家族4人の60㎡リノベーション どの部屋からも公園の緑を感じられる2LDK

家族4人の60㎡リノベーションどの部屋からも公園の緑を感じられる住まい

都内の小さい家でフィットする暮らしを

建築家の織田ゆりかさんは、ご夫婦と5歳になる相吾くん、2歳の早知ちゃんの家族4人暮らし。2022年にこのマンションを購入し、自身の設計でフルリノベーションをした。
「以前は45㎡ほどのアパートで暮らしていましたが、子どもが2人生まれて、いよいよ手狭になってきたため引っ越しを考えはじめました。郊外に行って通勤時間が長くなるよりは、都内の小さい家で自分たちにジャストフィットする暮らしを送りたいと思い、少し広めの62㎡ほどの物件に決めました」と話す、ゆりかさん。
旦那様の通勤利便性を条件に、物件は不動産仲介会社に依頼し探した。賃貸暮らしで気に入っていたエリアで探したが予算が合わず、視野を広げてみたところ、この物件に出会った。
「ここの公園の眺望がすごく気に入っちゃって。周辺の雰囲気も落ち着いているし、すぐそばに木が見えるというのがいいなと思いました」と続ける。
設計デザインは自身で行うことを前提に、使う素材や自由な間取りのオーダーに対し、柔軟に対応してくれそうだと感じた施工会社「NENGO」を依頼した。

築48年、総面積は約62㎡。

築48年、総面積は約60㎡。

ベランダから部屋の一番奥まで、光と風が抜ける。

ベランダから部屋の一番奥まで、光と風が抜ける。

背の低いソファは家に合わせて造作。

背の低いソファは家に合わせて造作。

ソファの上部にはニッチ棚を設けた。

ソファの上部にはニッチ棚を設けた。

リビングダイニングの家具は、全体的に低めに設定。

リビングダイニングの家具は、全体的に低めに設定。

壁はポーターズペイントで塗装した。

壁はポーターズペイントで塗装した。

ダイニングテーブルは奥様がデザインしたオリジナル家具。

ダイニングテーブルは奥様がデザインしたオリジナル家具。

天板の下にコンセントをつけ、テーブルの脚に配線を仕込んだ。

天板の下にコンセントをつけ、テーブルの脚に配線を仕込んだ。

60㎡をより広く感じさせる3つの工夫

窓からの眺望を気に入って購入した部屋の間取りは、どの部屋からも公園の緑を感じられるワンルームへと変更した。60㎡の面積を広く感じさせるために、大きく3つ心がけたことがあるそうだ。
1つ目は、扉を設けないゆるやかなゾーニング。
「この部屋は60㎡とコンパクトですが、狭くても光や風が抜けるように意識しました。それでいて最低限のプライバシーを確保できるように工夫しました。各スペースに扉を設けない代わりに、床に段差をつけたり床材を変化させることで、空間をゾーニングしたのがポイントです」
2つ目は、行き止まりのないキッチン。部屋の中央に設けた約3.3mのキッチンは、左右が回遊できる通路につながっている。
「キッチンや収納を縦向きに設置することで、行き止まりをなくしました。そのおかげで忙しい時間帯でも、家族の動線が重なりません。子どもたちはキッチンの周りをぐるぐる追いかけっこして遊んでいることもありますね。行き止まりがないことで、実際よりもキッチンが広く感じられるのも利点です」
そして3つ目は、低めの高さにこだわったリビングの家具。
「床にはカーペットを敷いて、昔の畳の家のように床に近い生活をしたいと考えていました。ダイニングテーブルは、一般的な高さよりも5cmほど低い、65cmにしています。それに合わせて、椅子の脚も家具屋さんでカットしてもらいました。ソファも低めに造作。家具全体の重心を下に持ってくることで、天井が広く見える狙いもあります」と話すゆりかさん。
玄関側からの眺め。

玄関側からの眺め。

キッチン横にコンパクトなワークスペースを設置。

キッチン横にコンパクトなワークスペースを設置。

自然光でも作業ができるよう、メッシュのアルミパネルで採光を確保した。

自然光でも作業ができるよう、メッシュのアルミパネルで採光を確保した。

小上がりは、家族が自由に使う多目的スペース。

小上がりは、家族が自由に使う多目的スペース。

寝室と小上がりを収納棚で仕切っている。

寝室と小上がりを収納棚で仕切っている。

キッチンの左右を通路にし、行き止まりのない間取りに。

キッチンの左右を通路にし、行き止まりのない間取りに。

多目的に使える小上がりスペース

寝室の横には10㎡ほどの小上がりを設けた。特に用途を定めず、家族の多目的スペースとして使っている。
「子どもの遊び場になったり、ストレッチやヨガなど軽い運動をしたり。夜は布団を敷いて寝室代わりとしても使っているので、その日によって寝室と小上がりでメンバーチェンジをしながら寝ています。もちろん来客の際には、客間としても使うこともできます。部屋の用途を限定しないことで、フレキシブルに暮らせています(ゆりかさん)」。
ライフスタイルの変化に合わせて、将来は部屋の使い方も変えていく予定だ。
「10年くらい先の話になるかもしれませんが、小上がりを子供達の個室にすることも視野に入れています。私がいずれ事務所を別で構えることになったら、いま私が使っている書斎スペースは子供達の勉強机に。子供達の成長に合わせて、暮らし方を変えながら楽しんでいきたいです」と、にこやかに締め括った。
家のどこからでも、公園の緑を感じられる。

家のどこからでも、公園の緑を感じられる。

壁の一部はあえて塗装せず、物件の持ち味を活かした。

壁の一部はあえて塗装せず、物件の持ち味を活かした。

キッチンは「toolbox」のもの。

キッチンは「toolbox」のもの。

玄関床は「びしゃん叩き」で粗い石肌に仕上げた。

玄関床は「びしゃん叩き」で粗い石肌に仕上げた。

通路に設置した洗面スペース。

通路に設置した洗面スペース。

洗面の上部には間接照明を仕込んだ。

洗面の上部には間接照明を仕込んだ。

トイレの壁は、今後も手を加えられるよう躯体現しに。

トイレの壁は、今後も手を加えられるよう躯体現しに。

設計は「オリーブデザイン一級建築事務所」、施工は「NENGO」が担当。

設計は「オリーブデザイン一級建築事務所」、施工は「NENGO」が担当。

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