斜めの壁が広がりを生む色や柄の効果で
ハッピーな空間に
眺望抜群の角部屋に出会う
4年前に、世田谷区の住宅街に建つマンションを購入し、リノベーションしたOさん夫妻。プロダクトデザイナーのご主人が「低層マンションでありながら、角部屋で眺望が良い点にひかれました」と言うとおり、六本木や新宿の高層ビル群が一望できる抜群のロケーションが特徴だ。広告会社でアートディレクターを務める奥さまは「長男の通う保育園の通園エリアで、面積60㎡以上という条件で探す中でこの部屋に出会いました。何カ所か見た中で、立地や面積、コストなどのバランスも良く、購入を決めました」と話す。
リノベーションは、A+Saに依頼した。「リノベ事例を調べていて、いいなと思うのがA+Saさん設計のものが多かったんです」(奥さま)。A+Saの佐々木珠穂さんは、リノベ前のマンションについて「各部屋に窓があって、明るく風通しがいい印象を受けました」と振り返る。「当時で築15年ほどと築浅な点もいいと思いました」。
LDKを分ける斜めの壁
リノベーションにあたって夫妻が希望したのは、間取りの面ではオープンなLDKと寝室と子ども部屋を1室ずつ設けること。さらにご主人のワークスペースと大容量の収納もリクエストした。こうした希望を受けて佐々木さんが提案したのが、2LDKの間取り自体は変えずに、斜めの壁をつくることで広がりをもたせるプラン。「クローズドタイプのキッチンをオープンにしつつ、キッチンとリビング・ダイニングの間の壁を斜めにすることで、ちょっと足りない分を兼用していけるスペースを差し込んでいくイメージです」(佐々木さん)。斜めの壁の鮮やかなグリーンは、Oさん夫妻が佐々木さんと一緒に決めた。「子どもと一緒に住む家なので、ハッピーな気持ちになれるカラーリングを選びました」(奥さま)。
空間を有効活用するのに一役買っているのが、造作家具だ。O邸のLDKでは、本棚、ソファ、AVラック、デスク、キッチン収納をオーダーメイドしている。「空間に合わせてつくる造作家具は、デッドスペースをつくらず空間を最大限に使うことができます。Oさんの場合は、造作家具にご夫妻のセンスを取り入れたことで、住まいのアクセントにもなっています」(佐々木さん)。
多機能な玄関ホール
斜めの壁は、玄関ホールにも設けられている。「斜めの壁によって子ども部屋の一部をホールにとりこみ、単なる廊下にならないようにしています」(佐々木さん)。玄関ホールに接する子ども部屋と寝室は、お子さんの成長に合わせてフレキシブルに変化できるように工夫されている。奥さんは「リノベーションの設計時には子どもは一人でしたが、二人になる前提で設計を依頼したところ、寝室をS字に間仕切り2段ベッドを入れて子ども部屋にするプランを提案していただきました」と振り返る。
リノベーションから約4年、新たな住まいでお子さんが誕生し、4人家族での暮らしを楽しんでいるOさん家族。「コロナ禍ではワークスペースが活躍しましたし、子どもたちも大きくなってきたので、そろそろ寝室を子ども部屋にすることも考えています」と話す夫妻。将来の変化も視野に入れた可変性のある間取りが実現できることも、リノベーションのメリットだ。