ToKoSie ー トコシエ

ジオラマでメリークリスマス 木の実のカタチを楽しむ
ホリデーアレンジメント

自然の植物でつくる季節のジオラマ

『Tumbler&FLOWERS』を主宰する花道家の渡来 徹さんに、クリスマスのアレンジを教えていただいた。植物の個性と、驚きに満ちた木の実のカタチのおもしろさを存分に楽しむジオラマ風、森のクマさんX’masだ。
 

「いけばなに興味を持った時に出合ったのが小原流でした。お稽古に通ううちに”写景盛花”という、自然の景色を再現するようにいける花型を学んだのです。その時は“これってジオラマ制作に似てますね?”とテンション高めに先生に尋ねてみたものの、どうもピンときてないようでした(笑)。
今回ご紹介するのは、僕が子どものころから作っていたプラモデルやジオラマと、いけばなの“写景”の両方のおもしろさを生かしたアレンジです。情景の中に具体的なキャラクターを登場させ、物語の世界を作りました」
クマを2021年の干支、ウシに変えたらお正月も楽しめそうだ。

「フラワーアレンジメントやブーケ、そして今回のような作品を作ると、“渡来さんってこういうものも作るんですね”と驚かれることが増えました。花道家としてSNSなどでミニマルなスタイルのいけばなを主体に発信しているので、特にそう感じられるのかもしれません。でも特定の枠に捉われすぎず、植物が発する自然のエネルギーを気ままに楽しみたいですし、楽しんでもらいたいと思っています」

クマさんが豊かな実りの森に出現。多種多様、千変万化、木の実の個性に見入ってしまう。クリスマスらしさのポイントは、グリーン✕白、そして赤!
クマさんが豊かな実りの森に出現。多種多様、千変万化、木の実の個性に見入ってしまう。クリスマスらしさのポイントは、グリーン✕白、そして赤!
木の切り株のように見えるのはシナモン。手にしているのがラフィアの実。その間のコロンと丸い実がユーカリ。「ユーカリの木の実は様々な形や大きさがあって、実にバリエーションが豊かです」
木の切り株のように見えるのはシナモン。手にしているのがラフィアの実。その間のコロンと丸い実がユーカリ。「ユーカリの木の実は様々な形や大きさがあって、実にバリエーションが豊かです」
渡来 徹(わたらい とおる)。花道家。鎌倉二階堂を拠点に活動中。 いけばな教室『Tumbler&FLOWERS』を主宰。店頭やイベントなどの装花に加え、レギューラーのお稽古のほか、SNSを使ったレッスンやセミナー、ワークショップなどを開催。必要最小限の花材、線を活かした作風が海外でも評判を呼び、活動の幅を広げている。
渡来 徹(わたらい とおる)。花道家。鎌倉二階堂を拠点に活動中。 いけばな教室『Tumbler&FLOWERS』を主宰。店頭やイベントなどの装花に加え、レギューラーのお稽古のほか、SNSを使ったレッスンやセミナー、ワークショップなどを開催。必要最小限の花材、線を活かした作風が海外でも評判を呼び、活動の幅を広げている。
渡来さんの初の作品集『EYES OF IKEBANA』(Hijiki.)。近著に『ととのえる「いけばな」』(彩流社)。
渡来さんの初の作品集『EYES OF IKEBANA』(Hijiki.)。近著に『ととのえる「いけばな」』(彩流社)。

