〝いい顔してる植物”をコンセプトに、独自の美しさを提案する広島の植物屋「叢 – Qusamura」が東京に初進出。わざわざ足を運んでくれる人にじっくりと植物に向き合って欲しいという思いで、あえて世田谷の住宅街の奥にオープンした。
いい顔してる個性的な植物
日本中を旅して集めた個性的な植物を、その個体の特徴を引き出す器とあわせて提案する叢。今回は店主の小田さんに植物の魅力や選び方を伺った。
植物の美しさは、シルエットだけではなく“生きる様”が魅力なのだそう。まず、育てる過程で枯れないこと。そのためには家の環境に合った植物を選ぶことが大切。置く場所の光の量や風の通り方を確認した上で、そこに適したものを選ぶことが前提になる。その上で、植物の造形や肌感などの個性は、自分の感覚で選ぶ。
叢で扱う多肉植物やサボテンは、10〜50年ものが多く、年季の入ったものほど個性が出て、木化などの経年変化が骨董品のような魅力になる。ちなみに一般的な植物屋では、木化を魅力と捉えずに、傷や経年変化が出ないように植物を育てるそう。
空間に馴染む
静かな存在感
空間に馴染む植物と際立つ植物をテーマに、小田さんにセレクトいただいた多肉植物やサボテンを、植物の個性や器へのこだわりも合わせてご紹介。
小ぶりながらも静かな存在感を放つ鸞鳳玉 (らんぽうぎょく) の群生球は、大きさの異なる個体が身を寄せ合うように並ぶ姿が、親鳥を待つツバメのようなかわいらしい佇まい。
紫肌黒王丸 (むらさきはだこくおうまる) は、樹齢30年の存在感のある個体。強い太陽光によって紫がかる魅惑的な肌も持ち、切断されても子株を吹き続ける生命力の強さが魅力。この個性的な植物には、植物の特徴が浮かび上がるように極めてシンプルな既製品の鉢があしらわれている。
小さな鉢を複数並べるのもオススメ。管理の条件を揃えればあとは感覚的に選んでよいそう。今回、小田さんにセレクトしていただいたのは、接ぎ木によるシルエットが個性的な松露玉(しょうろぎょく) と、作り物のような肌が美しい白玉 (はくぎょく)、親木として体をもぎ取られながらも生長を続ける天紫丸綴化 (てんしまるてっか)。
まずは、美しい個性を持ちながらも空間に馴染みやすい植物から取り入れてみてはいかが?
一鉢置くだけで様になる
力強い存在感
独自の美しさが際立つ個性的な植物をリコメンド。コレクター垂涎のレアな逸品から育てやすい植物までご紹介。
石積みアートを思わせるアンバランスなフォルムが魅力の鸞鳳玉 (らんぽうぎょく) は、石そのもののような硬質な肌が特徴。胴切りされ、頭頂部に子株を一つ吹いた個性あるシルエットに惹かれる。
螺旋般若 (らせんはんにゃ) は、接ぎ木により二つの植物を接ぎ合わせたもの。台木の木化が激しく起こったためにユニークな現代アートのような佇まいに。
コレクター必見の竜虎綴化 (りゅうこてっか) は、生長点の突然変異によって扇状に生長し、稜が襞のようになり独特な風貌になった個体。圧倒的な存在感を放つ個体には、陶芸家による繊細かつ力強い器が合わせられている。
空間のコンセプトは境界線
空間は“境界線”をコンセプトに、建築家の谷尻誠さん・吉田愛さんが主宰するSUPPOSE DESIGN OFFICEによって、もともとあった一軒家をリノベーションされた。ギャラリーのような白い空間は、外と内、日常と非日常を境界線で明確に仕切り、植物が際立つように素材やディティールを厳選されたそう。什器は白く塗装した無機質な鉄製で統一。照明は部材も感じられない程シンプルな一本線の蛍光灯。一歩足を踏み入れれば、そこは非日常。特別な空間でじっくりと植物に向き合うことができる。
information
Qusamura Tokyo
03-6379-3308
東京都世田谷区代田4-3-12
Open 13:00 – 19:00 (火曜定休)
商品価格は、消費税別の本体価格です。
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