壁の色を変えて気分一新  ウォールペインターが 壁の塗り方をレクチャー

壁の色を変えて気分一新ウォールペインターが
壁の塗り方をレクチャー

「白い壁のままではもったいない。自由に壁をペイントして遊んでもらいたいなと思っています」と、ウォールペインターとして活躍するすまあみさん。アメリカでキャリアを重ね、5年前に帰国。一般住宅、幼稚園、百貨店などでのペイントや、空間のアートディレクション、子どものためのアートワークショップなどを手がけている。

「DIYで壁を塗り、気分に合わせてインテリアを変えて楽しむ方が多いアメリカでは、使い勝手のいいペイントが揃っています。日本に帰国した時、ウォールペイントに適した塗料を探すのに苦労しましたが、ベンジャミンムーア が日本でも手に入ることがわかり、仕事がグンとしやすくなりました」

今回、新築のお宅の、2歳と0歳の兄弟の部屋のペイント作業を拝見しながら、基本的なウォールペイントの技術を教えていただいた。
「子ども部屋は世界観を作りやすいので、初めてチャレンジする方にもオススメです。成長に合わせてペイントし直す前提で、気軽にトライしてみてください」

すまさんの作品。ベビーベッドに合わせてウォールペイント。「子ども部屋の準備を整えながらお子さんの誕生を待ちます」

すまさんの作品。ベビーベッドに合わせてウォールペイント。「子ども部屋の準備を整えながらお子さんの誕生を待ちます」

アメリカ時代の兄弟の部屋の作品。音楽が大好きな2歳の弟の部屋は、ミラーボールをイメージ。

アメリカ時代の兄弟の部屋の作品。音楽が大好きな2歳の弟の部屋は、ミラーボールをイメージ。

サーフィンが好きな6歳のお兄ちゃんの部屋。ダークトーンな波が曲線の天井を駆け上る。

サーフィンが好きな6歳のお兄ちゃんの部屋。ダークトーンな波が曲線の天井を駆け上る。

ピンクのツナギに脚立を担いで現場に登場のすまあみさん。17歳で渡米し、NYの美大を卒業後、ウォールペインターの道に。1児の母でもある。

ピンクのツナギに脚立を担いで現場に登場のすまあみさん。17歳で渡米し、NYの美大を卒業後、ウォールペインターの道に。1児の母でもある。

[1]準備するもの

ペイントは水性塗料のベンジャミンムーア。色数は3600色を備える。
「ベンジャミンムーアは、色をデジタル管理しているので、一度使った色を何度でも作ってもらえます」
多少の塗りムラがあってもすーっと馴染んでくれるのもベンジャミンムーアの特徴。飛び散りや垂れも少なく、初心者に優しい塗料なのだ。
「乾きが早いので作業時間が短縮できます。嫌な匂いが少ないのもいいですね。塗装面を拭き掃除できるのもうれしいポイントです」

