色のグラデーションが決め手 真鍮のプロダクトが深みを出す クールビューティな空間

色のグラデーションが決め手真鍮のプロダクトが深みを出す
クールビューティな空間

遠距離暮らしでの物件探し

訪ねたのは築15年ほどのマンションを購入し、フルリノベーションに近いお化粧直しをして生まれ変わったこの部屋に暮らすTさん一家。玄関から廊下を抜けリビングに入ると、明るい光に包み込まれたシンプルでシックな空間が広がる。「家づくりはほとんど妻に任せっきりでした」と話すご主人。というのも、結婚と同時にご主人の海外赴任が決まり、奥さんは実家のある神戸で出産し子育て生活をすることに。海外赴任を終えたらご主人の実家のある東京で暮らそうと、ご主人と連絡を取りながら家探しから進めた。
賃貸よりも購入することに決め見つけた部屋は、角部屋で庭があり戸建のような雰囲気。目の前が公園なのもポイントだった。「部屋を内見した時に窓が多くて明るかったし、L字型になっているところも気に入りました」と奥さん。
家づくりは、上質なシンプルさを空間で表現する「phyle」の二人に依頼した。「シンプルな設計をしてくれるところを探していたのですが、なかなかなくて。たまたま女性誌で見つけたのですが、手がけられていたお店の雰囲気がとても気に入ったんです。ただシンプルなだけじゃなく、ディテールにこだわりがあったりして。問い合わせてみたらとても気さくな二人で、人柄とデザインのセンスに惹かれてお願いしました」と奥さん。
ダイニングからリビングを見る。細々としたものは右の収納にしまい、すっきりと片付けられる。塗装仕上げにも見える壁紙はとても薄く、きちんとした施工が必要。

ダイニングからリビングを見る。細々としたものは右の収納にしまい、すっきりと片付けられる。塗装仕上げにも見える壁紙はとても薄く、きちんとした施工が必要。

キッチンからダイニングを見る。真鍮の照明は「CIBONE」で見つけたもの。手前左の建具の細長い真鍮の引手は「BP.( http://www.bptokyo.com/)」のオリジナル。

キッチンからダイニングを見る。真鍮の照明は「CIBONE」で見つけたもの。手前左の建具の細長い真鍮の引手は「BP.」のオリジナル。

キッチンの周りはモルタル左官の壁で囲まれている。床が少し上がっているので、リビング側からは雑然としがちな手元も見えにくい。

キッチンの周りはモルタル左官の壁で囲まれている。床が少し上がっているので、リビング側からは雑然としがちな手元も見えにくい。

テレビボードもモルタル左官の造作で。下に収納などをつくっていないところがすっきり見えるポイント。

テレビボードもモルタル左官の造作で。下に収納などをつくっていないところがすっきり見えるポイント。

ていねいな打合せでイメージの共有を

打ち合わせ期間は3ヶ月ほどだが、濃密な4、5時間の打ち合わせを5、6回重ねたという。「東京に行っては内見やプランの打ち合わせ、ショールームへ行ったりととても忙しかったです。でもインテリアのあれこれを探すのは好きなので楽しかったです」と奥さん。
プランは、和室をなくしてリビングを広げたり、キッチンを移動させリビングを通って寝室へ行く廊下をつくるなど大きく動線を変えたりもした。Phyleが手がけた店舗も実際に見に行き、気に入った壁のイメージなどは部分的にプランに取り入れてもらった。そのほか床材の塗装の色合わせや壁紙の色選び。家具や照明なども同時に探し、たくさんのことを決めていった。
設計だけでなく、オリジナルのプロダクトを「BP.」というブランドで展開している彼ら。「元々真鍮が好きなのですが照明を私が熱心に選んでいたら、よかったら作らせてもらえませんか、と言ってくれて照明や建具の取手などをつくってもらいました」。特注品が自宅にあるというのも、愛着が湧いていい。
ソファは「moda en cassa」の紺色のベロア張りを選んだ。華奢な真鍮の脚も気に入ったところ。

ソファは「moda en cassa」の紺色のベロア張りを選んだ。華奢な真鍮の脚も気に入ったところ。

「BP.」の特注の真鍮の照明。左右に可動式でリビングシーンを彩る。

「BP.」の特注の真鍮の照明。左右に可動式でリビングシーンを彩る。

リビングの壁収納の扉は種々の色からこのグレーを選び、真鍮の引手を。こちらも「BP.」オリジナル。

リビングの壁収納の扉は種々の色からこのグレーを選び、真鍮の引手を。こちらも「BP.」オリジナル。

玄関のミラー上の照明も特注で。出かける前に身だしなみを整えるのにぴったりな端正なデザイン。

玄関のミラー上の照明も特注で。出かける前に身だしなみを整えるのにぴったりな端正なデザイン。

色選びが功を奏した空間に

部屋全体のベースは、ごく淡いクリーム色の壁紙に、オークの床材とグレーの建具、モルタル左官の壁という淡い色の上品なグラデーション。そして各所に散りばめられたオリジナルの真鍮の照明や取手がシックさを加えている。
できあがった住まいに満足しているという奥さんは「やっぱり自分のイメージどおりの空間は、家事をするテンションも上がります。壁紙の色は、真新しさがありすぎなくてなじみがいいですよね。真鍮も経年変化するので、表情が出るのが楽しみ。それに、ベースの空間がシンプルだからあとから家具で雰囲気を変えることもできそう」と話す。「仕事からこの家に帰るとほんとうにくつろげます」とご主人。
離れていた時間が家族の絆を深め、今やっと一緒に暮らす時間をかみしめている。
斜めの壁が自然なリビングへの導入となっている。リビング入り口のガラス建具は「SANWA COMPANY」のもの。

斜めの壁が自然なリビングへの導入となっている。リビング入り口のガラス建具は「SANWA COMPANY」のもの。

玄関の床もモルタルで。靴の収納は造り付けのように見えるが既製品を奥さんが見つけた。

玄関の床もモルタルで。靴の収納は造り付けのように見えるが既製品を奥さんが見つけた。

洗面所にもモルタル左官を入れて。ミラー付きの収納は「ザ・コンランショップ」のもの。

洗面所にもモルタル左官を入れて。ミラー付きの収納は「ザ・コンランショップ」のもの。

キッチンは「TOTO」に、「AEG」の食洗機を組み合わせた。キッチンパネルも薄いグレーを。後ろの収納棚はオーク材で、手前には電子レンジやゴミ箱などを。奥はパントリー。

キッチンは「TOTO」に、「AEG」の食洗機を組み合わせた。キッチンパネルも薄いグレーを。後ろの収納棚はオーク材で、手前には電子レンジやゴミ箱などを。奥はパントリー。

緩やかにつながるリビングとダイニング。コットンシフォンのカーテンが光をやわらかく通す。

緩やかにつながるリビングとダイニング。コットンシフォンのカーテンが光をやわらかく通す。

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