繋がるワークスペース プライベートと仕事が重なる 緩急あるゾーイング空間

繋がるワークスペースプライベートと仕事が重なる
緩急あるゾーニング空間

仕切りすぎないライフスタイル

リノベ済み物件だった以前の住まいでの部分リノベの経験はあったが、今回初めてフルリノベーションをしたグラフィックデザイナーのAさん。「部分的に好みのものに変えて住んでいました。でも、築年数が50年以上だったので売れなくなる前に売却して、次の家を購入したいと考えていました」と話すAさん。今度は自分の好きにできるフルリノベーションをしたいという思いで物件を探し見つけたのが、築25年61㎡のマンションだった。
デザイナーという仕事柄、自宅で作業をしたり仕事関係者が打ち合わせで来たりすることもあり、一つの空間でプライベートと仕事が重なりがち。公私の境目がないことにストレスを感じないというAさんが快適さを追求した結果行ったのは、仕切り過ぎないリノベーションだった。

元々一つの部屋だったが、室内窓で仕切りワークスペースを設けた。奥に見える扉の奥が寝室になっている。

元々一つの部屋だったが、室内窓で仕切りワークスペースを設けた。奥に見える扉の奥が寝室になっている。

全体的な色調としてグレーを採用しているが、床のオーク材や天井の白味がかった壁紙が重すぎない空間を演出する。

全体的な色調としてグレーを採用しているが、床のオーク材や天井の白味がかった壁紙が重すぎない空間を演出する。

窓に見える3面のディスプレイはサブスクで世界の景色を映すAtmoph Window。角部屋に比べ窓が少ない中部屋で、視覚的に楽しませてくれる。

窓に見える3面のディスプレイはサブスクで世界の景色を映すAtmoph Window。角部屋に比べ窓が少ない中部屋で、視覚的に楽しませてくれる。

“はっきり分けない”のよさ

「やりたいことはほとんど決まっていた」というAさん。すでに物件が決まっている中で、複数の施工会社に希望を伝えレイアウト案を出してもらった。そこで選んだのがSHUKEN Reだった。「他社は独創すぎる案だったり現実的じゃなかったんですよね。その中で一番よかったのがSHUKEN Reでした。水回りの割引率が最も高かったこともポイントでした」。
好きにできるフルリノベーションということで、Aさんがやりたかったことがふんだんに採用されている。全体的にグレーで落ち着いたトーンにしたのも「一生に一度はグレーの壁の家に住んでみたい」という思いから。梁をうまく利用した色使いや、キッチンのヘリンボーン貼りのタイルなどAさんのセンスが光る。
そんなAさんが最も気に入っているのがワークスペース。腰壁のある室内窓でリビングダイニングを仕切った。「壁で完全に区切ると狭く感じるだろうし、仕事場がはっきり分かれていなくてもよかったんですよね。緩やかにスペースを分けるぐらいで十分かなと」。大きな窓を採用したことで、圧迫感を感じさせないゾーニングがされている。
ワークスペースには脚のない造作デスクを設置し、Aさん用のモニターアームで設置された3面スクリーンと、サポートで来た人が使用するパソコンを並べた。「以前は2台の机を繋げていたのですが、指示を出す時に脚が邪魔で。その経験を活かしました」。その他にも高さや幅を細く設定し設置した壁一面のシェルフなどこだわりが随所にある。

ワークスペースを仕切る2段の室内窓。空調を考慮し上部はガラスを入れていない。

ワークスペースを仕切る2段の室内窓。空調を考慮し上部はガラスを入れていない。

全体的な照明は電球色だが、仕事で色の確認をするためワークスペースは昼白色になっている。色のコントラストが空間を視覚的に緩やかに分ける。

全体的な照明は電球色だが、仕事で色の確認をするためワークスペースは昼白色になっている。色のコントラストが空間を視覚的に緩やかに分ける。

Aさんが手掛けた本が並ぶ造作棚。「仕事で作る本のサイズはほとんど決まっているので」と、自身がセンチ単位で図面を作成した。仕事はもちろん、リビングダイニング側からは、ディスプレイとしても楽しめる。

Aさんが手掛けた本が並ぶ造作棚。「仕事で作る本のサイズはほとんど決まっているので」と、自身がセンチ単位で図面を作成した。仕事はもちろん、リビングダイニング側からは、ディスプレイとしても楽しめる。

