グリーンと水の潤いを手軽に始める
癒しのアクアリウム
幻想的な雰囲気と、癒しを与える水の流れ。インテリアにぜひ取り入れたいアクアリウム。でも何となく敷居が高くて始められない人も多いはず。実際、初心者はどこから始めるのが正解なのか。
「魚を飼うのか生態系を作るのか、まず何を求めるのかをはっきりさせることです」と言うのは水槽レイアウトのプロ「SENSUOUS」の代表・早坂誠さん。
「魚を飼うのであれば、魚の大きさにふさわしい水槽を用意して、酸素不足とアンモニアの増殖を防ぐために毎日水を代えます。ただ、土や砂を入れて植物を植えただけでも、生きものを育てる喜びがあるし、インテリアとして十分ではないでしょうか」。
魚はいなくとも、水とグリーンがあるだけで、狭い空間にも潤いと安心感を与えてくれる。まずは簡単な植物の生態系をつくるところから入ってみるのもいいかもしれない。
[1]シンプルなものからトライ
水草の種類は世界でおよそ2800種類。「SENSUOUS」では約200種類を扱う。細いものから葉っぱの広がったものまで様々な形があり、色も緑だけでなく赤や黄色など様々。それらからピックアップして寄せ植えのように楽しむのが醍醐味だ。だが、早坂さんは、
「まず最初は1本植えから始めてみましょう。小さなベースに土か砂またはガラス玉を敷き、水草を1本植えます」。
おすすめは光合成しにくいサトイモ科かシダの仲間。成長が緩やかなので、光が暗くても枯れにくい。
「直立して伸びる“ポゴステモンデカネンシス”など、葉っぱが細くてきれいなものなら、簡単にアレンジできてインテリアに活用できると思います」。必要な道具も簡単に手に入るものばかり。まずはシンプルなものから取りかかりたい。
[2]アクアリウムを作成
1本植えを楽しんだら、次は複数植えに挑戦したい。流木や石などをあしらえば、盆栽や生け花感覚で楽しむことができる。
「ベースも様々なものがありますが、立方体や直方体だと正面が決められるので、レイアウトしやすいですね」。
水草には茎があって直立する有形種と、睡蓮のように葉を広げる混成種がある。まず石や流木、混成種で基本の構図を作り、色や形が様々な有形種でレイアウトしていく。
「ポイントは同じ色合いのものを近くに植えないことと、両端に明るい色の水草を植えることです。隅に暗いものを植えると、壁が暗くなって狭く見えてしまうので」。アートのような感覚で、自分だけのアクアリウム創りを楽しみたい。
[3]長く楽しむには
「基本は毎日水を変えることです。歯磨きをしながら変えるとか、習慣づけるといいですね。水はバクテリアが繁殖しにくい浄水器の水か、なければ塩素系溶剤を入れます」。水槽を置く場所は洗面台がベストなのだそう。
「コントロールができない太陽光に比べて洗面所の蛍光灯、LEDの光は一定なのでちょうどいいんです。温度もできれば25℃くらいに保つのが理想です。冬場の寒い時期には、一定の温度を保つプレートも販売されていますよ」。
水草が育つ環境が完成されれば、魚にとっても住みよい環境が誕生する。そのような環境が整ったらミナミヌマエビなど飼育しやすい生物から挑戦してみるのもいい。生態系を作り上げる楽しみが広がっていきそう。