熱帯雨林をインテリアに  自然界を再現する パルダリウムを制作

熱帯雨林をインテリアに自然界の様子を再現する
パルダリウムを制作

ガラスケースに自然の景色を

ガラスの水槽に自然の景観を再現するパルダリムが、アクアリウム、テラリウムと並んで今、人気。そこで、スローハウス天王洲で開催されたワークショップに参加してみた。パルダリウムのつくり方や楽しみ方をレポートする。
「水場を作って生物を飼育するのがテラリウムやアクアテラリウムですが、熱帯性植物を取り入れ、その植物の生長を楽しむことに焦点をあてたのがパルダリウムです」
と、「アクアデザインアマノ」の松本隆介さん。熱帯性の水草を使い、自然をイメージして植栽することで、ガラスのケースの中に熱帯雨林のようなひとつの景観を創りあげる。レイアウトの面白さや、バラエティ豊かなカタチや色彩のアレンジ、ケースの中の景色が生長していく楽しみ、などが醍醐味だ。
高い方から低い方へ流れる砂、植物の自生の様子など、自然界の様子を忠実に再現。うっそうと茂る熱帯のジャングルを思わせる。

高い方から低い方へ流れる砂、植物の自生の様子など、自然界の様子を忠実に再現。うっそうと茂る熱帯のジャングルを思わせる。

ワークショップは、スローハウス天王洲の一角で開催。パルダリウム制作のための道具や水草などもたくさん販売された。

ワークショップは、スローハウス天王洲の一角で開催。パルダリウム制作のための道具や水草などもたくさん販売された。

「アクアデザインアマノ」の作品。置くだけで水々しい雰囲気に。

「アクアデザインアマノ」の作品。置くだけで水々しい雰囲気に。

繊細な葉姿の水草、マダガスカル産のレースプラントも人気。

繊細な葉姿の水草、マダガスカル産のレースプラントも人気。

パルダリウムに使用する植物。様々な種類の中から組み合わせ、オリジナルを完成させることができる。

パルダリウムに使用する植物。様々な種類の中から組み合わせ、オリジナルを完成させることができる。

パルダリウムをつくってみる

「景色のイメージを持って取り組むことが大事ですね」(松本さん)。
流木や石のあり方、土の流れなど、自然の摂理を意識して構図を決めることからスタート。背面を高く、三角形の構図を意識して流木と石を配置したら、シート状の苔をはがし、流木にそって這わせていく。そして次に水草を選んで植える。
「水草には背丈の低いもの、高く育つもの、ツタのように這うものなど色々あります。植物についての知識を持ってアレンジすることも必要です」。
それぞれの特性を考えずに植栽すると、生長したときにレイアウトが崩れてしまう。どのあたりにどんなものをあしらうかを考えつつ進めること、乾燥しないよう、霧吹きで常に湿らせながら作業を進めることなどが、忘れてはいけないポイントだ。
パルダリウム制作に必要な道具と素材。底材には砂や土を焼き固めたソイルを使う。植物や流木は、自然採取してきたものだと腐りやすかったり虫がついていたりするので、アクアリウム用のものがおすすめ。

パルダリウム制作に必要な道具と素材。底材には砂や土を焼き固めたソイルを使う。植物や流木は、自然採取してきたものだと腐りやすかったり虫がついていたりするので、アクアリウム用のものがおすすめ。

