洗い出しの土間が続く家品格と“抜け”のバランスが
絶妙な建築家の自邸
一枚の石の上に暮らす
建築設計事務所『Buttondesign(ボタンデザイン)』の菊田康平さんの自邸は、玄関からリビングまで続く砂利洗い出しの床が印象的。
「床を一枚の石のように見せたいと考えました」。
仕事ではなかなかできないことを、自邸では実験的にやりたくなってしまいます、と菊田さん。
築42年、78㎡の元4LDKだった集合住宅をフルリノベーション。物件は『Buttondesign』の不動産事業部門『Archi Land Lab』で探した。
上階が屋上になっているので、防音と断熱を兼ねたセルロースファイバーを施し、天井と壁は漆喰で仕上げている。
翡翠色のキッチン
キッチンも菊田さんのデザイン。
壁付けのスモーキーなグリーンのキッチンと、大型のアイランドスタイルの作業台を組み合わせている。
「キッチンの面材はサイルストーンという人工大理石を選びました。染みがつかず、耐久性が高いという特徴を持っています」
オールステンレスの作業台も菊田さんがデザインしたもの。天板の縁を少し上げて、上に置いたモノや食品がこぼれ落ちないようになっている。
「お客さんが来た時は、この上に料理やお酒を並べて、好きなものをとってもらうスタイルが多いです」
南洋桜の木目を活かした洗面室
グルリと回遊できるウォークインクローゼットは、ラーチ合板の下地材で作られている。
「将来、ここに娘の部屋を作るかもしれないので、撤去が簡単な簡易的な素材で作りました。
好きにフックを打ち付けたり、落書きをしてもいいラフな使い方ができる“抜け”のある場所です」
室内壁として使っているガラスブロックから、廊下に優しい光が落ちる。
「マンションの廊下は暗くなってしまうことがありますが、ガラスブロックを使って解決しました」。
洗面所は南洋桜の木目が美しいホテルライクな設え。
「毎日の身支度は気持ちを上げたいという思いで設計しました。
キッチンが住宅のコックピットなら、水まわりは生活の中心になる大切な場所です。
洗面室が孤立し過ぎないように、居室のソファや食品棚で使っている木材を使用し、繋がりを持たせました」