根の存在感に圧倒野性味溢れる
原種のランを楽しむ
故郷の環境を作ってあげよう
最近、そんな個性的で野性味溢れる原種のランが人気だ。
ランは大きく2つの種類に分けられる。ひとつが樹木の幹や枝、岩などに根を這わせて張り付くように生育する着生ラン。種類は少ないが土に根を降ろす地生ランもある。ちなみに、胡蝶蘭は着生ランなので、土に植えてはいけない。
ランを上手に育てるためには、原種のランの生活環境を再現する必要がある。
多くの着生ランがジャングルの大木にしがみつき、根がいつも空気にさらされているような状態で暮らしている。そしてそこは湿度が高く毎日雨が降るような環境だ。つまり、たっぷりと水分は必要だけれど、鉢の中で根を腐らせてしまってもいけない。
ランの種類によって、蒸し暑い場所に生育しているのか、標高の高い涼しい場所か、明るさや風通しといった好みの条件も様々。種類に合った環境を作って、キレイな花を咲かせてあげたい。
日本橋高島屋S.C.内の『SOLSO HOME Nihombashi』にはたくさんの種類のランが揃う。
「着生ランは姿かたちがユニークですし、飾り方もいろいろと工夫ができます。花の香りを楽しめる種類も多いです」と、『SOLSO HOME Nihombashi』マネージャーの佐藤みのりさん。
[Vanda Kulwadee Fragrance]1メートル以上ある巨大なバンダ。バンダは好気性植物。根が水に浸かったままだと根腐れしやすいので、植え込まずに裸の根を伸ばして吊り下げて管理するのが一般的。迫力のある根を楽しめる品種。
[Vanda Chostylis Pinky]木片に着生させたバンダ。こちらも根が美しい。バンダは霧吹きが大好き。風通しの良いところを好むので、直射日光が当たらない屋外で管理するのもよい。
[Schoenorchis Scolopendria]とっても小さなラン。木を這うように成長する独特なカタチがおもしろい。成長はゆっくりだが育てやすい。木が乾いてきたらこまめに水を与える。秋に小さな花をつける。
[Gastro Chilus Japonicus(カシノキラン)]その名の通り、樫の木に好んで着生する日本の本州〜台湾に分布するラン。夏に5ミリくらいの小さな花を咲かせる。
[Rhynchostylis Gigantea]リンコスティリスはバスケットに入れて吊って育てると調子がよいラン。株がずっしりとしていて見ごたえがある。穂が伸びてたくさんの花をつける。
[Dendrobium Leonis]多肉植物のようなギザギザの葉がユニークなデンドロビウム レオニス。小さな香りの良い花を咲かせる。
初めてのランなら交配種もオススメ
「デンドロビウムは花の香りも楽しめます」
木やコルクに着生させてハンギングして育ててもよいし、鉢植えや苔玉にしてもいい。水苔で育てる着生ランは、お皿やカゴ、スニーカーなど、自由な発想で器を選んで植え込むことができる。
[Dendrobium Angelbaby] デンドロビウム エンジェルベビーは原種ではなく品種改良されたラン。比較的育てやすく、ランの入門には最適な種類。とてもよい香りの花も魅力。
[Phal. Fortune Saltzman]お祝い花として知られるファレノプシス・フォーチュン サルツマンは品種改良されたファレノプシス(胡蝶蘭)。胡蝶蘭は花の色も様々。こちらは花のサイズが小さめのミディ。着生蘭なので必ず水苔で育てる。土はNG。
[Oncidium]小さな花をたくさんつけるオンシジウムも交配種。黄色やピンク、オレンジの花をつける。コケ玉に仕立てるのも楽しい。
『SOLSO HOME Nihombashi』の佐藤みのりさん。「ランは霧吹きが大好きです。冬場は温度管理とエアコンの乾燥に気をつけてあげてください」
ランの植え替えに挑戦
「植え替えは暖かくなってから行ってください。
着生ランの植え替えには水苔を使います。水苔は乾燥させた状態で売られていますので、水を含ませて、できれば2日ほど時間をかけ、ふんわりとした状態に戻してから使うとよいです」
今回はポットに入って販売されているオンシジウムを植え替えした。
「根が空気にふれるよう、鉢と株下の間に少し隙間ができるように水苔をつけてください」
ランに直射日光を当てると葉焼けしてしまい枯れてしまうので、置き場所は明るい日陰がベスト。
水やりにはコツが必要だ。ジャングルを再現してあげるつもりで、こまめに霧吹きをしつつ、雨水がすぐに流れ落ちる場所に着生していることを考えて、根がつねに湿っている状態はよくない。
水苔は一度カラカラに乾くと水が吸い込みにくくなるので、ハンギングのランは、週に1度程度、水を張ったバケツに入れて、しっかりと水を吸わせるとよい。