フランス人気鋭デザイナーの自邸リノベ無駄を削ぎ落とした
アートを楽しむ大空間
家に求めるものは“コミュニケーション”
「GINZA SIX」や立川の「SORANO HOTEL」など、話題の店舗やホテル、レストランのインテリアデザインや建築を手掛けてきたフランス人デザイナー、グエナエル・ニコラさん。
「東京に来たのは30年くらい前。初めて訪れたTOKYOはそれまでに見たことのない“浮遊している”都市でした。トラディショナルなヨーロッパとは全く違うし、NYでもアジアでもない。近未来を見ている面白さが感じられました」。
というニコラさんが、家族と共に暮らす自邸に求めたのは“コミュニケーション”。もともと賃貸で住んでいたマンションが分譲されることになり、7年程前に自らデザインしてフルリノベーションを行った。
「家は家族をつなぐインターフェースです。だからまず大事にしたのは、オープンで全部見える空間にすること、それぞれが自由に過ごせるシーンをつくること。壊せない柱2本だけを残し、スケルトンにしてレイアウトをやり直しました」。
「東京に来たのは30年くらい前。初めて訪れたTOKYOはそれまでに見たことのない“浮遊している”都市でした。トラディショナルなヨーロッパとは全く違うし、NYでもアジアでもない。近未来を見ている面白さが感じられました」。
というニコラさんが、家族と共に暮らす自邸に求めたのは“コミュニケーション”。もともと賃貸で住んでいたマンションが分譲されることになり、7年程前に自らデザインしてフルリノベーションを行った。
「家は家族をつなぐインターフェースです。だからまず大事にしたのは、オープンで全部見える空間にすること、それぞれが自由に過ごせるシーンをつくること。壊せない柱2本だけを残し、スケルトンにしてレイアウトをやり直しました」。
家具もストレージもトータルで考える
188㎡の大空間を、広々としたLDKと3ベッドルーム、バスルームの3LDKに。
「当たり前のことをいちどリセットして考えるのが私のやり方です。まず部屋を細かく分ける壁は必要ないと思いました。その方が空間を広く感じられるし、色々な使い方ができます」。
廊下だったところには、天井まで高さのあるストレージを設けた。取っ手のないストレージの扉に軽く指をかけて開くと、中に棚やクローゼット、さらにトイレまでが収まっている。
「普通はものをストックするとき家具を置くことを考えますが、私は空間の中に融合するようにストレージを設けることを考えました。インテリアデザインは1個ずつ考えていくものではないんです」。
埋め込みのエアコンをキッチンに移動して天井高を確保したLDKには、空間に合わせてデザインしたオリジナルの家具が大胆に置かれている。3.2m幅のダイニングテーブルは食事だけでなく、お子さんが宿題をする場にもなり、4.5畳分の正方形のソファーは、家族が集まって寛げる場となっている。
「ソファーは自由に並べ方を変えられるけど、それはやりません。日本文化から影響を受けたものなのですが、畳のように家族4人がここに集まって腰かけたり寝転んだり、自由に過ごしたい。我が家でいちばん気持ちのいい場所が、広い空間の真ん中に集まっている感じです」。
「当たり前のことをいちどリセットして考えるのが私のやり方です。まず部屋を細かく分ける壁は必要ないと思いました。その方が空間を広く感じられるし、色々な使い方ができます」。
廊下だったところには、天井まで高さのあるストレージを設けた。取っ手のないストレージの扉に軽く指をかけて開くと、中に棚やクローゼット、さらにトイレまでが収まっている。
「普通はものをストックするとき家具を置くことを考えますが、私は空間の中に融合するようにストレージを設けることを考えました。インテリアデザインは1個ずつ考えていくものではないんです」。
埋め込みのエアコンをキッチンに移動して天井高を確保したLDKには、空間に合わせてデザインしたオリジナルの家具が大胆に置かれている。3.2m幅のダイニングテーブルは食事だけでなく、お子さんが宿題をする場にもなり、4.5畳分の正方形のソファーは、家族が集まって寛げる場となっている。
「ソファーは自由に並べ方を変えられるけど、それはやりません。日本文化から影響を受けたものなのですが、畳のように家族4人がここに集まって腰かけたり寝転んだり、自由に過ごしたい。我が家でいちばん気持ちのいい場所が、広い空間の真ん中に集まっている感じです」。
素材感にこだわりエモーショナルに
薄いグレーの塗り壁と、何度も塗り重ねて微妙な色合いを出したフローリングのLDKに、漆黒のようなキッチンが存在感を放っている。
「プロフェッショナルに見えるでしょう。黒は料理を美しく見せてくれるんです。白いキッチンって僕には分かりません(笑)」。
天板やカウンターは、モンゴルの御影石をバーナーにかけた素材を使用。凹凸感があるため単一な黒ではなく陰影が感じられる。
「平日は妻が、週末は私がここで料理をします。テクスチャーにこだわってエモーショナルに仕上げたので、調理をするのも楽しみですね」。
同じくモンゴルの石と黒のタイルで統一されたバスルームもまた、エモーショナル!
「温泉の露天風呂をイメージしました。照明を落として入っていると、箱根の温泉にいるみたいですよ」。
「プロフェッショナルに見えるでしょう。黒は料理を美しく見せてくれるんです。白いキッチンって僕には分かりません(笑)」。
天板やカウンターは、モンゴルの御影石をバーナーにかけた素材を使用。凹凸感があるため単一な黒ではなく陰影が感じられる。
「平日は妻が、週末は私がここで料理をします。テクスチャーにこだわってエモーショナルに仕上げたので、調理をするのも楽しみですね」。
同じくモンゴルの石と黒のタイルで統一されたバスルームもまた、エモーショナル!
「温泉の露天風呂をイメージしました。照明を落として入っていると、箱根の温泉にいるみたいですよ」。
プリミティブなアートが映える
「私のデザインは引き算なんです。どこまでシンプルにできるか。でも同時に強さもあります。無駄なものを削った空間だからこそ、ひとつひとつが映えてくるんです」。
シンプルな空間を包むのは、床に設けたスリットやミニマムにこだわったダウンライトから放たれるやわらかな灯り。ニコラさんと玲子さんが選んだプリミティブなアートが光を受けて、その存在感を際立たせる。
「間接照明も、障子を通した光を楽しむ日本の文化に学んだことです。光がグレーの壁面に反射してシャドーを生む空間は、まるで雲の中にいるかのようです」。
“浮遊する”ような幻想的な空間が、家族のコミュニケーションを生み、気鋭のデザイナーのオフタイムを満たしていた。
シンプルな空間を包むのは、床に設けたスリットやミニマムにこだわったダウンライトから放たれるやわらかな灯り。ニコラさんと玲子さんが選んだプリミティブなアートが光を受けて、その存在感を際立たせる。
「間接照明も、障子を通した光を楽しむ日本の文化に学んだことです。光がグレーの壁面に反射してシャドーを生む空間は、まるで雲の中にいるかのようです」。
“浮遊する”ような幻想的な空間が、家族のコミュニケーションを生み、気鋭のデザイナーのオフタイムを満たしていた。