塗らない部分を保護するためのマスキングテープは必須アイテム。粘着力に差があるので、壁紙などの剥がれに弱い素材に貼る際は、粘着力の弱いものを選びたい。

細かい部分を塗るための刷毛と、広い面を均一に塗るためのローラーも準備。
「刷毛やローラーは日本のものが素晴らしいです。アメリカに輸出してあげたいくらい(笑)」

ヘラは、マスキングテープを手早くまっすぐに切れる便利なものなので、ぜひ用意しておきたい。

①ベンジャミンムーアのペイント。②広い面積を塗るためのローラー。③細かい部分を塗る刷毛と筆。④ネット付きのバケツ。

①ベンジャミンムーアのペイント。②広い面積を塗るためのローラー。③細かい部分を塗る刷毛と筆。④ネット付きのバケツ。

⑤マスキングテープ。⑥テープに予めビニールがついているマスカー。⑦ロール状のビニールシートで広く床面を保護。

⑤マスキングテープ。⑥テープに予めビニールがついているマスカー。⑦ロール状のビニールシートで広く床面を保護。

⑧下絵。⑨上の箱がすまさんの秘密兵器、プロジェクター。下絵を壁に投影して拡大し、トレースする。

⑧下絵。⑨上の箱がすまさんの秘密兵器、プロジェクター。下絵を壁に投影して拡大し、トレースする。

[2]ペイント前の準備

「“養生9割”と言われるように、マスキングをしっかりできれば、残るペイント作業はたったの1割(笑)。それくらい養生が出来栄えを左右します」

幅木の上や、壁と天井の境目、スイッチプレート、ドアなど、ペイントしない部分を丁寧にマスキングしていく。

テープに予めビニールがついた“マスカー”は、テープの粘着力が強いので、マスキングテープの上から貼っていく。

広い面をさらにビニールシートで養生する。
「思いがけない場所にペイントが飛んだり、塗料缶を蹴っ飛ばすという事故が無きにしもあらずです。広く広~く養生しましょう」

幅木の上にマスキングテープをまっすぐに貼る。角はきっちり90度に貼ってしっかり保護。

幅木の上にマスキングテープをまっすぐに貼る。角はきっちり90度に貼ってしっかり保護。

天井を白く残す場合は、壁と天井の境目にも忘れずにマスキングテープを貼っておくこと。

天井を白く残す場合は、壁と天井の境目にも忘れずにマスキングテープを貼っておくこと。

プロジェクターを使って壁に下絵を投影する。すまさんはOHPフィルムを使うタイプのプロジェクターを愛用。

プロジェクターを使って壁に下絵を投影する。すまさんはOHPフィルムを使うタイプのプロジェクターを愛用。

「直線はマスキングテープを使うと綺麗に仕上がります。テープのカットはヘラを使うとまっすぐに早く切れます」

「直線はマスキングテープを使うと綺麗に仕上がります。テープのカットはヘラを使うとまっすぐに早く切れます」

[3]いよいよペイント!

ベンジャミンムーアのペイントは、2度塗りで綺麗に仕上がるように作られている。
「その日の気温や湿度にもよりますが、30分ほどで乾くので、他の部分を塗っている間に、最初に塗った場所が乾いていることが多いです。乾き待ちの時間が必要ないので、とても作業がスムーズです」

ペイントはまず、ローラーの入らない細かい部分から刷毛を使って塗っていく。
次にローラーで広い面を塗る。縦方向だけにローラーを動かしながら塗っていくのが綺麗に仕上げるコツ。
最初に塗った部分が乾いてから2度塗りする。

ペイントが完全に乾ききる前にマスキングテープをそっと剥がして完成!

「今回筆で描いたのは汽車の曲線部分と煙のみです」
マスキングテープを駆使してウォールアート! どうですか? 挑戦してみたくなりませんか?

ペイントをバケツに出しローラーに含ませる。網の部分で余分なペイントを落とす。

ペイントをバケツに出しローラーに含ませる。網の部分で余分なペイントを落とす。

まずは細かい部分から筆を使って塗っていく。天井と壁の間も筆で先に塗っておく。

まずは細かい部分から筆を使って塗っていく。天井と壁の間も筆で先に塗っておく。

広い面積はローラーを使って塗る。2度塗りが美しく仕上げるコツ。30分ほど待ち、最初に塗った面が乾いてから、2度目を塗る。

広い面積はローラーを使って塗る。2度塗りが美しく仕上げるコツ。30分ほど待ち、最初に塗った面が乾いてから、2度目を塗る。

マスキングテープをそっとはがしていく。完全に乾いてしまうと塗料も一緒に剥がれることがあるので、半乾き状態でゆっくりと剥がす。

マスキングテープをそっとはがしていく。完全に乾いてしまうと塗料も一緒に剥がれることがあるので、半乾き状態でゆっくりと剥がす。

2歳と0歳の男のコの兄弟の部屋のペイントが完成! 陽の当たる明るい部分と暗い部分では色が違って見える。

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プラスαでもっと楽しく

筆で絵を描くだけでなく、ウォールペイントにカッティングシートを組み合わせることもあるそう。カッティングシートとは、シートの裏面に粘着剤がついた装飾用のシートのこと。展示会会場や百貨店など、作業時間が限られている現場では特に重宝するそうだ。
「けれど、カッティングシートは値段が張るので、予算が多い現場にしか使えないのが残念です」

リーズナブルに部屋の雰囲気を変えるなら、マスキングテープをオススメしたいのだとか。
「文房具の“マステ”がブームですが、幅広のマスキングテープを使えば、簡単に部屋や家具をイメージジェンジできます」

象と気球の部分はカッティングシートを使っている。グレーの壁に雲と星をペイント。

象と気球の部分はカッティングシートを使っている。グレーの壁に雲と星をペイント。

厚みのある板にカッティングシートを貼り、立体感を出した作品。空飛ぶ動物たちがとってもカワイイ。

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すまあみさんの展覧会。「チェストにマスキングテープを貼っています。簡単にできる家具のリメイクなのでぜひオススメしたいです」

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カッティングシートで覗き穴を作ったガラスのパーテーション。「階段の手摺りに作った覗き穴も子どもたちから大好評でした」

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子ども部屋の入口にウォールペイント。ドアの向こうに広がる楽しい世界にワクワクする。

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「ドアは家の中で3Dで動くものなので、“動くとおもしろいもの”を作ると楽しいと思います」

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