行き止まりのない回遊空間 設計士とデザイナーが考えた センターコアのある家

設計士とデザイナーの自邸リノべキッチンから家族が見渡せる
回遊型ワンルーム

ふたりのアイデアを活かして

東京・城東エリアの賃貸に住んでいた鈴木さんご夫妻は、子供の誕生を機に物件購入とリノベーションを決意。同じエリアに建つ築22年(完工時)のマンションの1室に、現在2歳の長女、4カ月の長男とともに暮らしている。
「家族が増えることを考えると、家がほしいと思うようになりました。『リノべる。』さんに相談して中古物件探しを始め、広くて条件のいいこの物件に出会って即決しました」
最上階にあり、コの字型のバルコニーに取り囲まれた91.14㎡。スケルトンにして4LDKから1LDK+ウォークインクローゼット+ワークスペース+納戸へと大胆に変更した。
「部屋を区切りすぎないことだけは決めていました。色々なプランを考えましたが、最終的にいちばんシンプルな形に落ち着きましたね」
という妻の弓香さんは、オフィスやホテルなどの設計士。夫の慶太さんは電機メーカーのデザイナー。
「妻は空間全体を、私は細かいデザインを提案して、お互いの好みと強みをすり合せて造っていきました。素材や色味の趣味は一致しているので、スムーズに決まっていきましたね」
カーテンの向こうに街の景色が広がる。天井は照明器具を付けずフラットに。リビングの灯りは間接照明のみにして、光のラインを演出した。

カーテンの向こうに街の景色が広がる。天井は照明器具を付けずフラットに。リビングの灯りは間接照明のみにして、光のラインを演出した。

グレージュカラーの珪藻土を使って、キッチンカウンターを造作。

グレージュカラーの珪藻土を使って、キッチンカウンターを造作。

珪藻土に包まれたエリアを中心に、ぐるりと回遊できる。手仕事感を残しつつ主張が強すぎない塗装を、左官屋さんにリクエスト。

珪藻土に包まれたエリアを中心に、ぐるりと回遊できる。手仕事感を残しつつ主張が強すぎない塗装を、左官屋さんにリクエスト。

考え抜いた動線と、ノイズレスなデザイン

玄関を入ると、フラットな床がリビングまで続き、角がないアールが施された珪藻土の壁とニッチが、視界に飛び込んでくる。
「角があると空間がはっきりと分かれてしまうので、緩やかにつなげるために、アール壁はやりたかったことなんです。珪藻土で囲んだエリアをコアとして、キッチン、トイレ、納戸を集約しました」
廊下に設けた引き込み戸を格納すれば、コアを中心に、オープンな回遊型のワンルームになる。
「珪藻土は家のメインカラーになるように、数パターンの候補の中から選んでいます。手仕事感が出るように塗り方もリクエストしました」
回遊型の廊下にはオープンな洗面台を。
「動線にもこだわりました。帰宅後はワークスペースも併設している土間にベビーカーを置き、コートをクローゼットに掛け、部屋に上がって手洗いと、流れがスムーズです。珪藻土の壁が引き立つように、洗面にはさり気なく白のタイルを使用しています」
玄関まわりにある収納やWICの扉は、取っ手を付けず、壁のように見せてスッキリとしたデザインに。洗面台は床から浮かせることで、軽さと広がりを演出。細やかなデザインと素材選びが、静謐な空気感を生んでいる。
玄関からリビングまで、視界が抜ける。調湿機能のある珪藻土が、心地良い空気感と静謐な雰囲気を与える。右手の白い壁と一体となった扉の奥にWICが。

玄関からリビングまで、視界が抜ける。調湿機能のある珪藻土が、心地良い空気感と静謐な雰囲気を与える。右手の白い壁と一体となった扉の奥にWICが。

玄関土間と床は段差をつけずフラットに。モルタルにグリーン系のアクアカラーを自主塗装して風合いを出した。左手のカーテンの向こうにも土間が続き、ワークスペースが計画されている。

