ToKoSie ー トコシエ

家具としてのバスルーム自由な発想で生まれた
変化が楽しいワンルーム

閉じない空間をプランニング

丘陵地の高台に建つ築約36年のマンション。2面採光の東南角部屋という好条件に、一級建築士事務所「.8 / TENHACHI」の佐藤圭さんと佐々木倫子さんは、3年程前購入を決めた。
「リノベーションが前提でした。購入時は2LDKの間取りでしたが、小さい子供のいる家族3人の暮らしでは、67㎡という空間はワンルームのように使うのがいいのかなと」。
玄関からややスロープになったモルタルの廊下を抜けると、明るく広々としたLDKに。扉のないベッドルームやバスルームは、LDKの一部のようにワンルーム空間に配置されている。
「扉を設けて閉じてしまうと、そこがボリュームになってしまいます。限られた空間で、広く豊かに暮らすにはどうしたらよいかを考えました」。
むき出しの天井に、セルジュ・ムーユのランプが映える。テレビの後ろはエアコンの管を隠すために床と同じオーク材で覆い、収納を設けた。
むき出しの天井に、セルジュ・ムーユのランプが映える。テレビの後ろはエアコンの管を隠すために床と同じオーク材で覆い、収納を設けた。
東南向きに開口部があり明るい光が入る。ウンベラータ、エバーフレッシュなどの観葉植物もよく育つ。
東南向きに開口部があり明るい光が入る。ウンベラータ、エバーフレッシュなどの観葉植物もよく育つ。
コンクリートに温かみのある木がいいバランス。LDKのどこにいてもバスルーム、ベッドルームが目に入る。
コンクリートに温かみのある木がいいバランス。LDKのどこにいてもバスルーム、ベッドルームが目に入る。
モルタルを敷いた廊下は、玄関からLDKにかけてやや傾斜がついている。「家の中にスロープがあると面白いかなと思って(笑)」。
モルタルを敷いた廊下は、玄関からLDKにかけてやや傾斜がついている。「家の中にスロープがあると面白いかなと思って(笑)」。

個室をハコに見立てる

広々とした明るいワンルームを実現するため、ベッドルームとバスルームは個室として仕切るのではなく、スケルトンの空間にハコを置くイメージで設計。
「部屋というよりは家具のように考えています。天井との間に隙間をあけることでハコのように見立て、抜け感を出しました」。
ベッドルームの壁は白く塗装、バスルームの壁には床のフローリングと同じオークを斜めに貼ることで変化もつけた。それぞれのハコがフレームのように内部を切り取って、ワンルームのアクセントとなっている。
「お風呂に入りながらリビングのテレビを観ることもできますし、ベッドルームにはプロジェクターを設置していて、スクリーンを降ろせば映画や子供の好きな番組を観たりして楽しめます」。
ベッドルームの上はロフトになっていて、現在小学生のお子さんの遊び場に。秘密基地のような雰囲気が、遊びにやってくる友達にも大人気なのだそうだ。
木のフレームのバスルームと白いフレームのベッドルーム。家の中に窓があるかのよう。天井をあけることでハコを置いたイメージに。
木のフレームのバスルームと白いフレームのベッドルーム。家の中に窓があるかのよう。天井をあけることでハコを置いたイメージに。
カーテンで仕切られただけのバスルームは、いつもオープンにしている。床はFRP防水の上にモルタルを塗装。壁面には六角形の白いタイルを貼った。バスタブはセラトレーディング。
カーテンで仕切られただけのバスルームは、いつもオープンにしている。床はFRP防水の上にモルタルを塗装。壁面には六角形の白いタイルを貼った。バスタブはセラトレーディング。
レインシャワーも設置。洗面台はヴィトラ社のシンクを使い、無垢の木と合わせて造作。
レインシャワーも設置。洗面台はヴィトラ社のシンクを使い、無垢の木と合わせて造作。
ベッドルームの床はヘリンボーン張りに。ドレッサーも造作。ロフトの下は構造を現した。
ベッドルームの床はヘリンボーン張りに。ドレッサーも造作。ロフトの下は構造を現した。
スクリーンを降ろして寝転がりながら映画鑑賞も。
スクリーンを降ろして寝転がりながら映画鑑賞も。
お子さんの遊び場として活用しているロフト。
お子さんの遊び場として活用しているロフト。

