インテリアの達人が私物を公開青山の眼鏡店blinc
荒岡俊行さんの愛用品
インテリアやデザイン関係者の私物公開企画。今回は、青山の眼鏡店blincのオーナー、荒岡俊行さんが登場。荒岡さんは、プロダクトデザイナーの二俣公一さんにオリジナルのメガネデザインを依頼したり、雑貨ブランドとのポップアップイベントを行ったり、インテリアデザイナーとのコラボアイテムを手掛けたりなど、インテリアにも造詣が深く、センスの良さにも定評がある。そこで今回は、気になるご自宅での愛用品を見せていただきました。
ポストモダンを代表するデザイン集団、メンフィスの創始者として知られるエットレ・ソットサスがデザインを手掛けたアレッシィのカトラリーNuovo Milano。1987年代にデザインし、コンパッソ・ドーロ賞を受賞した名作だ。カラフルな色使いやユニークなデザインが連想されるソトッサスだが、このカトラリーは、美しい曲線を描くエレガントなフォルムが印象的。手にしたときの重厚感もいい。「結婚したときにカトラリーを探して、使い易そうだと思って購入しました。17年ほど愛用しています。買ってから、ソットサスのデザインと気づきました(笑)」と荒岡さん。「浅めのスプーンはご飯をすくいやすいという利点も。カレーを食べるときにおすすめです!」
10年以上愛用している、コーヒードリッパーを見せていただいた。取材日の朝も、このコーヒードリッパーとサーバーでコーヒーを飲んできたという。荒岡さんがチョイスしたのは、カリタの「Cu 101」銅製モデル。経年によりブロンズ色に変化した、無骨な佇まいがかっこいい。「自分でコーヒーを入れるのが好きで、毎朝これでコーヒーを入れて朝が始まるのがルーチン。使い込んだ感じが道具らしくて気に入っています」
デザインが気に入って、最近購入したという急須「warenai(ワレナイ)」。樹脂製のクリアなボディとステンレス製ストレーナーを組み合わせた美しいデザインに惹かれる。さらに、割れにくいという利点も。監修は、日本茶専門店「すすむ屋茶店」を運営している新原光太郎さん。「以前からすすむ屋茶店の茶葉が好きで、ティーバッグを愛用していました。オリジナルの急須が出て、素敵だなと思って購入。デザインを手掛けたのが尊敬している柴田文江さんでした」「ストレーナーが大きく、茶葉が開きやすいのもお気に入りポイント。この急須で淹れると、とても美味しいです」
装飾性を省いたミニマムデザインが美しいケイメットのアルミトレイを見せていただいた。荒岡さんが愛用しているのはマットなブラックとゴールド。アルミの無骨さと、洗練された色合いの調和がかっこいい。ケイメットはトレーやトローリーなどを専門とした老舗メーカーで、1947年の創業以来、ロンドンの自社工場で製造を続けている。「10年近く前、ロンドンの工場まで実際に足を運びました。ブリンクで使用するために、眼鏡を置くトレーとしてサイズを指定して注文。そのトレイを個人的にも愛用しています。自宅ではグラスやコーヒーカップを運ぶ時に。夜こっそりと冷蔵庫を開けつまみを探し、グラスとお酒をトレイに乗せて、自分の部屋に運んで飲むのが楽しみです(笑)」
友人の勧めで購入したHASAMI PORCELAINのうつわを愛用中。「あまり装飾のない丸と直線だけで構成される幾何学デザインを、伝統的な波佐見焼でつくることで、ほどよく優しい雰囲気に。そんなところに惹かれました。Apple社のオリジナルマグカップに採用されているそうです!」HASAMI PORCELAINは、ロサンゼルスを拠点に活躍するデザイナー篠本拓宏さんがディレクションを務める波佐見焼のブランド。2011年にアメリカでスタートし、2013年に日本に逆輸入された。
荒岡さんの自宅デスクの置かれるチャーミングなりんごのペーパーウエイト。「以前、ブリンクとスイムスーツデパートメントで、ポストモダンのポップアップを開催しました。イベントの後片付けをしているときに、ふと手にとったリンゴのペーパーウエイトです。見た目と手の中の感触があまりに素敵だったので思わず購入。自宅のデスクに置いてあるだけで、気持ちが癒やされます」
ご自宅で愛用している置き時計や壁掛け時計時計を伺った。今回見せていただいたのは、ブラウンのアラームクロック「BNC001」。1990年にディーター・ラムスがデザインしたアラームクロックのなかでも最もベーシックな「AB5」を忠実に再現したもの。「ディーター・ラムスのデザインが好きで、BROWNの目覚まし時計や壁掛け時計を愛用しています。この時計、実は3個くらい持っています」
インテリアデザイナーの小林恭さん・マナさん夫妻が主宰する設計事務所「ima」とimaが手掛けるテキスタイルブランド「Kijinokanosei」と「blinc」のコラボによるテキスタイルケースをご紹介。メガネやスマホなどを入れられるミニシュルダーとして、身の回りの物を置くテキスタイルとして、部屋を彩る壁掛けアートして、さまざまな使い方を楽しめる。「尊敬してやまず、兄や姉のように慕っているimaの小林夫妻に、Kijinokanoseiの展示会で偶然ばったり会ったのがきっかけでした。すぐその場で、imaがデザインしたKijinokanoseiのテキスタイルを使い、一緒に何かを作ろうということに。そうしてトリプルコラボが始まりました。実は、blincの店舗デザインはimaにお願いしています」
眼鏡店でありながら、インテリアや雑貨ブランドともコラボアイテムをデザインしたり、ポップアップイベントを開催したり、さまざまな活動を行う荒岡さん。blincの店舗には、メガネをかけたチャーミングな招き猫がさり気なく置かれたり、内装デザインにもこだわったりと、インテリアとしても見どころがいっぱい。
「新吉原の岡野さんと僕が、ともに東京都台東区で生まれ育ち。80年代から現在にかけての街の変遷、風情に関して話していく中で意気投合したのが、コラボレーションのきっかけでした。 新吉原は2024年3月、10周年を機にブランド休業に入ることから、最後のコラボレーションになります。今回は新吉原の人気の招き猫に眼鏡をかけさせました。6年前のコラボで好評だった眼鏡拭きをサイズを大きくして再販。手ぬぐいのように飾っても楽しめます」