ける代わりに、移動可能な本棚を設置。

ラストと呼ばれる木型など、靴作りの道具が並ぶ玄関。

ラストと呼ばれる木型など、靴作りの道具が並ぶ玄関。

厚みを調整する革漉き機(左)と、製甲用ミシン(右)。

厚みを調整する革漉き機(左)と、製甲用ミシン(右)。

フェザーのソファは「TRUCK」で購入した。

フェザーのソファは「TRUCK」で購入した。

福岡の家具店「クランク」の木製スピーカー。

福岡の家具店「クランク」の木製スピーカー。

玄関の扉を開くと、目の前には広々としたリビング。

玄関の扉を開くと、目の前には広々としたリビング。

コンクリートの雰囲気をそのまま生かした天井の梁。

コンクリートの雰囲気をそのまま生かした天井の梁。

模様替えが何度でも楽しめるシンプルな内装

内装デザインはとにかく、シンプルを追求した。
「インテリアが大好きなので、しょっちゅう模様替えをしています。だから内装のデザインは極力シンプルにして、模様替えのたびに変化を楽しめる家にしたかったんです。最初のデザイナーさんとの打ち合わせでは、『とりあえず箱にしてください』と伝えました」と話すのは、妻の香苗さん。
寝室以外は壁を抜き、大きなワンルームにした。壁やパーテーションなど、空間づくりの制約になるものは可能な限り取り払った。
「玄関の間仕切りになっている本棚は、移動できるように作ってもらいました。固定をしない代わりに、天井と床に隙間なくぴったりと合う寸法にしてもらったので、転倒の心配もいりません。地震対策ばっちりです」と続けた。
また、移動のできないアイランドキッチンには細い円柱の脚をつけた。床からキッチンを浮かせることで、空気感のある軽い印象を与えている。
「キッチンに合わせて、ソファやコーヒーテーブルも脚の細いものを選びました」と、細部に至るまで香苗さんのこだわりが満載だ。
「TRUCK」のキッチンテーブル。

「TRUCK」のキッチンテーブル。

白い傘の照明は、倉敷「womb brocante」にて。

白い傘の照明は、倉敷「womb brocante」にて。

大きな木製のヘラはネットオークションで購入。

大きな木製のヘラはネットオークションで購入。

それぞれ形の異なるアンティークチェア。

それぞれ形の異なるアンティークチェア。

壁掛けにしているのは、養蚕に使う蚕網。

壁掛けにしているのは、養蚕に使う蚕網。

ロウソクの燭台をリメイクした照明は古賀秀幸さん作。

ロウソクの燭台をリメイクした照明は古賀秀幸さん作。

作家・渡邊浩幸さんの手がけた山桜のランプシェード。

作家・渡邊浩幸さんの手がけた山桜のランプシェード。

開放感と安心感のガラス張りベッドルーム

もう一つ、この家を語る上で欠かせないのが寝室だ。
「内装デザインの打ち合わせのとき、『大阪の家具屋TRUCKが好き』と話したら、デザイナーさんが『TRUCKのオーナーさん宅の一角がこんな感じですよ』と資料をもってきてくれたんです。それを参考に寝室をつくっていただきました」と香苗さん。
玄関に面する壁の大部分にはガラスがはめられ、玄関から寝室が見える。
「ガラス張りだと子供が寝ているとき、キッチンから様子が見えるので安心です。人が来たとき寝室が丸見えで気にならないかと聞かれますが、ベッド以外にものを置かなければ生活感がそんなに出ないので、あまり気になりませんよ。それよりも壁の圧迫感を感じるほうが嫌でした」と話す香苗さん。
「寝室はおこもり感があったほうが落ち着くと言う人もいますが、壁があるとないとでは広さの感じ方が全然違います。妻の表現だと『壁が迫ってくる感じ』ですかね(笑)」と正志さん。
最後に、将来について聞いてみた。
「息子が大きくなったら、パーテーションを増設してもう一つ部屋をつくる予定です。今回リノベをやってみてすごく楽しかったので、息子が成人して巣立ったあとは、もっと狭い物件でいいからまた2人でリノベしたいねって話しています」と締めくくってくれた。
築44年、総面積は約68㎡。

築44年、総面積は約68㎡。

寝室の窓枠には錆加工を施し、アンティーク調の風合いをプラス。

寝室の窓枠には錆加工を施し、アンティーク調の風合いをプラス。

重ねた木箱を靴箱として活用。自由に高さを変えられるので便利。

重ねた木箱を靴箱として活用。自由に高さを変えられるので便利。

玄関からの眺め。床はオークの無垢材を乱尺貼り。

玄関からの眺め。床はオークの無垢材を乱尺貼り。

玄関とトイレの間にあるスペースに洗面台を設置。

玄関とトイレの間にあるスペースに洗面台を設置。

リノベーションは「nu(エヌ・ユー)リノベーション」に依頼。

リノベーションは「nu(エヌ・ユー)リノベーション」に依頼。

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