L字の造作キッチン。正面奥のヘリンボーン貼りの名古屋タイルはアクセントに。

L字の造作キッチン。正面奥のヘリンボーン貼りの名古屋タイルはアクセントに。

インターフォンや給湯器のモニターなどはキッチンに設置したニッチにまとめた。「壁がグレーなので、白が目立つんです。扉をつけてもらい普段は見えないようにしてもらいました」。

インターフォンや給湯器のモニターなどはキッチンに設置したニッチにまとめた。「壁がグレーなので、白が目立つんです。扉をつけてもらい普段は見えないようにしてもらいました」。

完全に分けたプライベートな場所

どうしても土間が欲しかったと話すAさん。デザインソフトを使って自ら間取りを考えていたが、土間を設けるスペースの確保が難航した。そこでSHUKEN Reが提案したのが、玄関と壁を挟んであったリビングダイニングに繋がるキッチンの移動だった。玄関から続く廊下に沿うように設置されたカウンターをリビングダイニング側に移動させ、L字の造作で取り付けたことで空いた玄関スペースを土間に活用した。
玄関からリビングダイニングまでがプライベートと仕事を両立させたスペースで、その奥に扉を挟んで寝室がある。このスペースは元々ワンルームだったが、間仕切りを入れてWICを設けた。「リビングダイニングまでは友人だけでなく仕事関係の方も入るので、寝室は扉で区切れるようにしました。寝るだけでスペースはそれほど必要性がなかったので、間仕切りで一部をWICにしています」。実は寝室には2か所窓があったが、1つを無くしてスクリーンを設置し、シアタールームになるようにした。「打ち合わせを重ねる中で出てきたアイデアでした。以前の住まいは角部屋で、窓が今よりあったのですが、必要性をそれほど感じなくて」。ベッドに入ったままプロジェクターを使ってくつろぐ日もあるという。
完全なプライベート空間を確保しているからこそ、対外的に開放されているスペースは生活空間と仕事場をはっきりと区切らないエリアにすることができ、全体的に余裕を感じさせる。間取りをほとんど変えずに、間仕切りで緩急あるゾーニングを演出し、“プライベートと仕事の切り替えは気にしない”というAさんらしい空間が生まれた。

キッチンだったスペースの一部を玄関と繋げて土間に。カウンターの位置を工夫することで玄関にモノを置ける空間を作った。

キッチンだったスペースの一部を玄関と繋げて土間に。カウンターの位置を工夫することで玄関にモノを置ける空間を作った。

玄関とリビングダイニングの間には、アイアンのハンガーパイプとベンチが設置されている。ゲストの上着や荷物を置いたりするスペースで、実用的で視覚的にも広さを感じさせる。

玄関とリビングダイニングの間には、アイアンのハンガーパイプとベンチが設置されている。ゲストの上着や荷物を置いたりするスペースで、実用的で視覚的にも広さを感じさせる。

別々だった水回りを一つにまとめることで余裕のある空間に。この間取りにしたことで、廊下のベンチスペースが生まれた。

別々だった水回りを一つにまとめることで余裕のある空間に。この間取りにしたことで、廊下のベンチスペースが生まれた。

海外旅行好きのAさんがホテルをイメージして考えた水回りの空間。壁のタイルはキッチンの色違い。

海外旅行好きのAさんがホテルをイメージして考えた水回りの空間。壁のタイルはキッチンの色違い。

一番奥にある寝室には輸入壁紙を使い、他の部屋と違うプライベート空間を演出。

一番奥にある寝室には輸入壁紙を使い、他の部屋と違うプライベート空間を演出。

ベッドサイドには冷蔵庫、その上にはプロジェクターが置かれ、快適に過ごすための機材が置かれている。

ベッドサイドには冷蔵庫、その上にはプロジェクターが置かれ、快適に過ごすための機材が置かれている。

寝室と間仕切りで仕切られたWIC。梁をうまく活用し、ハンガーパイプや造作棚を設けた。

寝室と間仕切りで仕切られたWIC。梁をうまく活用し、ハンガーパイプや造作棚を設けた。

寝室の窓をなくし設置したスクリーンだが、右上にあるエアコンの配管を隠す目的も。全体的にコードや配管などが造作棚の中などにうまく隠されている。

寝室の窓をなくし設置したスクリーンだが、右上にあるエアコンの配管を隠す目的も。全体的にコードや配管などが造作棚の中などにうまく隠されている。

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