emecoのアルミチェア海軍でも採用された
質実剛健なエメコチェア

emeco社を代表するNavy Chair（ネイビーチェア）。軽くて強靭、耐久性に優れ、海水にも錆びにくいアルミニウムの椅子は、海軍で活躍し、第二次世界大戦後も何十年にもわたり、アメリカ合衆国政府で採用されてきた。また、ネイビーチェアの特徴的な座面のフォルムは、第二次世界大戦中に人気を博したポスター「ピンアップガール」のモデル、ベティー・グレイブルのヒップラインに影響を受けてデザインされたといわれている。ヒップラインを型どったような緩やかなカーブの座面は、アルミニウムの固さを感じさせず、安定感のある快適な座り心地に与えてくれる。

1998年、現CEOグレッグ・バックバインダーが引き継いだことをきっかけに、多くのデザイナーが起用され、ネイビーチェアに継ぐ現代的な椅子を次々と発表した。フィリップ・スタルク、ノーマン・フォスター、フランク・ゲーリー、エットレ・ソットサスなど、著名なデザイナーとのコボラが実現し、中には、ニューヨーク近代美術館の永久コレクションにも選定された作品も。

HUDSON CHAIR（ハドソンチェア）の誕生は、フィリップ・スタルクがニューヨークのパラマウントホテルの改修時にネイビー・チェアを採用したことから始まり、その後スタルクが自らコラボレートを申し入れてハドソンチェアをデザインした。ニューヨーク近代美術館の永久コレクションにも選定され、グッドデザイン賞も受賞している。

KONG CHAIR（コングチェア）は、パリのチャイニーズレストランKongのためにデザインしたもの。スタルクらしい曲線デザインとアルミニウム素材が美しくフィットしたエレガントな椅子。一脚仕上げるのに8時間もかけられるという光沢仕上げの椅子は、オブジェのように美しく輝き、単なる椅子を超えた独特な存在感を放つ。

イギリスの建築家、ノーマン・フォスターがデザインを手がけたスタッキングチェアは、一切の装飾を省いた美しさが素材の魅力を際立てるインダストリアルな雰囲気。丁寧に磨き上げられたマットなアルミニウム面や溶接、エッジの仕上げなど、シンプルだからこそ際立つ美しい細部は、エメコ社の高い技術によるもの。

SUPERLIGHT CHAIR（スーパーライトチェア）は、スペインのグッゲンハイム美術館など、個性的な建築で知られるアメリカの建築家、フランク・ゲーリーによるデザイン。建築家らしい構造力学の解釈でデザインされた薄いアルミシートは、座ると前後に静かに揺れる。また、ゲーリーは製作にあたり、「私は三つのことを椅子に欲した。安定感、軽さ、強度である。アルミニウムという素材は明白な選択肢で、それはEMECOという企業でしか作れない物だった。」と語ったという。

イタリアを代表するモダンデザイン界の巨匠エットーレ・ソットサスが、晩年に手がけたチェアNINE-0（ナインオー）。ソットサスがミラノの自宅で愛用していたネイビーチェアからインスピレーションを得てデザインされたという。ナインオーシリーズは、レッド・ブルー・グリーン・オレンジ・グレーの５色展開。ミッドセンチュリーを感じるソットサスらしい色使いも魅力。また、ソットサスの影響で、フィリップ・スタルクやフランク・ゲイリー、スレンス・コンランなどがネイビーチェアに興味を持つようになったという。

1944年、アメリカ合衆国海軍から潜水艦と船で使用するためのアルミニウムの椅子の依頼を受け、「Navy 1006」が誕生。emecoの椅子は、良質なアルミニウムを原材料に、独自の配合でつくられたアルミニウム合金を使用。Navy Chairは、77もの工程のほとんどを熟練工による手作業でつくられており、その製法は、基本工程として、他のプロダクトにも踏襲されている。金具を使用しない製法も特徴のひとつで、この細部への配慮が美しいフォルムの要因にもなっている。