①活性炭入りで微生物の働きを良くするソイル(土)をケースに入れ、サンドフラッターで平坦になるようにならす。

①活性炭入りで微生物の働きを良くするソイル(土)をケースに入れ、サンドフラッターで平坦になるようにならす。

②三角構図を意識して流木を配置したら、小石で土留めをする。背景にボリュームをもたせるのがポイント。

②三角構図を意識して流木を配置したら、小石で土留めをする。背景にボリュームをもたせるのがポイント。

③枝の先端に苔を糸で巻き付ける。クリスマスモスを使用。

③枝の先端に苔を糸で巻き付ける。クリスマスモスを使用。

④流木の平坦なところには、苔をそのまま載せていけばOK。

④流木の平坦なところには、苔をそのまま載せていけばOK。

⑤後ろからソイルを流し込んでいく。背景の方が高くなるように、高低差を意識する。 

⑤後ろからソイルを流し込んでいく。背景の方が高くなるように、高低差を意識する。 

⑥ハケでソイルをならして統一感をもたせる。ソイルは低いところでも下から1cm位に。

⑥ハケでソイルをならして統一感をもたせる。ソイルは低いところでも下から1cm位に。

⑦すぐに乾燥してくるので、霧吹きをまめに行おう。

⑦すぐに乾燥してくるので、霧吹きをまめに行おう。

植物を選んでアレンジする

今回使った植物は苔を含めて5種類。組織培養で育成された水草を使って、根っこについた寒天を水で流し、専用のピンセットで植えていく。
「まず流木の際にピグミーマッシュルームなどの横に伸びる植物を、あまり密にならないよう間隔を空けて植栽します。次に背の高くなるシペルスなどを、後ろの方に植えていきます」。
上に伸びる水草は、背景として後ろの方に植え、高低差をつけるのがポイント。前の方に植える背の低い前景草は、横に広がって生えてくるので、間隔を空けて植えること。
「最後に着生ランを流木の上の方に配置します。これは乾きを好む植物なので、根を土に植えず、流木に巻き付けるようにします」。
今回選んだものだけではなく、苔も水草も種類がたくさん。何をどう組み合わせるか、そんな楽しみが味わえそうだ。
⑧ピグミーマッシュルームの根っこの寒天を、水の中で洗い流す。

⑧ピグミーマッシュルームの根っこの寒天を、水の中で洗い流す。

⑨根っこをピンセットで軽くつまみ、流木の際に植えていく。

⑨根っこをピンセットで軽くつまみ、流木の際に植えていく。

⑩養分が含まれている寒天は、植える前にできるだけ洗い流す。こちらはクリプトコリネ。

⑩養分が含まれている寒天は、植える前にできるだけ洗い流す。こちらはクリプトコリネ。

⑪背が高くなるシペルスは後ろの方の流木の間に植える。

⑪背が高くなるシペルスは後ろの方の流木の間に植える。

⑫前景草のキューバパールグラスを、間隔を空けて前の方に。

⑫前景草のキューバパールグラスを、間隔を空けて前の方に。

今回使った水草。上・シペルス、中央左・ピグミーマッシュルーム、中央右・クリプトコリネ、下・キューバパールグラス。

今回使った水草。上・シペルス、中央左・ピグミーマッシュルーム、中央右・クリプトコリネ、下・キューバパールグラス。

⑬これでほぼ完成。熱帯の景観がイメージされた。

⑬これでほぼ完成。熱帯の景観がイメージされた。

⑭必要な栄養素を含んだ「佗び草ミスト」を毎日1回、10プッシュほど噴霧。

⑭必要な栄養素を含んだ「佗び草ミスト」を毎日1回、10プッシュほど噴霧。

⑮最後に着生ランを流木の上に配置。季節によって花も咲かせるため、アレンジの大事な仕上げになる。

⑮最後に着生ランを流木の上に配置。季節によって花も咲かせるため、アレンジの大事な仕上げになる。

完成後の生長を楽しみに

完成したパルダリムは、適切な光と温度、湿度、栄養素、空気の移動を意識して管理することが大切だ。
「直射日光は避け、レース越しの光が入るような場所で、冬期は15℃以上、夏期は25℃以下で管理します。乾燥を防ぐため毎日霧吹きで湿らせ、栄養素の入ったミストを噴霧します」。
湿度を保つための蓋は、完全に閉じてしまうと空気が籠もるため、少しだけ空けておくのも忘れずに。
「2〜3カ月で植物が繁ってきて、自然の景観が楽しめるようになります」。
毎日状態を観察し、育って行く熱帯の風景を楽しんでみたい。
中央に凹みを持たせ、流木を洞窟のようにアレンジしてみた。「後ろからライトを当てるなどするのもおすすめです」。

中央に凹みを持たせ、流木を洞窟のようにアレンジしてみた。「後ろからライトを当てるなどするのもおすすめです」。

ワークショップ講師の松本隆介さん。アクアデザインアマノは、ネイチャーアクアリウムを提唱した写真家、天野尚氏が創業。水槽や照明・CO2添加器具などの製品を開発している。

ワークショップ講師の松本隆介さん。アクアデザインアマノは、ネイチャーアクアリウムを提唱した写真家、天野尚氏が創業。水槽や照明・CO2添加器具などの製品を開発している。

今回、ワークショップが行われたスローハウス天王洲。家具や雑貨はもちろん、各地から話題のグリーンや希少なグリーンを取り揃えて販売。各種ワークショップも定期的に開催している。

今回、ワークショップが行われたスローハウス天王洲。家具や雑貨はもちろん、各地から話題のグリーンや希少なグリーンを取り揃えて販売。各種ワークショップも定期的に開催している。

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