間違いのない照明器具選び空間を豊かに演出する
灯りを楽しむ
【電球】
光の色、強さ、透明度で選ぶ
リノベーションの際、頭を悩ませる照明問題。その解決のため、ヴィンテージの照明器具はもちろんオリジナルの照明もたくさん揃える『POINT NO.39(ポイントナンバー39)』の店主、杉村聡さんの元へ向かった。
まずは照明の要、電球について教えていただいた。
「リビングで使うライトを選ぶ際の目安として、6畳あたり100wから150w相当の電球を選ぶとよいです。部屋の隅はほんのり暗くなりつつ読み書きはできるくらいの、雰囲気のよいお部屋になります。ちなみに、昔からあるリビングの天井の真ん中にどんと直付けされているシーリングライトはその2〜3倍の明るさがあります」
現在は、価格は高いが消費電力が小さく長持ちするLED電球が主流だ。
電球や蛍光灯の明るさの目安は消費電力量を表す「ワット数」が使われてきたが、LED電球は消費電力が小さいので、「ルーメン」という光束量が用いられることが多い。
なので、LED電球の表記に、40w相当、と書いてあっても、ルーメン数の違いで、あれ?意外と暗いな、ということも起こり得る。E26口径(一般電球)の場合、40wで485ルーメン以上、60wで810ルーメン以上となる。ルーメンで明るさの感覚をつかめるようになりたい。
「最近、10w前後相当の70ルーメンというLED電球が出てきました。暗めの電球を数多くつけるのもオススメです」
また、LED電球は色温度が選べる。赤みがかった温かい電球色や、パキッと爽やかな昼光色も。
「くつろぎの空間には電球色がよいのですが、リラックスしすぎることもあります(笑)。勉強や仕事をする場所には昼光色、メイクをする場所やキッチンには昼白色を選ぶとよいでしょう」
調光ができるLED電球や、色温度を変化させることができるものもあるので、場所に合わせてチョイスしたい。
【ペンダントライト】
コードの長さと適切な種類を選ぶ
コードやチェーンで天井から吊り下げるペンダントライトは、部屋の印象を決めるアイテム。1灯のものから、たくさんの電球を使うものまでデザインは様々だ。
好みもあるが、リノベーションの際にダクトレールを施工しておくと、ペンダントライトを下げる場所を調整したり、壁を照らすスポットライトを追加することもできる。
コードの長さは使う場所によって決めるとよい。
「ダイニングテーブルの上など、人が通らない場所は、低く設定してもよいです。40cm低くライトを下ろすと、明るさを10%上げることができます。北欧では、ダイニングテーブルの上のライトをグッと下げて必要な明るさを確保することが多いです。キッチンのカウンターテーブルの上はペンダントライトを数個並べて下げるのもいいですね」
照明器具が2kgを超えたら、コードだけではなくチェーンを加えるとよいとのこと。
パイプを使うというテもある。
「パイプには、地震などの際に灯具が揺れないという利点があります」
コードが余ってしまった場合はどうしたらよいのか。
「コードを巻いたり縛ったりして調整される方もいらっしゃいますが、安全性を考えるとあまりオススメしません。なぜコードが長いまま販売されているかというと、コードの長さを変えると国が定めた検査をし直さなければならないからです。
当店には検査機器がございますので、お好みの長さにして販売が可能です。長さの調整も行っております」
【ブラケットライト】
光と影のグラデーション
「壁に取り付けるブラケットライトは、空間を豊かに演出してくれます。壁に灯りがあると不思議と落ち着きます。海外ではよくブラケットライトを使いますね。
光と影のグラデーションが美しいブラケットライトは、スタンドライトのように場所をとらないのも利点のひとつです」
リノベーションの際は、どの灯具を使うか予め決めておいて、施主支給する必要がある。
「ブラケットライトにはたくさんの種類があります。上向きのものと下向きのものではつける位置が変わってくるので注意が必要です。
真鍮のブラケットライトの場合、施工した職人さんの指紋が浮き出ることがあるので、これもまた注意です」
既存壁に新たにブラケットライトを追加することも可能だ。
「ネットで手軽に電気工事を頼むことができるようになりました。付けたい場所の近くにコンセントやスイッチがある場合は、思いのほか簡単に追加できることがあるので、相談してみてはいかがでしょうか」
【スタンドライト】
直接、間接、目的を分けて
「お部屋にスタンドライトをプラスしてあげると、光の要素が増え、豊かな空間になります」と杉村さん。
テーブルランプやフロアランプなどのスタンドライトを選ぶ際は、部屋に奥行きを出して広く見せるなどの演出ができる「間接照明」と、本を読んだり作業をするために手元を明るくする「直接照明」の、2つの目的を分けて考えると照明器具を選びやすい。
「見せたくないものの手前にスタンドライトを置くと、ライトがアイキャッチになり、見せたくないものが目立たなくなるという効果も期待できます」
移転オープンし、広くなった『POINT NO.39』。1階は無垢の真鍮素材にこだわったオリジナル照明が揃うフラッグシップストア。2階にはヴィンテージが揃う。
「当店では、ヴィンテージならではの経年変化の美しさや佇まいを大切にしています。オリジナルの照明器具は、探しても見つからないものを中心に作り始めました。他にはない照明器具が見つかると自負しています。ぜひお店に足を運んでみてください」