Astier de Villatte

Astier de Villatte の陶器白の釉薬が生む独特の風合い
アスティエ・ド・ヴィラット

白い釉薬を纏った陶器で知られる「アスティエ・ド・ヴィラット」は、デザイナー、ブノワ・アスティエ・ド・ヴィラットとイヴァン・ペリコーリが1996年に創業したブランド。黒い土を土台に白い釉薬をかけた、独特の風合いが魅力のアスティエ・ド・ヴィラットの陶器は、パリ郊外の土を使い、パリのアトリエで制作、パリのショップで販売、メイドインフランスに拘った器だ。19世紀の伝統的な器に着想を得たという優美な器は、まるで絵画を惹き立てる額装を思わせ、凛とした存在感を放つ。
photo : Sophie Delaporte

photo : Sophie Delaporte

アスティエ・ド・ヴィラットの
クリエイション

アスティエ・ド・ヴィラットの陶器は、19世紀の伝統的な器や、ゴミ箱や道端に捨てられ人々から忘れ去られたものなどから着想を得てデザインされている。19世紀頃の陶器を見ると、美しい形はあっても白を使うことはほとんどなかったという。こうした昔ながらのデザインにカラフルな色をつけるのが流行している中、アスティエ・ド・ヴィラットでは、一番ベーシックな白を陶器に色付けした。様式や年代をただ模倣せず、新しい感覚でモダンな印象に仕上げている。懐古的なものに惹かれながらも、古いものには戻らず、そこに見過ごされていた「美しさ」と見つけることがクリエイションと解釈。そして、彼らは「自分達が心から美しいと思い、自身が誇りに思えるようなものを創り上げたい」と語る。

美意識のルーツ、
バルテュスとの出会い

1960年代、画家バルテュスがローマのアカデミー・ド・フランスの館長だった時に、画家であったブノワの父ピエール・キャロンが留学生としてアカデミーに在籍。その間、ブノワ一家とバルテュス夫妻は寄宿先のヴィラ・メディチに数年暮らし親交を深めた。幼い時から日常的にバルテュスの画集に触れて育った。ブノワは「私の美意識のルーツは、バルテュスとの出会いです」という。また、父ピエールはフランス帰国後、パリ国立美術学校(エコール・デ・ボザール)で古典芸術の専門家として教鞭をとった。そのアトリエに生徒として通ったのがイヴァンだった。イヴァンは「バルテュスの誰も見向きもしなくなったものに対する眼差し。そこに深く共感する」と語る。パリ国立美術学校で出会い、ともに絵画や彫刻を学んでいた二人は、当時からバルテュスの絵画に強く影響された。そして、ここでの出会いからアスティエ・ド・ヴィラットがスタートした。

白い釉薬

釉薬がかかり、釡に入れられる前の器。

釉薬がかかり、釡に入れられる前の器。

純白の釉薬に輝く陶器。

純白の釉薬に輝く陶器。

「白を使うことで、モノとしてもボリュームつまりは豊かな立体感が出て、影の部分にも表情が感じられ、立体としての力と美しさが生まれる」とブノワは語る。アスティエ・ド・ヴィラットは、ノスタルジックなディティールの器に、一番パワフルでインパクトのある「白」を使用。クラシカルなフォルムに、白というエネルギッシュな色を用いることで、気品と柔らかなコントラストが生まれる。アスティエにしかない艶やかな釉薬は、納得のいく白を生み出すまでに、丸2年以上かかったという。

パリの黒い土

黒く深い色合いのパリの土。

黒く深い色合いのパリの土。

乾燥するとニュアンスが変わる。

乾燥するとニュアンスが変わる。

アスティエ・ド・ヴィラットで使用される土は、パリ郊外、イル・ド・フランスで採掘されたもの。ヴィラ・メディチでバルテュスの門下生でもあり、のちにパリ国立美術学校でブノワたちに彫刻を教えてくれた先生が使用していた土を今でも使い続けているそう。パリのアトリエへ運ばれた後、空気を抜くために何度も練られる。決して機械は使わず一貫して手作業で行う。手でこねるからこそ、土が持つ強さをちゃんと生かせるという。白い釉薬から透けて見える黒い陶土も魅力のひとつ。

