明るい部屋に暗がりを作る非日常な“洞窟”が
暮らしに刺激を加える
住まいに気分転換できる居場所を
梅村陽一郎さん侑子さん夫妻の建築ユニット『AKINAI GARDEN STUDIO』が自邸をリノベーションした。以前取材させていただいた家と同じフロアの2軒隣、大きな窓から川沿いの桜並木を見下ろせる住まいに移った。
「リモートワークが進み、出勤という環境を変えるきっかけがなくなりました。毎日同じ空間で仕事をし、食事をし、寝る日常となり、家の役割も変わりました。
そこで、新しい家はメリハリのある生活を送れる住まいにしたいと考えるようになりました」
大きな窓のある明るい住まいに、気分転換の役割を担う、日常を忘れさせる異空間として誕生したのが窓のない“洞窟”だ。
暗い洞窟から3方に開いた出入り口から外を伺うと、先ほどまで仕事をしていた明るい場所が遠い世界に感じられる。カーテンを閉めて中に籠もると洞窟内が別世界となり、同じ家に居ながらゆっくりとリラックスができる。
仕事用のデスクは2箇所
「この家はもともと4部屋だったのですが、デッドスペースを整理し、3部屋+洞窟にリノベーションしました」
明るい窓辺にデスクを配置。東側に半円形のデスク、中央にキッチンの天板を延長させたデスクを作った。
ワークチェアも新調。
「柴田文江さんデザインのワークチェア『バーテブラゼロサン』は色やパーツのカスタムが可能で、座り心地も最高です」
壁や机はDIYで
内装は知人の大工さんに依頼したが、洞窟の壁や天井の塗装はすべて梅村さんがDIYした。
「壁は既存の壁紙の上から、シルクプラスターを塗りました。繊維のふわふわとした弾力を感じる素材で、施工も簡単なリキッドウォールペーパーです」
「壁は既存の壁紙の上から、シルクプラスターを塗りました。繊維のふわふわとした弾力を感じる素材で、施工も簡単なリキッドウォールペーパーです」
洞窟の塗料は、外側にツヤあり、内側は光を吸収するツヤなしの塗料を使った。
「黒の壁でもプロジェクターを投影できました。洞窟内での映画鑑賞、かなりよい気分転換になります」