マクラメでデコレーションマクラメを使う
スタイリングの新しいアイディア
マクラメ編みは、アラビア語の”ムクラム(格子編み)”を語源とする、歴史の古い装飾編みのこと。1970年代にフォークロアやボヘミアンスタイルの流行とともに脚光を浴びた。
最近、そのマクラメ編みが復活。マクラメ編みをモダンで洗練されたスタイルでインテリアに取り入れる方法を、自身のマクラメ編み作品のショップ indigo.decoを運営するデコレーター&デザイナーの西村みちるさんのお宅に伺った。
「ウィービング(毛糸のタペストリー)は以前から作っていたのですが、マクラメのシンプルな色合いに魅力を感じました。この色数の少なさを生かしてマクラメを飾るのが、今っぽいインテリアにするポイントだと思います」
黒板塗料でペイントした壁に飾ったり、アート作品と共にコーディネイトすると、モードを感じさせるデコレーションになる。
マクラメの編み方はとてもシンプルなので、デザインは自分で考えることができるのだそうだ。エミリー・カッツさんなど、海外のマクラメアーティストの作品からインスピレーションを得ることもあるそう。
「海外のマクラメ編みの本などを参考にして、独学で始めました。基本の編み方は同じなのですが、なかなかまだ日本ではマクラメというとアクセサリーの本が多いです。材料はホームセンターやネットのロープ専門店で購入しています」
[1]フラワーポットをハンギング
ナチュラルなマクラメと植物の相性は抜群! マクラメのハンギングに鉢植えのグリーンをセットする使い方は、インテリアのアイテムとして最もマクラメを取り入れやすい方法かもしれない。
「鉢植えももちろんいいのですが、フラワーベースをハンギングするのもオススメです。好きな花を活けて、部屋のいろいろな場所に飾ってみてください。お花によって雰囲気が変わりますし、どこに吊るそうか、あれこれ考えるのも楽しいです」
透明感を楽しめるガラスの器や、ゴールドのラッカーでペイントしたフラワーベースを組み合わせるのが西村流。
吊るすものはもちろん植物じゃなくてもかまわない。プレートを吊るして小物を飾ったり、キッチンではカゴを吊るして食材のストックに使ったり。アイディア次第で使い方が広がるのがマクラメハンギングの楽しみのひとつだ。
[2]マクラメをテーブルランナーに
マクラメは置いて使っても素敵。リビングのテーブルに、立体感のある編み方を施したマクラメを飾る。ハンドメイドすれば、使っているテーブルの大きさに合わせて、幅や長さなどを調整できる。
西村さんは、このテーブルランナーをサイドボードの上で楽しむことも多いそう。
[3]パーテーションやオーナメントにも
マクラメは飾って楽しむだけではなく、アイディア次第で様々なお役立ちアイテムに変身する。
「ダイニングとキッチンの間にパーテーションが欲しくて編んでみたのが、マクラメにハマるきっかけでした。想像していたよりも短時間で作ることができました」
マクラメは編んで形を作る時よりも、ロープをほどいて下にフリンジを作る工程のほうが、単純作業のせいか時間が長く感じるのだそう。
細いロープを使えばクリスマスツリーのオーナメントにも。
「去年のクリスマス前に、ツリーのオーナメントを作るワークショップを行いました。初めての方ばかりでしたが、みなさん可愛いマクラメオーナメントを完成させていましたよ」
他にもハンモックや、照明スタンドの傘として使いマクラメ編みの透け感を楽しんだり、イスの座面をマクラメ編みで作ることもできる。古いガーデンチェアのフレームを生かし、座面をマクラメで編んでリメイク作品を制作したこともあるそうだ。
[4]マクラメで部屋に統一感を
存在感のある大型のタペストリーひとつでウォールデコレーションするのもよいけれど、小さなものを組み合わせて空間を構成するのも楽しい。小さなタペストリーをトイレのちょっとしたスペースや、柱などに飾るのもオススメなのだそう。西村さんは、マクラメで作ったガーランドで、庭のデコレーションも楽しんでいる。
「インテリアのスタイルを決めつけるのが好きではないので、我が家の家具は北欧のサイドボードや、男っぽいレザーソファ、イームズのシェルチェアなど、時代もデザインもさまざまなものが混在しています。その分、統一感は小物や色使いで出すようにしています。今はマクラメと植物、ゴールドのラッカーでペイントした小物がその役目を果たしています」と西村さん。
マクラメを編んでみよう
マクラメ編みの基本、「平編み」と「ねじり編み」の2つを西村さんに教えていただいた。
「ハンガーラックなどを使って、バーと綿ロープを吊り下げて編んでいきます」
今回は、4本のロープを使用。バーに4本のロープを結び、8本にしたロープを編んでいく。
「ねじり編み」は、”右”端のロープを、真ん中の2本の “上”を通り左端のロープにくぐらせる。左端のロープは真ん中の2本の下をくぐらせて、右端のロープの輪の部分に通して結ぶ。この結び方を繰り返していくと、結び目がどんどんねじれ、ねじり編みになる。
「平編み」は、「ねじり編み」を1回行い、次は、”左”端のロープを、真ん中のロープの上を通り右端のロープの下にくぐらせ、右端のロープは真ん中の2本のロープをくぐらせて、左端のロープの輪に通す。つまり、左右交互にロープを結ぶのが平編みだ。
この「平編み」と「ねじり編み」の組み合わせと、結び目を作る間隔を調整して、ハンギングやタペストリーを作っていく。さらに「巻結び」や「斜め巻き結び」の編み方を加えれば、バリエーション豊かな作品を作ることができる。
ロープの太さを変えたり、綿や麻、ナイロン混、ジャージなど、素材の違うロープを使えば表情の変化が楽しめる。