代々受け継がれた伝統的な技法

製作中のブノワ。

製作中のブノワ。

手書きスケッチ。

手書きスケッチ。

伝統的の技法で型抜き。

伝統的の技法で型抜き。

モチーフは柔らかくぼかす。

モチーフは柔らかくぼかす。

産業革命以降機械化が進み、時代や社会が変わっていく中、アスティエ・ド・ヴィラットの陶器は、19世紀以前の技法を採用。機械では生み出せない厚み、温かみ、職人的技法など、職人の残す「跡」を大切にし、代々受け継がれた技にアスティエのエッセンスをプラスして制作。型で抜いてから、エストンパージュという絵画の技法でモチーフは柔らかくぼかし、乾燥、窯焼き、白い釉薬をかけ、乾燥、窯焼きといった工程をすべて手作業で行う。ひとつひとつ手仕事でつくられるため、すべての表情少しづつ異なる。また、歪みや釉薬のムラも欠点ではなく、個性であり美しさとして大切にしている。

《Grand Châlet Collection》

上からデザートプレート φ210 H20mm ¥13,000 ラージプレート φ305 H20mm ¥17,000 ともにグラン・シャレ コレクション

上からデザートプレート φ210 H20mm ¥13,000 ラージプレート φ305 H20mm ¥17,000 ともにグラン・シャレ コレクション

グラン・シャレの外壁の木の繰り型がモチーフになったシンプルな縁取り。

グラン・シャレの外壁の木の繰り型がモチーフになったシンプルな縁取り。

グラン・シャレの外壁を彩るエレガントな半円の装飾モチーフ。

グラン・シャレの外壁を彩るエレガントな半円の装飾モチーフ。

ブノワとイヴァンが大きな影響を受けた画家バルテュスが晩年を過ごした、スイスで最大の木造建築Grand Châlet (グラン・シャレ)をイメージしたコレクション。美しい外壁に施された装飾をモチーフにしたもの。グラン・シャレの壮麗で華やか装飾を、アスティエ・ド・ヴィラットのクリエイションを通してモダンで気品ある器に創作された。バルテュス夫人、節子・クロソフスカ・ド・ローラとのコラボレーションで誕生した。

《Régence》

上からディナープレート28cm W280 D265 H15mm ¥10,300 ラージディナープレート 30.5cm W305 D315 H14mm ¥13,700 ともにレジョンス

上からディナープレート28cm W280 D265 H15mm ¥10,300 ラージディナープレート 30.5cm W305 D315 H14mm ¥13,700 ともにレジョンス

額縁のようなディティール。

額縁のようなディティール。

アンティークの家具を思わせる装飾。

アンティークの家具を思わせる装飾。

18世紀はじめフランスの美術様式Régence(レジェンス)をイメージしたコレクション。レジェンスは、ルネッサンス期に流行したモチーフが、ナポレオン1世の古典主義への偏愛により再び脚光を浴び、装飾モチーフとして18世紀のフランスで流行。決して華美ではなく、控えめに縁取られた装飾がアクセントになりクラシカルな美しさを醸し出す。

《Villa Medicis》

オーバルプレート W390 D205 H20mm ¥22,000 ミニプレート φ135 H15mm ¥16,000 ともにヴィラ メディシス

オーバルプレート W390 D205 H20mm ¥22,000 ミニプレート φ135 H15mm ¥16,000 ともにヴィラ メディシス

庭園にある彫像をプリントしたプレート。

庭園にある彫像をプリントしたプレート。

ヴィラ メディチの荘厳な庭園。

ヴィラ メディチの荘厳な庭園。

Villa Medicis(ヴィラ メディチ)は、ローマにあるヴィラを中心とした複合建築で、1567年フェルディナン・ディ・メディチが建立。外観を古代ローマ風の浮彫や彫像で飾り立てられた壮麗な建築。1803年にナポレオン1世に所有権が移り、フランス・アカデミーがこの地に移された。幼少期のブノワが暮らした場所だ。今季の新作として、ローマ時代の競馬場を思わせるオーバルプレートや彫像を転写プリントしたプレートを発表。在ローマ・フランス・アカデミー ヴィラ メディチとのパートナーシップのもと制作。

