キャンプマニアも初心者も。 アウトドアをインドアに
キャンパーを想定したリノベアイデア
キャンプ生活を見据えて
ますます人気が高まっているキャンプ。キャンプ人口が増え続ける中、リノベーションにおいても、ライフスタイルとしてキャンプを考えた事例が目立ってきている。ワンストップサービス「リノベる。」は、そんなキャンパーたちにとって快適で理想的な住空間をショールームで展開した。
「「リノベる。」ではカウンセリングの際、お客様の趣味などを伺っていますが、実際にキャンプをあげる方が増えてきています。ギアの収納やメンテナンスを考えた設計を希望される方も多く、キャンパーが暮らすには、どのような家が理想的かをイメージしていただくために、ショールームで再現しました」。
というのは、自らもキャンプ好きを認める設計施工本部の岩重卓也さん。キャンプ生活と実生活を両立させるため、自らも考えたアイデアを満載。当事者ならではの視点を活かしながら提案する、キャンパーのためのリノベーションを拝見した。
活用度の高い土間を設ける
「お客様が家でどう過ごしたいかがいちばん大事なので、カウンセリングはそこからスタートします。キャンプをされる方であれば、どこに行くか、どういうギアを持っているかなどのお話から、ギアの種類や量などを引き出しつつ、収納スペースを考えていきます」。
キャンパーのお客さんの悩みで、いちばん多いのは“ギアの出し入れが大変”だということ。そこで動線を考えた間取りを提案。収納のある土間を玄関先に設けるのが人気のようだ。
「ギアをすぐ車に積んでいける動線にしたい、というご相談は多いですね。土足で入れる土間があれば、出し入れがスムーズだし、キャンプから帰宅後、ギアの汚れを落としたり、メンテナンスしたりするのもラクです」。
土間は普段ワークスペースとして活用してもよいし、ギアを飾ったり、ランタンの手入れをしたりするなど、必要なことを行いつつ、家にいてもキャンプの余韻を楽しむことができる。また、有孔ボードなどを使えば、収納量も増えて、かつディスプレイも楽しめる。
「昔ながらのキャンプというよりは、インテリア的にもおしゃれで、凝ったレイアウトを楽しみたいという人が増えていますね。これからキャンプを始めるという人にも、そうでない人にとっても、土間は有効ですし人気です」。
ギアをインドアでも使い回す
キャンパーの悩みで次に多いのは、“収納が足りない”ということだそうだ。
「キャンプをしているとギアがどんどん増えていくという声は多いので、収納スペースは焦点になるところです。ロフトを設けてスペースを確保するなど、予めギアが増えることを想定して、余白を残しておくこともおすすめしています」。
ギアやグッズをしまい込んでおくのではなく、活用してみるのも手。
「アウトドアで使うテーブルやコンテナなどを、家具のようにレイアウトしてみるのもいいと思います。私自身、折り畳んで持ち運べるシェルフを、家では棚として活用しています」。
ペグボードを使って壁面を有効活用するアイデアも。かつてのようにギアはしまっておくもの、という概念も変わりつつある。
「ダッチオーブンなどキャンプで使う調理器具も、家で実際に使っています。1枚板の鉄のフライパンなど、本格的に調理ができる道具は、普段の生活にも役立つんです」。
キャンプで使うギアを自宅へ。アウトドアのインドア化が進んでいると、岩重さんは指摘する。
室内にもなじむコーディネートを
アウトドアをインドアへ持ち込む際、インテリアコーディネートが難しいところ。ただ自分でギアを置いたり飾ったりするだけでは、ちくはぐになってしまうこともある。
「ギアを基準に、部屋としてまとまりが出るようご提案しています。ギアに合わせて、壁や床の色味を選んだりしますが、全く同じ色にすると逆に不自然なので、色の階層を揃えつつ、あえて少し外して目立たせることなどが大事です。例えば、ダークなウォルナットにウォルナットを合わせるのではなく、少し似ているチークでカウンターを造るなど、ギアが空間になじみ、映えるようにデザインします」。
ショールームでは、廊下を木の壁面にして、自然が感じられるように演出。その色味も、ギアを主体に考えるとまとまりやすい。
「家の中でも自然を感じていたいというお客様が多いので、そういった演出も施しますね。特に、インナーバルコニーを設けると雰囲気が出るのでおすすめです。床をフローリングからタイルに切り替えることで、アウトドアっぽくなるし、そこにギアを置いて、自分の好きな空間が造れれば、家でもキャンプ気分が楽しめます。そういったお手伝いは、我々だからこそできることかなと思っています」。
アウトドアとインドアの境界線はますます曖昧に。キャンパーもそうでない人も、今、リノベーションのデザインのひとつのテーマとして考えてみたい。