玄関土間と床は段差をつけずフラットに。モルタルにグリーン系のアクアカラーを自主塗装して風合いを出した。左手のカーテンの向こうにも土間が続き、ワークスペースが計画されている。

玄関土間に設けたワークスペース&シューズクローク。ベビーカーの置き場を計算して設計した。右手のドアからバルコニーに出られる。

玄関土間に設けたワークスペース&シューズクローク。ベビーカーの置き場を計算して設計した。右手のドアからバルコニーに出られる。

珪藻土の壁にニッチを設けて照明を。お正月には鏡餅を飾るなど、季節のあしらいを楽しんでいる。LDKを目隠ししたいときは、引き込み戸で仕切ることも可能。

珪藻土の壁にニッチを設けて照明を。お正月には鏡餅を飾るなど、季節のあしらいを楽しんでいる。LDKを目隠ししたいときは、引き込み戸で仕切ることも可能。

壁と一体となった扉を押すと現れるWIC。3面にハンガーラックをつけて容量を確保した。

壁と一体となった扉を押すと現れるWIC。3面にハンガーラックをつけて容量を確保した。

造作した洗面台は2人並べるスペースに。miratapで洗面ボウルをチョイス。マットな白いタイルをあしらった。

造作した洗面台は2人並べるスペースに。miratapで洗面ボウルをチョイス。マットな白いタイルをあしらった。

洗濯、アイロンがけ、収納が一括でできるよう考えた脱衣所。

洗濯、アイロンがけ、収納が一括でできるよう考えた脱衣所。

明るい色味の部屋とは対照的に、グレーでまとめたシックなトイレ。洗面ボウルはmiratapの“シガラキコンクリ”。

明るい色味の部屋とは対照的に、グレーでまとめたシックなトイレ。洗面ボウルはmiratapの“シガラキコンクリ”。

キッチンを中心にした暮らし

角のないアールの曲線に誘われて、バルコニーに囲まれたリビングに出ると、明るく広々としたLDKが。
「キッチンに立つと、今は畳を敷いているキッズスペースで子供が遊ぶのを見られますし、もう少し大きくなったらカウンターデスクで勉強しているところも眺められます。家族がどこにいても気配を感じることができます」
造作したワイドなキッチンカウンターではお菓子づくりも。カウンターの内側に家電を収めるなど、生活感をカバーしたオープンなキッチンは、ダイニングテーブルやソファなどのインテリアとも調和している。
「もともと芦沢啓治さんの建築が好きで、店舗や住宅の事例などを見ていたんです。内装がある程度決まってからKARIMOKU CASEで家具を揃えました」
お気に入りのソファに座って観るテレビの背面は、やや青味の入ったグレーをDIYで塗装。
「ここはアクセント的に少し暗めに、自分たちで塗りました。垂れ壁を設けて、間接照明を仕込んでいます」
造作したテレビ台からそのままつなげたカウンターデスクの上のダクトレールや、カーテンレール、ライン照明も垂れ壁で見えないように目隠し。間接的な灯りがやさしく照らすLDKは、ホテルのような癒しに包まれる。
カーテンを全面にかけて高さと広さを演出した、家族で過ごすには余裕の広さがあるリビング。。ソファはKARIMOKU CASE。奥は簡易的な畳を敷き、ベビーサークルを置いているキッズスペース。

カーテンを全面にかけて高さと広さを演出した、家族で過ごすには余裕の広さがあるリビング。ソファはKARIMOKU CASE。奥は簡易的な畳を敷き、ベビーサークルを置いているキッズスペース。

キッチンからはキッズスペース、ダイニング、リビング、カウンターデスクまで見渡せる。梁を隠すため、キッチン側は天井を下げている。

キッチンからはキッズスペース、ダイニング、リビング、カウンターデスクまで見渡せる。梁を隠すため、キッチン側は天井を下げている。

カウンターの内側に家電やダストボックスなどを。キッチン台はカスタムできるGRAFTEKT。BOSCHの食洗機をビルトイン。

カウンターの内側に家電やダストボックスなどを。キッチン台はカスタムできるGRAFTEKT。BOSCHの食洗機をビルトイン。

ダイニングテーブルもKARIMOKU CASE。イスは色味を合わせたYチェアとHIROSHIMAをコーディネート。直線的なペンダントライトはYAMAGIWAで見つけたもの。

