日常の器に生ける身近な草花を
普段使いの器に合わせる
季節の移り変わりを楽しむ
今回、“日常の器”を使って生け花を楽しむ方法を教えていただいた。
日常で使う器には身近にある花のほうが似合う上に、生ける楽しみも大きい。
「たとえば、上の写真の、白いお皿に生けたビオラは、冬から育てておくと、春の終わりまで長い間花をつけてくれます。
そのビオラを摘んで、大きなお皿に一輪、生けます。アケビで花留を作って水を張ったお皿に入れビオラを挿し、 “冬忍”と書くニンドウを添えれば、春を待ちつつ冬を楽しむ花になります。
生けることで身近な季節の移り変わりを、ぜひ楽しんでいただければと思います」
気に入って選んだ器なら、自分好みのものを選んでいるはず。
その器を生かすようにするとまとまるので、花は入れすぎないようにするのがコツなのだそう。
「毎日眺めていても気持ちがいいように生けるよう心がけます。そのためにも少なめにすると飽きない花になります」
伸びやかな動きを楽しむ
たとえば、冬芽のついた枝ものや、動きのユニークなウンリュウヤナギを草花に合わせる。
「種類は少なくし、それぞれに形の違うものを選ぶと、うまくまとまります」
日常の器に生ける際は、花を短く切ることになることを予め花選びの際に考えておいたほうがよいのだとか。
「花器に生けていた花を切り戻すうちにどんどん短くなったら、日常の器に生け直すのもよいアイディアです。
その際、身近なグリーンをプラスすると、花器で飾っていた時とはまた違った生け花を楽しめます」
花材は3つに絞るのがうまくいくコツなのだとか。
まず①主役の花。手持ちのものでも生花店で買ってきたものでもよい。
そして②緑のもの、あるいは枝もの。
3種目は、①と②に足りないタイプのものを。①と②の間を繋いでくれるような形のものがいい。
「冬は花が少ない季節ですが、一方でテクスチャーが際立つものがある時期でもあります。姿形がユニークな草花を生ける際は2種類でもかまいません」
器を決めてから花を選ぶ
「まず、どこに飾るか、場所を決めてください。
次に、生ける器を選びます。
最後に、器に合った花を見つけましょう」
普通は花を買ってからどこに飾ろう?となりがちだけれど、場所→器→花、の順番で決めるのがポイントだそうだ。
四角い器に生ける時は花材を横に流すように、丸い器にはこんもりと。細長い器に生ける時は細長く仕立てるのがポイントなのだとか。
「器を花で埋めようとせず、空間を生かして生けましょう」