《Flower base》

左からフラワーベース W105 D75 H120mm ¥25,000 コルベール フラワーベース W90 D65 H130mm ¥18,300 ジュデオン フラワーベース W85 D60 H100mm ¥18,000 アフロディーテ

左からフラワーベース W105 D75 H120mm ¥25,000 コルベール フラワーベース W90 D65 H130mm ¥18,300 ジュデオン フラワーベース W85 D60 H100mm ¥18,000 アフロディーテ

ドット模様の釉薬の透け感に注目。

ドット模様の釉薬の透け感に注目。

曲線と直線のコントラストが美しい。

曲線と直線のコントラストが美しい。

小さなフラワーベースをピックアップ。お花を生けたり、あるいはミルクピッチャーやオブジェをしても楽しめるアスティエ・ド・ヴィラットの小さな陶器。Colbert(コルベール)は、柔らかな曲線を描くシンプルなコレクション。装飾がないのが特徴。Gedeon(ジュデオン)は、ヘブライ人の士師で、強力な戦士や木の伐採者を指す。植物のようなインパクトのあるフォルムが特徴。Aphrodite(アフロディーテ)は、美の女神アフロディーテに由来。優雅で女性的なフォルムと繊細な装飾が魅力。

《Tea cup》

左から カップ φ70 H75mm ¥11,400 チュイルリー カップ φ75 H70mm ¥12,000 シンプル コブレット φ55 H70mm 参考商品 ソーブル ゴブレット W75 D70 H50mm ¥11,400 アレクサンドル ゴブレット φ60 H60mm ¥10,200 レボリューション

左から カップ φ70 H75mm ¥11,400 チュイルリー カップ φ75 H70mm ¥12,000 シンプル コブレット φ50 H70mm 参考商品 ソーブル ゴブレット W75 D70 H50mm ¥11,400 アレクサンドル ゴブレット φ60 H60mm ¥10,200 レボリューション

立体的なドットがアクセント。

立体的なドットがアクセント。

浮き彫りになった表情。

浮き彫りになった表情。

装飾は一本ラインのみ。

装飾は一本ラインのみ。

浮き彫りになった表情。

浮き彫りになった表情。

小さな小さなカップとコブレット。お茶やお酒を楽しむカップとしてはもちろん、一口サイズの料理や、ちょっとしたお花やグリーン、小物入れにおすすめ。そのまま置いておくだけでもオブジェとして小さな存在感を放つ。Tuileries(チュイルリー)は、パリで活躍するコミューン・ド・パリとのコラボ。ルーブル美術館の隣にあるシンメトリーに配置された庭園をイメージ、上空からみるとこのシリーズに施された十字のように。Simple(シンプル)は、縁に施される一本ラインをアクセントに、削ぎ落とされたデザイン。Sobre(ソーブル)は、飾り気が無い・質素という意味を持つシリーズ。究極にシンプルなフォルムに小さなドットを美しく並べたミニマルなカップ。人の顔がレリーフとなったシリーズAlexander(アレクサンドル)は、浮き彫りになった表情が興味深い。ジョージ・ルーカスもお気に入りのシリーズ。Revolution(レボリューション)は、革命という意味をもつ8角形のデザイン。カットされたダイヤモンドのような佇まいが魅力。

《Crésus》

ティーカップ φ105 H55mm ¥17,200 ミニプレート φ115 H10mm ¥10,900 プレート φ155 H10mm ¥17,200 以上クレジュス

ティーカップ φ105 H55mm ¥17,200 ミニプレート φ115 H10mm ¥10,900 プレート φ155 H10mm ¥17,200 以上クレジュス

潔いフォルムのティーカップ。

潔いフォルムのティーカップ。

プレートは重ねてアレンジすれば、より華やかに。

プレートは重ねてアレンジすれば、より華やかに。

大富豪の意味をもつCrésus (クレジュス)。ノスタルジックな白い陶器に、シャイニーゴールドの縁取りを効かせたデザイン。装飾のないシンプルなフォルムに、華美になりすぎない絶妙なゴールドがモダンな印象。プレートは潔いフォルムと、その薄さも魅力だ。パーティや特別な日にぴったりな洗練された美しさを持つ器。装飾的な華美さがないので、男性ゲストのおもてなしにも。