多用途なキッチンが生活の中心

「キッチンとダイニングはどう配置するか色々と迷って、じゃあ、つなげちゃえば? ということになりました(笑)」。
4.5mあるという、シンクとコンロ、ダイニングテーブルをつなぐキッチンカウンターが壮観。
「20人くらいはカウンターを囲めるので、忘年会などパーティーも楽しめます。普段は、作ったお料理をすぐにサーブできるし、忙しい朝も楽になりましたね」。
キッチン台はもともとあったシステムキッチンを活用したもの。面材にオークの板を張り、長いスギ板を渡してカウンターを造作。下部には、キッチン側は収納、リビングダイニング側には本棚を設けた。
「キッチン側の床は一段下げて、作業中も反対側にいる家族と対話しやすいように考えました。コンロとシンクの間のサイズを、使いたかったまな板に合わせて決めるなど、使い勝手も考えました」。
壁面のややグレーがかった収納扉は、ポーターズペイントをおふたりで塗ったもの。凹凸のある表面感がさり気なく温かみを添えている。
4.5mのキッチンカウンターがどんと構える。天板にはスギの足場板を使った。大工さんに造作してもらった吊り収納に、お気に入りのキッチンツールを。イスはアーコールや北欧家具taloで購入したヴィンテージなど。
4.5mのキッチンカウンターがどんと構える。天板にはスギの足場板を使った。大工さんに造作してもらった吊り収納に、お気に入りのキッチンツールを。イスはアーコールや北欧家具taloで購入したヴィンテージなど。
システムキッチンにオークの面材を。バスルームの壁は床と同じオーク材を斜めに貼った。
システムキッチンにオークの面材を。バスルームの壁は床と同じオーク材を斜めに貼った。
壁側に大きな収納を造作。DIYで塗ったポーターズペイントのムラが、いい味わいを出す。
壁側に大きな収納を造作。DIYで塗ったポーターズペイントのムラが、いい味わいを出す。
仕事場としても活躍するキッチンカウンター。手前のベンチはJOURNAL STANDARDで購入。
仕事場としても活躍するキッチンカウンター。手前のベンチはJOURNAL STANDARDで購入。

素材の使い方で個性を

「今のところ事務所を兼ねているので、キッチンカウンターの一角が仕事場なんです。ふたりでいつもここで仕事をしています」。
圭さんは建築士事務所を経て、「IDÉE」に勤務した後、独立。建築と内装の両方に携わった経験が、初めての自宅兼事務所創りに役立った。
「夫はどちらかというとインダストリアル系ですが、私はもう少しシンプルでナチュラルな方が好きなんです。対立することもありましたけど(笑)、うまくミックスされたと思います」
ヴィンテージ加工されたオークの床材は、バスルームやリビングの壁の一部にもあしらわれていて、床から壁につながる目地を揃えることで美しい仕上がりに。
「木の色味のトーンを揃えたくて。少し飴色っぽい木の素材に、あとはモルタルのグレー、塗装の白を組み合わせました。素材はシンプルなのですが、張り方にこだわることでアクセントをつけました」。
斜めに張られた189mmの幅広のフローリングが視覚的にも広がりを出し、個性も表現している。そしてIDÉEなどで購入した家具や照明が映え、インドアグリーンが彩りを加える。
「オープンだけど変化があって居心地がいい、そんな空間が今の暮らしになじんでいます」。
床やテレビまわり、バスルームの壁のオーク材は、飴色っぽいトーンを選択。開口部に沿った梁の下には飾り棚を設け、収納とするほか、ディスプレイも楽しんでいる。
床やテレビまわり、バスルームの壁のオーク材は、飴色っぽいトーンを選択。開口部に沿った梁の下には飾り棚を設け、収納とするほか、ディスプレイも楽しんでいる。
座り心地のよいアカプルコチェアがお気に入り。後ろの本棚はスチールの脚に木の天板をあしらった。
座り心地のよいアカプルコチェアがお気に入り。後ろの本棚はスチールの脚に木の天板をあしらった。
淡いカラーのリネンのカーテンは、IDÉEで購入したもの。ペンダントライトはプルーメン。
淡いカラーのリネンのカーテンは、IDÉEで購入したもの。ペンダントライトはプルーメン。
玄関は圭さんの好みでインダストリアルに。壁はコンクリートをむき出しにして、ボンドの後もそのまま残した。ジェルデ社の照明が特にお気に入り。
玄関は圭さんの好みでインダストリアルに。壁はコンクリートをむき出しにして、ボンドの後もそのまま残した。ジェルデ社の照明が特にお気に入り。
大切にしている自転車を壁掛けにするため、足場板をあしらった。いずれ友人に絵を描いてもらうため、壁の一部を白く塗装してキャンバスに。
大切にしている自転車を壁掛けにするため、足場板をあしらった。いずれ友人に絵を描いてもらうため、壁の一部を白く塗装してキャンバスに。
オープンなワンルームなのに、各スペースで変化があり色々な過ごし方ができるLDK。自邸ゆえに自由な発想が現実のものに。
オープンなワンルームなのに、各スペースで変化があり色々な過ごし方ができるLDK。自邸ゆえに自由な発想が現実のものに。