凹凸感のあるワンルーム空間奥へと変則的につながる
“アリの巣”リノベーション
建築家がやってみたかったこと
「庭つきが決め手だったんです」。
築23年のマンションの1階。夫婦共に実家のある田園都市線沿線で探し始めて4カ月、似鳥さんはこの物件に出会った。
「ルーフバルコニーも最初は考えたのですが、色々と制約があって。リビングからつながった専用庭は、友人などを招いたときも外に出て過ごすことができて、役に立っています」。
夫・俊平さんは建築家。購入前に間取りを考え、見積もりまで決めてから契約、リノベーションは2カ月弱で完了した。
「自分のやりたいことがここでできるかどうか、確かめてから購入したかったんです。仕事で担当するのはもっと大きな施設などで、個人の住居を手がけるのはこれが初めて。自分たちが住む家なので、自分たちの気分に合う家をそのまま表現しようと思いました」。
築23年のマンションの1階。夫婦共に実家のある田園都市線沿線で探し始めて4カ月、似鳥さんはこの物件に出会った。
「ルーフバルコニーも最初は考えたのですが、色々と制約があって。リビングからつながった専用庭は、友人などを招いたときも外に出て過ごすことができて、役に立っています」。
夫・俊平さんは建築家。購入前に間取りを考え、見積もりまで決めてから契約、リノベーションは2カ月弱で完了した。
「自分のやりたいことがここでできるかどうか、確かめてから購入したかったんです。仕事で担当するのはもっと大きな施設などで、個人の住居を手がけるのはこれが初めて。自分たちが住む家なので、自分たちの気分に合う家をそのまま表現しようと思いました」。
巣穴のような奥行きのある空間
その結果、できあがったのは、できるだけ扉を無くした家。
「風が通り空気が流れるワンルームをつくりたい、と思いました。かといってただ広い空間はそんなに好きではないし、常に丸見えなのもストレスがたまります。だから扉はなくしつつ、かつ見えないような工夫を施しました」。
このマンションはラーメン構造。壁式ではないので、ワンルームにすることも可能だったのだが、わざわざそこに壁を設けることに。
「いちどスケルトンにしてから壁や垂れ壁を設けました。一軒家なら大黒柱がありますよね?そんな何か寄り添える、家の中心になるものが欲しかったんです」。
寄りどころと見立てたモルタル左官の壁は、ベッドルーム側の廊下とリビングを分け、リビング側はプロジェクターで映像を投影してスクリーンとして楽しめるようにした。そして開口部の1900mmの高さに合わせ垂れ壁も設置。扉のない空間を視覚的に分けている。
「人がよく集まる家なので、広々とさせつつも、すべてオープンにはしたくない。例えば、ダイニングに居るとき、向こうのベッドルームが見えそうで見えないように設計しました」。
凹凸のあるそんな空間を、似鳥さんは「アリの巣」と呼んでている。
「穴のような空間が、見えたり見えなかったりしながら何となく巣のように奥までつながっている、そんなイメージです。変則的なワンルームなので全体としての開放感はありますが、各々の場所で籠ることもできる、安心感のある造りだと思います」。
クールで温かい素材感
アリの巣にふさわしく、素材は土を連想するモルタルや硬質な磁器タイル、無垢の木材など。
「茶色の物質に穴を開けるイメージです。LDKとプライベートを分ける垂れ壁には黒をあしらいたいと思っていたのですが、工務店さんの提案で黒皮鉄を使いました」。
床のアッシュ材のフローリングは、間違えて白系を発注してしまい、家族や友人を動員して表面にやすりをかけて蜜蝋を塗ったそうだ。
「大変だったのですが、自然な木目が浮き出てこれが逆に良かったです」と真実さん。
「ほとんど夫に任せましたが、私はカウンターキッチンにすることと、作業スペースを広くとることだけリクエストしました。狭いから一緒に料理できない、なんて言えなくなったみたいですよ(笑)」。
そんなおふたりが、スリランカ、モロッコなど年に1、2回出かける海外旅行で買ってきたお土産品がインテリアの一部に。素材感を活かした内装に、民芸調のグッズが似合う。
「週末は壁のスクリーンで映画を2、3本続けて観たり、友人を招いたり、庭の手入れをしたり。ゆっくり部屋に籠るのも楽しいし、大勢で集まるのも楽しいし。色んな過ごし方ができていますね」。
「茶色の物質に穴を開けるイメージです。LDKとプライベートを分ける垂れ壁には黒をあしらいたいと思っていたのですが、工務店さんの提案で黒皮鉄を使いました」。
床のアッシュ材のフローリングは、間違えて白系を発注してしまい、家族や友人を動員して表面にやすりをかけて蜜蝋を塗ったそうだ。
「大変だったのですが、自然な木目が浮き出てこれが逆に良かったです」と真実さん。
「ほとんど夫に任せましたが、私はカウンターキッチンにすることと、作業スペースを広くとることだけリクエストしました。狭いから一緒に料理できない、なんて言えなくなったみたいですよ(笑)」。
そんなおふたりが、スリランカ、モロッコなど年に1、2回出かける海外旅行で買ってきたお土産品がインテリアの一部に。素材感を活かした内装に、民芸調のグッズが似合う。
「週末は壁のスクリーンで映画を2、3本続けて観たり、友人を招いたり、庭の手入れをしたり。ゆっくり部屋に籠るのも楽しいし、大勢で集まるのも楽しいし。色んな過ごし方ができていますね」。