夫婦2人の55㎡リノベーションテーブルも椅子もいらない
ちゃぶ台を囲む床に近い暮らし
将来の売却を見据え、人口増加率の高い都市をチョイス。
結婚6年目になる石橋さんご夫妻は、埼玉県にあるこの物件を購入。フルリノベーションして昨年からここに暮らしている。もともと3LDKだった間取りは、1LDKへと生まれ変わった。
夫の講平さんは前職でリノベーション会社に勤務していた経験もあり、自然な流れでマンションのリノベーションを選択した。物件探しでは、雑貨店で勤務する奥様・祐美さんの職場に通いやすいことを条件に、千葉、埼玉、神奈川の主要都市に絞って内見をした。
「将来的に売却することも視野に入れて、子ども向けの支援をちゃんとやっているこの街を選びました。子供を育てやすい街なら、マンション価値が下がらないのでは?と考えたからです。仮に15年ほど私たちがここに住んだとしても、値下がりせずに売却できそうだと思えたのが決め手ですね(講平さん)」。
また180cmと高身長の講平さんは、天井の高い部屋を希望。この物件が天井高のある最上階だったことも物件購入を後押しした。
家に帰ったら、すぐにお風呂に入りたい派。
玄関ドアを開けると、最初に目に飛び込んでくるのは、宙に浮かぶ大きな吊り棚。モルタルを流した広い土間の中央に、木の骨組みだけで作られた収納棚が天井から吊るされている。
「リノベーションすると決まったときから、存在感のある棚が欲しいと思っていました。表側には2人分の靴を、裏側には長さのあるコートや普段使いのバッグを掛けて収納しています。総面積55㎡という広さに対して、これだけ大きな収納棚を置くと圧迫感が出てしまうので、床から20㎝浮かせて軽やかな印象にしてもらいました(祐美さん)」
そして帰宅後すぐに着替えてお風呂に入れるよう、収納スペースの先には浴室へと続く扉を設けた。そのため玄関土間には、コートや靴だけでなく、普段着、靴下、下着に至るまでの衣類全般がまとめて収納されている。
「僕は帰ってきたら、すぐに着替えたいタイプなんです。ここで全部脱いで、そのままお風呂に入れる動線にしました。さっぱりとした気持ちでリビングに行くのが、いつものルーティンです(講平さん)」
背の高い家具は置かない。ちゃぶ台ライフの魅力とは?
石橋邸のLDKに置かれた家具は、直径112cmのちゃぶ台と低めのベンチのみ。ソファやダイニングテーブルなど背の高い家具はなく、椅子も置いていない。
「設計をはじめる前に、普段なにをして過ごすことが多いか?というアンケートに答えたんです。それを書き進めていたら、驚くほどテレビのことばかり書いていました(笑)。仕事が終わってテレビ、お風呂から出てテレビ、ご飯を食べてテレビ。地上波はもちろん、サブスクリプションや配信サービスも2人でよく観ています。座る場所や人数を限定せず、足を伸ばしてゴロゴロできるちゃぶ台のほうが、テーブルよりも自分たちのライフスタイルには合っている気がしたんです(講平さん)」
休日の午前中は家でのんびりと過ごし、午後からは夫婦で買い物に出かけることが多いという。リノベーションをしたことで収納量が明確になり、買い物の仕方も変わったそうだ。
「土間にウォークインクローゼットをつくったことで、いま持っているものが可視化されたんです。僕ら2人とも大雑把なので、隠す収納だと物の存在を忘れてしまう。だからなるべく見えるように収納しています。そのおかげで欲しいものがあったらまず、どこに置くのかを考えるようになりました。いま持っているものを大切にしながら、季節やシーンに合わせて入れ替えを楽しんでいきたいです」と笑顔で締め括ってくれた。