人の交流を生むLDK白いキャンバスを自由に彩る
ミッシュマッシュ空間
3年がかりで見つけた物件を購入
賃貸で暮らしたエリアで見つけた築53年の物件を、10カ月ほど前にリノベーション。新居での暮らしを楽しんでいるAさんご夫妻。
「3年ほどかけてじっくりと探しました。南向きの窓の向こうは低層エリアで視界を遮るものがなく、西新宿や富士山が望める眺めが広がっています。眺望も購入の決め手でした」。
リノベーションはインスタグラムでフォローしていたnuリノベーションに依頼。
「好きなデザインが多かったんです。予算の問題があったので、今回は個室には手をつけず、LDKだけ着手しました」。
ドアを開けると、リノベ前からだったという斜めに設けられたアプローチ。白を基調とした箱に様々なカラーが溢れかえる、ワクワクとさせられる空間へと招き入れてくれる。
光が抜けるワークスペースを
「マルシェやイベントなどを行う会社を自分で営んでいるので、道具が多いんです。85㎡の住空間に加え倉庫も借りているので、余裕ができましたね」。
リビングと個室を分けていた仕切りは撤去。個室があったところにワークスペースをコンパクトに設けた。
「LDKを広く取るため、仕切りの位置を動かしました。その分、ワークスペース側にもLDK側にも圧迫感が出ないよう、ガラスの室内窓を使っています」。
ガラスを通過する光が白い空間に反射し、明るさに包まれる。
「床に白い長尺シートを使ったのがポイントです。日本の家の床といえばフローリングが多いですが、広い面積に木目の出る床材を使うと、目立ってしまうと思うんです。床はシンプルで無機質な雰囲気にして、家具で有機物を足したり、アートや雑貨で色を加えたり。白いギャラリーのような箱にしておいて、自分らしいコーディネートを楽しみたいと思いました」。
ポップなアレンジを自由に楽しむ
なるべく既存のものを活かすため、キッチンももとからあったものを活用。
「キッチン台にはポップなイエローグリーンが使われていました。面材などは白く変えてもらったのですが、シンクの中は変えられなくて。でも却ってそこから発想して、空間全体をポップに仕上げていったところはあります」。
キッチンの床は白からクリーム系のイエローに切り替え。シンク上にあった吊り収納は外して、日常使いのものを飾りつつ収められるようにした。
「冷蔵庫は前の家から持ってきたもので、今なら絶対に選ばない(笑)黒いカラーなんです。重さのある黒をカバーするために、黒い額縁のアートを壁に飾りました」。
取り替えられない壁のスイッチパネルは、そのまわりの壁をアートや展覧会のチラシなどでアレンジ。目に触れさせたくないものが、視覚的にカバーされる。
「友人に描いてもらった作品だったり、思い出のある展覧会のチラシだったり。何か今の自分にとって意味のあるもので彩りたい、そんな気持ちもありますね」。
LDK全体が、Aさん夫妻にとって思い出のあるカラフルなモノで彩られている。
「テーマをつけるなら“ミッシュマッシュ”。色々なモノがごちゃまぜになって存在している空間がイメージです。引渡しの時は、不安になるくらい真っ白でシンプルな箱でしたが(笑)、だからこそ色々なカラーを足していくことができたし、自分らしさを表現できたと思います」。
アートを日常に取り入れる
留学中のロンドンで知り合ったAさんご夫妻は、夫が企画するマルシェで妻が絵を描いて販売する活動を行っている。
「向こうは家の中にアートがあるのが当たり前の文化なんです。日本って、アートというとギャラリーで購入するものだったり、美術館で鑑賞するものだったり。どこか敷居の高い文化を、もっと自分の軸で自由に楽しんでほしいという思いがあります」。
Aさんの自分軸で選んだアートと触れ合えるLDKを、訪れるゲストも多い。
「しょっ中ホームパーティーを開いていた、イギリスのホームステイ先などから影響されて、ソファをL字型に置きました。そうすることでゆっくり寛げる雰囲気が出せると思うんです。広々とさせた仕切りのないひとつの空間だからこそ、緩くゾーニングして読書コーナーを設けるなど、それぞれが自由な過ごし方ができるようにも考えています」。
白いミッシュマッシュ空間は、アートを楽しむためのギャラリーであり、人が行き交い触れ合うマルシェのようでもあった。