成功させるリノベーション箱づくりと両輪で考えたい
インテリアプランニング
家具を置いてこそ映える空間に
自分好みの空間を完成させたリノベーション。でも実際に暮らし始めると何かが違う、という実体験を耳にする。空間にフィットする家具が見つからなかったり、家具まで予算を組んでいなかったため、妥協しなければならなかったり…。中古マンション探しとリノベーションのワンストップサービス「リノベる。」では、そんな悩みに対応するため、箱づくりに留まらず、インテリアまで想定したリノベーションを提供したいと、6年前からインテリアコーディネート課を設けている。
「家づくりのタイミングで家具を新調する人は、80%程と捉えています。けれど、インテリアの計画は大抵後回しになりがちなんです。それを最初から考えて同時にスタートすると、より完成されたものになる。リノベーションしたての空っぽの部屋がいちばん良い状態でモノを置いたら下がる、そういうお家づくりにはしたくないと思っています」。
と、インテリアデザイン部の古久保拓也さん。
「完成して引渡しした後が、本当の暮らしです。私たちがインテリアのご提案をすることで、その先の暮らしも見えてくると思います」。
と語るのは、実際に接客してインテリアコーディネートにあたる小林千夏さん。「リノベる。」では、インテリアについてどのようなサービスが提供されているのかを伺ってみた。
インテリアまでトータルに予算を組む
「通常、打ち合わせの際にどんなインテリアやテイストにしたいかを伺ったり、入居後に使いたい家具があれば、それを見せて頂いたりしてプランニングを進めます。さらに全体のインテリアコーディネーターをしてほしいというニーズに対して、オプションプランをご紹介しています」(古久保さん)。
50ほどの提携ブランドから、優待価格で家具を購入することができるだけでなく、オプションでトータルコーディネートプランも用意。
「ただ、家具を60万円以上購入されると、それも無料になるんです。まだ家具を購入されるだけの方が多いけれど、お部屋のデザイン、機能に対する家具の重要性をきちんと理解していただくことで、トータルでコーディネートしたいという方もだんだん増えてきています」(古久保さん)。
イメージプランをPCで作成し、その中から購入する家具を選んだり、丸ごと全部購入したり。間取り図と同時に、家具まで可視化されることで、空間全体をイメージしやすくなる。
「インテリアコーディネート課が立ち上がったときに分かったことは、リノベーション費用の他に、引っ越し費用、家具、カーテンなど他に様々な経費がかかることを想定されていない方が多いということでした。結果、やむなくインテリアで妥協することを防ぐために、空間全体とともに費用全体を考慮した上で、空間をイメージすることが重要だというお話をしております」(小林さん)。
暮らし方からインテリアを考える
「相談例として多いのは、SNSで見た家具を使いたいけれどブランドが分からない、サイズ感が分からない、などです。こちらでは色々なブランド、商品をインプットしているので、価格も含めてお客様に最適なものをご提案することができます」(小林さん)。
予めライフスタイルコーディネーターが情報を集め、設計者がヒヤリングした内容をもとに、インテリア面を計画。このソファを使いたいなど、決まっている家具がある場合には、インテリアチームがかかわり、設計者とタッグを組んで進めていく。
「デザイン面の前に、暮らし方のヒヤリングから打ち合わせに入ります。例えばコーヒーが好きな方ならば、ソファの横に小さなテーブルがある暮らしをイメージしていただく。テーブルをひとつお勧めするというよりは、それがあることで叶えられる暮らしをご提案する感じです」。
小さなお子さんのいる家庭なら、子育てしやすい工夫も提案。
「赤ちゃんはカーテンの光漏れでお昼寝から起きてしまうこともあるので、遮光カーテンをご提案したりします。また、奥行きのある窓なら、窓枠の中にブラインドなどをはめ込んでおくとすっきりと見えるし、電動カーテンなら設計の段階でコンセントの位置を計画する必要があります。窓は面積が大きいので、部屋の一部として予め考えておきたいのですが、暮らし始めてから気づく場合が多いんです」。
造作家具のパフォーマンス力
暮らし方からインテリアを考えていく中で、古久保さんが特にお薦めしたいのが、造作家具だという。
「既製品の場合、デザインバリエーションは多くないし、ぴったり合うサイズのものを見つけるのが難しかったりします。造作であれば、それらの問題をクリアできます」。
造作家具にも2パターンあり、大工さんが現場で造るものと、スタッフとデザイン、素材、ディテールなどを相談しながら、家具職人が制作するパターンがある。
「テイストやサイズ感が空間にぴったりマッチするものができると思います。クオリティの高さを考えれば、コストパフォーマンスは高いといえます」。
収納棚であれば、収めるものや場所のサイズに合わせて造ることができるし、デスクとして使いながら、将来は棚板を足して収納にチェンジさせるなど、可変性を持たせることも可能だ。
「また、ひとつのブランドやテイストの家具で統一するのが好きだという方もおられると思いますが、個人的には既製品家具の中に、お部屋に合わせた造作家具を加えるのもいいんじゃないかなと思っています。一辺倒なデザインではなく、デザインされたものや名の知れたものの中に、外しの要素として機能的でシンプルなオリジナルの造作家具を組み合わせるのも、家具とリノベーションを同時に考えて進める醍醐味のひとつです」。
こなれた外しのインテリアコーディネートは、プロと相談しなければ難しいかもしれない。
「私たちは同じチームの中で、ライフスタイルコーディネーターから設計者、インテリアコーディネーターまでいます。通常バラバラに行う仕事を、連携してチームで行えるのは強みだと思っています。ぜひご相談していただきたいと思います」。
ライフスタイルから考え、好みのデザインをベースにインテリアに落としこむ。そして画像をつくって全体をイメージし、資金面もトータルで計画。インテリアを後回しにすることなく、リノベーションの流れのひとつと考えるのが、成功の秘訣かもしれない。