卓上松飾りで迎えるお正月松を生き生きといけ、
新しい年を迎える
初めての松飾りを楽しむ
いけばなとは、自然のありようを拝借した表現。太陽の恵みを求めて枝を伸ばす植物のエネルギーをそのまま生かし、野にある姿をいかして据えれば、おのずと心が動く花になる。
けれど、頭の重い花材をこの角度だ!と決めて花器にさしても、重心との兼ね合いもあってクルンと下を向いてしまい四苦八苦……そこがいけばなの難しさでもある。思い描いていた角度にいけるには熟練の技が必要だ。
そこで今回は入門編として、オアシス(給水フォーム)を使って教えていただいた。
「初心者向けに剣山を使ういけばなもありますが、そもそも剣山を使うことを良しとしない方もいらっしゃる。今回はそうした手段に縛られず、誰もが楽しめるようオアシスを使って、植物の持つ自然のエネルギーを楽しみましょう」
渡来さんはワークショップで、“持って帰るいけばな”として、オアシスを入れたうつわにいけて花器ごと持って帰れるレッスンも行っている。
「いけばなっておもしろいね、と思ってもらうために始めました。花材も現代の暮らしに合わせてアップデートしています」
松飾りは歳神様を迎え入れる場所
今回の松飾りは、しなやかに伸びる枝が美しい女松(赤松)を使った。
「松飾りは歳神様を迎え入れる場所なので、針葉をきれいに拭き清め、枯れた葉や折れた葉を取り除いて整理します。このひと手間で松は見違えるように凛とします。
いけばなを始めた頃に正月飾りの花材にはなるべく鋏を入れぬよう教わりましたので、いまでも松飾りをいける時はなるべく鋏を入れないよう心掛けています」
植物の個性を引き出し、生き生きといける
新しい年を迎えるお正月のいけばなは特に生命力を感じながらいけたい。
横に伸びる松の美しさをいける
上で間引いた花材を使って、枝ものを思い通りの角度にいける方法を教えていただいた。
「太陽の光を求めて、枝が横に伸びながら葉は上を向く姿を見せたかったので、お正月らしい凛とした姿の白磁の花器を選びました。
飾る場所によって光の差す方向が違うと思います。明るい場所に向かっていくようにいけると、さらに生き生きしてきます」