暮らしに寄り添う草花 Part1  身近な植物や生活雑貨で 四季を彩る1年に

今年の暮らしに寄り添う草花 Part1身近な植物や生活雑貨で
四季を彩る1年に

新しい1年。今年は花とともに暮らし、彩りのある毎日を楽しみたい。豪華で希少なお花ではなく草花のようなものでも、ベランダで育てるハーブのようなものでも、ちょっとあるだけで部屋の中に春の息吹きを吹き込んでくれる。
そこで、早春ならではの植物を使ったアレンジを、プランツスタイリストの井出綾さんに教えてもらった。手に入りやすいこの時期の植物を部屋の片隅に置いて、季節感を楽しんでみては。普段使いの器とともにご紹介する。

基本の活け方を押さえておく

どんな植物を活けるにしても、活け方のポイントはひとつ。
「下地、底辺をつくることが何より大事です」と井出さん。
初めに4本を用いて、器の中で茎がクロスして×をつくるように、対角を意識して活ける。
「クロスしたところをおヘソと考えて、ここを中心にあとは放射状に活けていきます。ひとつだけ注意したいのは、前側に活けるのに後ろに向いているお花を選ぶのはNG。前は前向きのお花がいいですね」。
最初の4本をクロスさせてしっかり土台を作ったら、後はいかに立体感を出していくかがカギになる。
春先の球根花、ラナンキュラス、オオニソガラムに、アカシア、ナズナを。クールなガラスの器に活けて、春の清々しさを表現。

春先の球根花、ラナンキュラス、オオニソガラムに、アカシア、ナズナを。クールなガラスの器に活けて、春の清々しさを表現。

①4本を、前後左右にXを描くようにクロスさせて活ける。茎の下が、器の4隅の底にくっつくように。

①4本を、前後左右にXを描くようにクロスさせて活ける。茎の下が、器の4隅の底にくっつくように。

②上から見るとこんな感じ。真ん中で交差させて土台をしっかりつくっておくのがポイント。

②上から見るとこんな感じ。真ん中で交差させて土台をしっかりつくっておくのがポイント。

③オオニソガラムを、縦の空間を埋める感覚で活けていき、ベースをつくる。

③オオニソガラムを、縦の空間を埋める感覚で活けていき、ベースをつくる。

④ベースができたところに、向きを不規則に変えてラナンキュラスを活ける。

④ベースができたところに、向きを不規則に変えてラナンキュラスを活ける。

⑤ナズナをセンター付近に高さがでるように活ける。

⑤ナズナをセンター付近に高さがでるように活ける。

⑥ラナンキュラスの蕾を入れて、動きを出す。

⑥ラナンキュラスの蕾を入れて、動きを出す。

春の球根で季節を楽しむ

「球根ものが出回ってきたら、春がくるな、という感じですね」。
早春のメインの花といえば、チューリップ、ヒヤシンス、水仙などの球根もの。1月に手に入りやすく、季節感を味わうのにもおすすめの植物だ。
「一重のチューリップは、暖房で暖かい室内では花が開きやすいので、八重がおすすめです。華やかかつシックな八重のチューリップで、春待ちの気分を活けてみました」。
立ち姿の美しい水仙は、土から花が咲くイメージで、土の器にアレンジ。
「水仙やヒヤシンスは香りがいいのも特徴です。控えめでやわらかい香りに、春らしさが感じられます」。
基本の活け方をベースに、春らしいアレンジを楽しんでみたい。
球根花のチューリップ、ツルバキアに、アオモジとグレイッシュなユーカリを合わせて。トロフィー型の器を使って、ドラマチックにアレンジ。

球根花のチューリップ、ツルバキアに、アオモジとグレイッシュなユーカリを合わせて。トロフィー型の器を使って、ドラマチックにアレンジ。

①ユーカリ2本とアオモジ2本で土台をつくる。ユーカリは手前に活けて。

①ユーカリ2本とアオモジ2本で土台をつくる。ユーカリは手前に活けて。

②短めに切ったチューリップを、前側にくるよう意識して活ける。

②短めに切ったチューリップを、前側にくるよう意識して活ける。

③ユーカリを、センターに高さが出るように、立体的に活ける。

③ユーカリを、センターに高さが出るように、立体的に活ける。

④ツルバキアをアクセント的に、バランスを見て活けて完成。

④ツルバキアをアクセント的に、バランスを見て活けて完成。

日本水仙、ヒヤシンス、えんどう豆の花で。土から花が咲いたように、春の訪れを感じさせるアレンジ。小ぶりなので、部屋の片隅にさり気なく置いてもなじむ。

日本水仙、ヒヤシンス、えんどう豆の花で。土から花が咲いたように、春の訪れを感じさせるアレンジ。小ぶりなので、部屋の片隅にさり気なく置いてもなじむ。

①ヒヤシンス1本、えんどう豆3本で基本のパターンをつくるところからスタート。

①ヒヤシンス1本、えんどう豆3本で基本のパターンをつくるところからスタート。

②水仙はまっすぐ倒さずに活けるのがポイント。

②水仙はまっすぐ倒さずに活けるのがポイント。

余り材料も無駄なく使う

余った材料や、いちど活けて枯れてきたアレンジの中で使えそうなものは、無駄にすることなく最後まで楽しみたい。そんな時に、ちょっとしたアイデアをレクチャー。
「少しだけの残りものは、花器などに活けようとすると難しいです。空き瓶や湯のみなど、日常使いのちょっとした入れ物や、底の浅い器に活けるのがおすすめです。花器に活けるなら小さな剣山があると便利ですね」。
普段使いのかごやピッチャーなども、水のはれる環境があれば立派な器に。
「生活雑貨に活ける方が、やりやすいし様になります。基本パターンさえ押さえておけば、あとは色んなアレンジが楽しめますよ」。
ジャムの空き瓶などに活けるときは、大小の小瓶でメリハリをつけるとよい。敷き板なども合わせてひとつのアレンジと考えるのが大事。

ジャムの空き瓶などに活けるときは、大小の小瓶でメリハリをつけるとよい。敷き板なども合わせてひとつのアレンジと考えるのが大事。

日本水仙、えんどう豆の残り材料で。小さい剣山を入れて立たせている。残りもののちょっとしたアレンジに、小さい剣山はおすすめ。

日本水仙、えんどう豆の残り材料で。小さい剣山を入れて立たせている。残りもののちょっとしたアレンジに、小さい剣山はおすすめ。

買物かごなども素敵な器に。かごのフォルムを活かし、9対1くらいのボリュームで活けたい。中は、コップでも何でも水の張れる落としを入れればOK。

買物かごなども素敵な器に。かごのフォルムを活かし、9対1くらいのボリュームで活けたい。中は、コップでも何でも水の張れる落としを入れればOK。

ピッチャーにチューリップを。ピッチャーの形を活かし、持ち手が見えるよう活けるのがポイント。

ピッチャーにチューリップを。ピッチャーの形を活かし、持ち手が見えるよう活けるのがポイント。

「Bouquet de soleil」として活動する花手・プランツスタイリストの井出綾さん。自然と暮らしをつなぐ花をテーマに、身近な植物を通して季節の楽しみ方を提案。

「Bouquet de soleil」として活動する花手・プランツスタイリストの井出綾さん。自然と暮らしをつなぐ花をテーマに、身近な植物を通して季節の楽しみ方を提案。

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