まずはオアシスを使ってベースを作る

「ジオラマはスチレンボードなどで土台を作りますが、今回は花を挿すベースとして重宝されるオアシスを使いました」

まず穴の開いた朽木にオアシスを隙間なく詰める。そして余分なオアシスをカットし、表面を指でなぞって地面をなだらかにする。

次いで地面に表情をつけるために、オアシスに糊を塗ってカラーパウダーを蒔く。土に当たる茶系を蒔いてから濃い緑→薄い緑と重ねることで、自然な奥行き感が出る。

穴の開いた朽木にオアシスを詰める。余分はカットしながら、端材を溝に差し込んでなるべく隙間なく埋め、全体を指でならしていく。
穴の開いた朽木にオアシスを詰める。余分はカットしながら、端材を溝に差し込んでなるべく隙間なく埋め、全体を指でならしていく。
オアシスに芝生パウダーを貼り付けるため、水で薄めたでんぷん糊(水溶き木工ボンドやスプレー糊でも代用可能)を表面全体に塗る。
オアシスに芝生パウダーを貼り付けるため、水で薄めたでんぷん糊(水溶き木工ボンドやスプレー糊でも代用可能)を表面全体に塗る。
糊の上にカラーパウダーを蒔き、余分は刷毛などで払う。
糊の上にカラーパウダーを蒔き、余分は刷毛などで払う。
茶色がかった緑の上に深緑、最後に明るい緑のパウダーを重ねる。
茶色がかった緑の上に深緑、最後に明るい緑のパウダーを重ねる。
3色のパウダーでベースが完成。「濃い色の上に薄い色を重ねる手法は、いけばなでも奥行き感を出すために使われるテクニックです」。朽木の穴をカバーするために挿したのはヒムロスギ。
3色のパウダーでベースが完成。「濃い色の上に薄い色を重ねる手法は、いけばなでも奥行き感を出すために使われるテクニックです」。朽木の穴をカバーするために挿したのはヒムロスギ。

切り口に炭を塗って自然な風合いに

ベースができたので、いよいよ情景を作っていく。

渡来さんはまず白樺の木を1本建てた。
「白樺は鋏を入れ、イメージする高さや枝ぶりを整えます。カットしたての白っぽい切り口には炭を塗り、風雨にさらされた自然な雰囲気にします」

低木用に3種類のコニファーを準備。柔らかなヒムロスギと、ぽってりとしたブルーバードは低木に。シルバーがかった明るい葉色のブルーアイスは木立ちに見立てた。
「使うのはほんの僅かな量なので、リースやスワッグを作る際に落とした部分を活かして作ることもできます」

最後に、木の実をたくさんアレンジし、赤いサンキライの実をあしらい、カラスウリを白樺にからませれば完成だ。

メインとなる白樺の木を土台に挿す。
メインとなる白樺の木を土台に挿す。
「枝をカットして使いたい形に整えた際、切り口が白く浮いてしまいます。そんな時は炭を切り口に塗りつけて時間が経過した自然な切り口に見せます」
「枝をカットして使いたい形に整えた際、切り口が白く浮いてしまいます。そんな時は炭を切り口に塗りつけて時間が経過した自然な切り口に見せます」
写真右上が白く目立つ切り口。左が炭で黒く整えた切り口。「墨汁などいろいろな素材を試したのですが、松を炙って作った炭が一番しっくりきました」
写真右上が白く目立つ切り口。左が炭で黒く整えた切り口。「墨汁などいろいろな素材を試したのですが、松を炙って作った炭が一番しっくりきました」
ジオラマ用のモスに糊をつけて貼っていく。白と緑の2色を貼った。
ジオラマ用のモスに糊をつけて貼っていく。白と緑の2色を貼った。
ボリューム感のあるコニファー、ブルーバードを低木に見立ててオアシスに挿す。
ボリューム感のあるコニファー、ブルーバードを低木に見立ててオアシスに挿す。
木立に見立てたブルーアイスを挿し、木の実を配して、赤いサンキライの実を添える。
木立に見立てたブルーアイスを挿し、木の実を配して、赤いサンキライの実を添える。
白樺の枝にカラスウリの実をからませて完成。
白樺の枝にカラスウリの実をからませて完成。
なぜか美味しそうに見えるのは、ブッシュドノエルを連想するからでしょうか。
なぜか美味しそうに見えるのは、ブッシュドノエルを連想するからでしょうか。

木の実のストックでリースを作る

花材で余した木の実などを、ガラス瓶にストックしている渡来さん。
「ずいぶん溜まったので、木の実を使ってリースを作りました」
 

ドリルで木の実に2mmほどの穴を開けてワイヤーを通していく。
ひと口にユーカリと言っても色も形も様々。個性豊かな表情が活きるリースができた。

「慣れない内は通す順番を決めて規則性に則って作るとよいと思います。好みのサイズになったらワイヤーの端と端をつなげて輪にします」
この木の実のリースをベースに、シーズンのアレンジを加えても楽しいかも。

実の種類やサイズごとに分けておくと制作しやすい。ユーカリ以外の実物でもお試しあれ。
実の種類やサイズごとに分けておくと制作しやすい。ユーカリ以外の実物でもお試しあれ。
日々の制作の中で少しづつ溜まっていった木の実たちを、リースにアレンジして楽しむアイディアだ。
日々の制作の中で少しづつ溜まっていった木の実たちを、リースにアレンジして楽しむアイディアだ。