ダイニングテーブルもKARIMOKU CASE 。イスは色味を合わせたYチェアとHIROSHIMAをコーディネート。直線的なペンダントライトはYAMAGIWAで見つけたもの。

テレビボードから続くカウンターデスクの壁は、ざらっとした質感のポーターズペイントをDIYで塗装。イスは以前から持っていたTHONETと無印良品。

テレビボードから続くカウンターデスクの壁は、ざらっとした質感のポーターズペイントをDIYで塗装。イスは以前から持っていたTHONETと無印良品。

キッズスペースがある床は、玄関土間と同じくモルタルにアクアカラーを塗装。インナーバルコニーにもなるように計画した。

キッズスペースがある床は、玄関土間と同じくモルタルにアクアカラーを塗装。インナーバルコニーにもなるように計画した。

薄手のカーテンを部屋側に、遮熱のロールスクリーンを窓側に設置。普段はカーテンのみがやわらかな光を通し、スクリーンで暑さを遮る際も、カーテンのやわらかな印象は変わらない。

薄手のカーテンを部屋側に、遮熱のロールスクリーンを窓側に設置。普段はカーテンのみがやわらかな光を通し、スクリーンで暑さを遮る際も、カーテンのやわらかな印象を変わらず残している。

テレビボードの下に収納を造作し、コンセントや配線、デッキなどを仕込んだ。ノイズとなるものを全てカット。

テレビボードの下に収納を造作し、コンセントや配線、デッキなどを仕込んだ。ノイズとなるものを全てカット。

家族と共に変化していく

リビングからぐるりと回り込むと、カーテンで仕切られたベッドスペースが現れる。現在は家族4人、ここで就寝している。
「このスペースは、今は家族全員の寝室として使っていますが、数年後は2部屋に仕切って子供部屋にするかもしれないし、子供が家を出たら趣味の部屋にするかもしれません。家族の変化に合わせて使い方を変えられるように、特にシンプルに作っています」
最初に妻が伝えてくれた“シンプルな設計”とは、造り込みすぎず、余白を残すこと。行き止まりがなく、ぐるりと回遊すると様々な居場所が現れるこの家は、家具の配置を変えるだけで、部屋の機能を変化させることができる。
「今後、子供が成長してきたら部屋の雰囲気も変わってくると思います。今は、私たち好みのインテリアになっていますが、家具やファブリックを変えるだけで、全体の雰囲気も変えられるクセのない空間に仕上げられたと思っています。何年経っても飽きずに暮らしていけそうです」
サンゲツのカーテンの向こうにベッドルーム。左手のドアの奥は、納戸になっている。

サンゲツのカーテンの向こうにベッドルーム。左手のドアの奥は、納戸になっている。

シンプルに設計したベッドルーム。現在は出窓をヘッドボード替わりにしている。

シンプルに設計したベッドルーム。現在は出窓をヘッドボード替わりにしている。

バルコニーの一部にウッドデッキを敷いた。お子さんのプール遊びも。

バルコニーの一部にウッドデッキを敷いた。お子さんのプール遊びも。

出窓もあり採光に恵まれている。リノベ時にあしらった木枠が程よいアクセントに。

出窓もあり採光に恵まれている。リノベ時にあしらった木枠が程よいアクセントに。

自然な素材感とノイズのない落ち着いたデザイン、生活動線。やりたかったことを全て叶えた空間で、家族の伸びやかな暮らしが続いていく。

自然な素材感とノイズのない落ち着いたデザイン、生活動線。やりたかったことを全て叶えた空間で、家族の伸びやかな暮らしが続いていく。

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