緑あふれる伸びやかな住まいグリーンバイヤーが楽しむ
植物と家具のスタイリング
植物に満ちたリラックスできる家
インテリアショップ『ACTUS』のグリーンバイヤー、曽我広範さんのご自宅は、高い三角屋根のたっぷりとした空間が気持ちのいいテラスハウス。この家は画像検索をしていて偶然見つけたそう。
「３方向から光が入り、風通しもよく、植物を育てるのには最適な家だと思いました」
高い天井のリビングで生き生きと葉を伸ばすシンボルツリー、フィカス アムステルダムキングが印象的。
「この部屋に越してきてから、さらに1メートルくらい大きくなりました」
このシンボルツリーが、リビングとダイニングをゆるやかに分けている。
「日当たりのいい場所には多肉植物を集めたりサボテンをオブジェのように飾ったり、日陰に強い植物をこんもりと飾る場所を作ったりと、植生に合わせて鉢の置き場を変えて楽しんでいます。
高低差や立体感、リズム感を考えて飾ると、鉢の数が多くてもまとまって見えます」
たくさんのグリーンが好みの場所で幸せそうに枝葉を伸ばす家は、緑に包まれゆったりとリラックスができる。
天井の高い空間でフィカス アムステルダムキングが印象的な細長い葉を繁らせている。足元をこんもりと飾るのは、丸い葉のカラテア オルビフォリアやシダ植物のフレボディウム。
シンボルツリーの側に置いたダイニングテーブルはUSMハラー。天板に真鍮の“PRIVATE”タグをつける遊び心も。「植物や木のものが多い空間なので、敢えてテイストの違う素材のテーブルを選びました」。イスもテーブルもACTUSで揃えた。
鉢のバリエーションも楽しむ。右奥はヴァージル・アブロー × IKEAのショッピングバッグを鉢カバーに。Max Billのウルムスツールの左横は、柴田文江デザインの『NODERIUM (ノードリウム)』のACTUSオリジナルプランターカバー。ラグに腰を下ろし、下から植物を見上げると見え方が変わってくる。
ハンギング越しに窓の外のグリーンが見える。「植物で視線が遮られるのでカーテンなしで生活しています」。壁にも植物を飾る。
家具とグリーンのスタイリングのコツ
植物は葉の色や形が違い、幹の色にも濃いものや薄いものがある。
ACTUSのグリーンは、家具とのコーディネイトを見せられるのが大きな強み。
「たとえば、幹の色が濃い植物はウォールナットなど濃い色の家具と合わせるとトーンが揃います。
大きさなど、家で飾った時の見え方も想像しやすいと思います。
植物と家具の組み合わせのコツや、植物を置く場所、育て方、葉の形や樹形の特徴など、様々なアドバイスができます」
観葉植物の取り扱いがあるのは全国で約20店舗。
「2022年9月に、ACTUSの初のグリーン専門店『NODERIUM 京都』がオープンしました。インテリアショップでここまで大規模に植物を見せる店は数少ないと思います。ぜひ足を運んでみてください」
レコードを収納するためにACTUSで購入したヴィンテージのシェルフ。「棚のすぐ横に赤っぽい葉の植物を置いて、棚の濃い茶色と植物の緑がグラデーションでつながるようにしています」
葉の色や形の違いを楽しみながら、地植えされているように植物を集めたコーナー。台に鉢を乗せて高低差や奥行きを出しながら、こんもり感を演出。
棚の上に置いたドットが印象的な柚木沙弥郎のポスターの横に、ドットの葉のベゴニアマクラータを置いた、遊び心のあるアートと植物のコーディネイト。
「旅先で出会った小物などを工夫して飾るのが好きです。棚の段ごとにテイストやカラーを変えて飾っています。上段はアフリカ、中段はメキシコ民芸。植物も組み合わせます」
光がたくさん入る場所に多肉植物を集めている。鉢はナチュラルなものを。天然石の上でお香を焚く。
盆栽鉢に入れたコーデックス (根塊植物) を、レゴの花とエキゾチックにコーディネイト。
鉢はフォルムと色、素材感の違いを楽しむ
鉢は陶器や盆栽鉢、スチールのモダンなものなど、様々なものを使っている曽我さん。
「鉢で植物の印象がガラリと変わるのがおもしろいです。季節で鉢を着替えることもあります」
鉢だけでなく、ショッピングバッグやカゴを使うことも。
「使い途をいろいろと考えるのが楽しいです」
グリーンがインテリアに欠かせない要素になっていることを日々実感しているという曽我さん。
「特にコロナの時期を境に、家で過ごす時間が増え、植物を育てることがライフスタイルのひとつになった方も多いと感じます」
窓辺に並べたたくさんの鉢はグラデーションをつけて置いている。「左から、下のアートフレームに合ったピンクっぽい鉢から素焼きの鉢、そして白へ。その隣に一旦黒を置き、黒の鉢の右側に透明感のあるガラスの器を並べています」。さらに色のついたガラスの器から小物へと連続する。
花器はドイツのファットラバのヴィンテージ。「この場所にいつも花器を置いて、切り花と絵の組み合わせを楽しみます。パウル・クレーのポスターの色味やヴィンテージのフレームとの組み合わせを考えて花を選んでいます」
日差しを受けてキラキラ輝く、明るい窓辺に映えるガラスの器。「剪定した植物を瓶に挿して、水栽培で楽しむことも多いです」
時間とともに窓辺の植物の影がゆっくりと移ろう。ガラスの建具はこの場所にあった古い建物で使われていたもの。
「気に入ったZineを額装して飾っています」。今、最もイケてる映画配給会社A24が映画監督に作らせたZine。
正面に専用のベランダ。階下は寝室と玄関になっている。玄関に置いたグリーンはモンステラ。
植物の変化と組み合わせが楽しい
曽我さんがグリーンバイヤーになったのは、空間演出の仕事で植物を使う機会があり、植物が持つ力に興味を持ったことがきっかけだったそう。
「植物は育つにつれ思わぬ方向に枝を伸ばすことがあるので、有機的な要素を持つインテリアのアイテムだと言えます。
また、棚に置いた植物が葉を垂らしながら伸びていくといい感じですが、モノがただダランと垂れ下がっていると散らかってる感じがします。その不思議な違いもおもしろいです」
家具と植物、小物やアートと植物、その組み合わせを自由に楽しむ曽我さん。
「旅先で買った鉢はあの小物の隣に置くと映えそうだなとか、あのポスターに合った色の花を飾ろうとか、いろんな組み合わせを考えるのが楽しくて仕方ないです」
霧吹きで植物をケアする曽我さん。その後ろにロフトがある。本の表紙を見せて並べているのがおもしろい。「肩肘張らず自由に部屋を楽しんでいます」
ロフトには梯子で登る。ロフトの下が洗面とトイレ、浴室になっている。
ロフトは秘密基地。「他の場所とは違うテイストのもの…アメコミや宇宙に関する本を集めて読みながら籠もります。ここから見下ろすリビングの植物のある風景も好きです」
キッチンのスパイスを置いた棚の上にも植物や小物を飾る。「GRANCAのコーヒーを毎日挽いて淹れてます」。ドリッパーはORIGAMIを愛用。
「キッチンまわりで見せたくないけれど必要なもの……サランラップなどは、お気に入りの袋に入れてさりげなく隠します」
洗面所の明るい窓辺のガラスのボトルには挿して根が生えてきたベコニアが。ドライヤーは手提げ袋に収納。