《Simple》

コンポート φ185 H120mm ¥29,800 シンプル

コンポート φ185 H120mm ¥29,800 シンプル

装飾のないディティールに、独特なフォルムが美しく印象的なコンポート。アスティエ・ド・ヴィラット創業時から不動の人気を誇るSimple (シンプル) シリーズは、その名通り、無駄のない削ぎ落とされたデザインが特徴。シンプルゆえに、釉薬のムラや手作業ならではの歪み、器のフォルムが美しく際立つ。フルーツやケーキのプレートとして、また、アクセサリーを置いたり、ドライフラワーを飾っても。白いキャンバスのように、飾るものによって表情を美しく変える逸品といえる。

サントノレ通り173番地 ASTIER de VILLATTE Paris

重厚なファサードが目を引くサントノレ通りのアスティエ・ド・ヴィラット本店 photo : Stephen Johnson

重厚なファサードが目を引くサントノレ通りのアスティエ・ド・ヴィラット本店 photo : Stephen Johnson

ショップのある通りを冠したパフュームキャンドル「Rue Saint-Honore」photo : Stephen Johnson

ショップのある通りを冠したパフュームキャンドル「Rue Saint-Honore」photo : Stephen Johnson

エイジングを重ねた什器に白い陶器がぎっしり並ぶ。窓から入る自然光による陰影で奥行きのある空間に。photo : Stephen Johnson

エイジングを重ねた什器に白い陶器がぎっしり並ぶ。窓から入る自然光による陰影で奥行きのある空間に。photo : Stephen Johnson

多くの人を魅了しているアスティエ・ド・ヴィラットのキャンドルがフルラインナップ。ブノワとイヴァンは、「香りは記憶と結びつきやすいもの」と解釈し、彼らの思い出の町や焦がれ続けている未踏の地の名を冠した35種類のパフュームキャンドルを展開。photo : Stephen Johnson

多くの人を魅了しているアスティエ・ド・ヴィラットのキャンドルがフルラインナップ。ブノワとイヴァンは、「香りは記憶と結びつきやすいもの」と解釈し、彼らの思い出の町や焦がれ続けている未踏の地の名を冠した35種類のパフュームキャンドルを展開。photo : Stephen Johnson

2000年ルーブル美術館のそば、サントノレ通り173番地にアスティエ・ド・ヴィラット本店をオープン。18世紀末から19世紀初頭にはナポレオン御用達の銀職人の店として使用されていた歴史ある場所だ。以前の存在感はそのままに、もともとの部材を生かし、アスティエのエッセンスを加えて改修。使い込まれた什器いっぱいに白い陶器がぎっしりと並ぶ魅惑の空間だ。

Benoît Astier de Villatte

ブノワ・アスティエ・ド・ヴィラット photo : Ayumi Shino

ブノワ・アスティエ・ド・ヴィラット photo : Ayumi Shino

Benoît Astier de Villatte(ブノワ・アスティエ・ド・ヴィラット)16歳から10年間パリ国立美術高等学校(エコール・デ・ボザール)で彫刻や絵画を学ぶ。卒業後は画家を経て1996年、アスティエ・ド・ヴィラットを設立。フランスに数世紀続く旧家、 アスティエ・ド・ヴィラット家の末裔にあたる。ローマ出身。

Ivan Pericoli

イヴァン・ペリコーリ photo : Ayumi Shino

イヴァン・ペリコーリ photo : Ayumi Shino

Ivan Pericoli(イヴァン・ペリコーリ)フランス国立東洋言語文化学院でチベット語を学んだ後、パリ国立美術高等学校(エコール・デ・ボザール)で絵画、写真、陶器、彫刻を学ぶ。画家を経て、美術学校で知り合ったブノワとともにアスティエ・ド・ヴィラットを設立。パリ出身。

Information

Astier de Villatte/H.P.DECO
東京都渋谷区神宮前 5-2-11
Tel. 03-3406-0313
hpdeco.com/brand/179/

Astier de Villatte
173 rue Saint-Honore 75001 Paris
Tel. +3301 4260 7413
astierdevillatte.com

商品価格は、消費税別の本体価格です。

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