市販の切餅で餅花を作る
五穀豊穣を祈願する意味を持つ餅花。生花の色が少なくなる冬に、餅花の可愛らしい彩りを楽しんでみたい。
挿花家の雨宮ゆかさんに、餅花作りを教えていただいた。
餅花は意外にも、市販の切餅でも作ることができる。
「本来はつきたての柔らかなお餅で作るものですが、試しに市販の切餅を電子レンジでチンして作ってみたら、簡単に作ることができました。飛騨高山に家族旅行に行った際、餅花の愛らしさに惹かれた祖母の“餅花を作ってみたい”という要望がきっかけでした」
正確な始まりは不明とされているが、江戸時代には日本各地で盛んに飾られるようになった餅花。今年のお正月は、手に入れやすい現代の切餅を使って、縁起の良い飾り物を作ってみては?
餅花の作り方
用意するものは、小枝と、切餅(1〜2切)、片栗粉。食紅。
小枝は、生花店で柳を買って使っても、生け花で使った枝をとっておいてもよいし、公園や広場で拾ってきたものを使ってもよい。
「完全に乾ききった枝より、弾力性がある枝のほうが作りやすいです」
今回は、セイヨウカマツカとブルーベリーの枝を使った。
「柔らかなヤナギの枝につけて、餅花をつけた枝を丸めて飾ってもよいですね。サンゴヤナギの赤い枝を使えば、白いお餅だけで素敵に飾ることができると思います」
餅はまん丸よりやや縦長に丸めるとつけやすい。
「養蚕をしている地方では、繭の形に似せた楕円のお餅をつけていたそうです」
餅花のいろいろな飾り方
白木の枡にお米を入れたものと一緒に餅花を飾る。
「正月は田の神様でもある年神様を迎えるための行事でもあります。お米と餅花を飾るのはいかがでしょう。黒豆を添えてもいいですね。黄色くて丸いものは縁起物とされていますので、柚子や文旦と一緒に飾るのもいいですね」
餅花を生花と生けるなら、松を。
小ぶりで枝の整っているヒメゴヨウマツがおすすめ。
実りに感謝する餅花飾り
「稲穂は、節の上で切ると、葉の部分と稲穂の部分が分かれます。葉と稲穂、そして茎につけた餅花を重ねて束ねます」
束ねるのに使ったのはラフィア。結び目は稲の後ろになるように結ぶ。
そして、その上から水引を結ぶ。
「水引で結ぶとより改まった気分になります。水引は、赤が右、白が左にくるように結びましょう」
可憐でかわいらしい餅花。冬休みのお子さんに手伝ってもらっても、とてもよい思い出になるかも。